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2.測定項目について

 

生活環境項目

公共用水域の水質汚濁に係る環境基準のうち生活環境の保全に関する環境基準の定められている項目で、有機汚濁の代表的指標であるBODまたはCOD、pH、全窒素及び全燐などの基準値が設定されている。 水生生物保全の観点から全亜鉛、ノニルフェノール、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩が追加され、平成28年度に底層溶存酸素量が追加されて現在では13項目となっている。 環境GISでは、下記10項目の測定データを公表している。

項目単位説明環境影響
pH
(水素イオン濃度指数)
log [N]水素イオン濃度指数のことで、主として、水の成分の指標として用いられており、水に何らかの化学物質がイオン状態で溶けこんでいる状態では、酸性か、アルカリ性を示す。酸性は pH7 未満、中性は pH7 、アルカリ性は pH7 を超えた値である。水質が酸性、あるいはアルカリ性になると、水利用の支障があるほか、水中に生息する生物に影響を及ぼす。
DO
(溶存酸素量)
mg/L水中に溶けている酸素量のことで、主として、有機物による水質汚濁の指標として用いられており、水中に溶ける酸素量は、水温に比例し、水温15度の時に約 9mg/l で飽和状態となる。最もきれいな水ではほぼ飽和状態。やや汚染された水では 5mg/L 以上。非常に汚染された水ではゼロないし微量になるとされている。常に酸欠状態が続くと、好気性微生物にかわって嫌気性微生物(空気を嫌う微生物)が増殖するようになり、有機物の腐敗(還元)が起こり、メタンやアンモニア、硫化水素が発生し、悪臭の原因になる。また、生物相は非常に貧弱になり、魚類は生息できなくなる。
BOD
(生物化学的酸素要求量)
mg/LBiochemical Oxygen Demand の略称で、主として、有機物による水質汚濁の指標として用いられており、河川の水域で、環境基準が適用される。環境基準類型AAでは 1mg/L 以下。やや汚染された水では 5mg/L 以下。かなり汚染された水では10mg/L 以下。非常に汚染された水では常に高濃度になるとされている。BOD が高い状態が続くと、水生生物相が貧弱になり、魚類などが生息できなくなる。
COD
(化学的酸素要求量)
mg/LChemical Oxygen Demand の略称で、湖沼及び海域の、主として、有機性物質による水質汚濁の指標として用いられている。COD が高い状態が続くと、水生生物相が貧弱になり、魚類などが生息できなくなる。
油分
(ノルマルヘキサン抽出物質量)
mg/L油分(ノルマルヘキサン抽出物質量)は、主として、無機性及び有機性の油分による汚染の指標として用いられている。特に海域では、オイルタンカーからの排水・事故による汚染が問題となっている。
大腸菌群数MPN/100ml大腸菌群数は、主として、人または動物の排泄物による汚染の指標として用いられている。水中から大腸菌が検出されることは、その水が人または動物の排泄物で汚染されている可能性を意味し、赤痢菌などの他の病原菌による汚染が疑われる。
SS
(浮遊物質量)
mg/LSuspended Solid (浮遊物質量)の略称で、主として、水の濁りの原因となる、水に溶解しない固体成分(浮遊物)による汚染の指標として用いられており、河川及び湖沼でのみ環境基準が適用される。水の濁りの原因となる浮遊物は、低濃度では影響が少ないが、高濃度では、魚の呼吸障害、水中植物の光合成妨害等の影響がある。また、沈殿物として、底質への影響がある。
全窒素mg/L全窒素・全燐は、湖沼や内湾などの閉鎖性水域の、富栄養化の指標として用いられている。水中では、窒素(リン)は、窒素イオン(リンイオン)、窒素化合物(リン化合物)として存在しているが、全窒素(全燐)は、試料水中に含まれる窒素(リン)の総量を測定するものである。窒素や燐は、植物の生育に不可欠なものであるが、大量な窒素や燐が内湾や湖に流入すると富栄養化が進み、植物プランクトンの異常増殖を引き起こすとみられている。湖沼におけるアオコや淡水赤潮の発生や、内湾における赤潮、青潮の発生が問題になっている。
全燐mg/L
全亜鉛mg/L亜鉛は、食品類や生活用品に幅広く含まれている。また、亜鉛を含む排水の排出源の業種も多岐にわたっている。亜鉛の主要用途は、亜鉛鋼版、伸銅品、ダイカスト、無機薬品等であり、これらの中で、公共用水域の亜鉛濃度の上昇に影響を与えているものとしては、塩化亜鉛や硫酸亜鉛等の「亜鉛の水溶性化合物」があげられる。亜鉛の人への毒性は弱く、飲用しても健康上の支障はないが、高濃度の亜鉛を含む水は、金属味がしたり、灰濁する。一方、ニジマス等のサケ・マス類は特に幼稚魚において亜鉛の急性毒性をうけやすい。

(備考)単位の説明
mg/L : 重量濃度を表す単位で、1mg/L とは、水 1L(リットル)中に物質が 1mg 含まれる場合をいう。
MPN/100mL : 大腸菌群は、MPN (most probable number) 最確数で表示される。 MPN/100mL とは、所定の培養による定量法により求めた 100mL 中の最確数をいう。

 

健康項目

水質汚濁に係る環境基準のうち人の健康の保護に関する環境基準の定められている項目で、カドミウム、全シアンなどの基準値が設定されている。昭和46年度は8項目だったが、以降、順次追加設定され、 平成21年度に1,4-ジオキサンが追加されて現在では27項目となっている。環境GISでは、下記27項目の測定データを公表している。

物質名化学式性状・用途健康影響・環境影響
カドミウムCd重金属。充電式電池、塗料、メッキ工業など用途が広い。自然界にごく微量であるが亜鉛ととも広く分布しており、地表水、地下水にごく微量が存在しているといわれる。生体への蓄積性があり、慢性中毒を引き起こす。イタイイタイ病の原因物質とされる。
全シアンCN無機化合物。メッキ工業、化学工業など。水中では、シアンイオン、シアン化合物として存在する。全シアンは、試料水中に含まれるシアンの総量を測定するものである。生体への蓄積性はない。急性中毒を引き起こす。シアンに汚染された水を飲用すると急速に粘膜から吸収され、血液中で呼吸酵素を阻害し、頭痛、吐き気、浮腫などを引き起こす。
Pb重金属。鉛蓄電池、鉛管、ガソリン添加剤など用途が広い。生体への蓄積性があり、慢性中毒を引き起こす。
六価クロムCr重金属。化学工業薬品・メッキ剤などに用いる。生体への蓄積性があり、慢性中毒を引き起こす。皮膚潰瘍、胃・肺ガン、鼻中隔湾曲などを発症する。
砒素As重金属。鉱山、製薬、半導体工業などに用いる。生体への蓄積性があり、慢性中毒を引き起こす。肝臓障害、皮膚沈着、皮膚がんなどを発症する。
総水銀Hg重金属。化学工業、電解ソーダ、蛍光灯、計器などに用いる。環境中で有機水銀に転換する可能性がある。
アルキル水銀RHgX ( X はハロゲン, R はメチル基などのアルキル基)金属有機化合物。かつては、有機水銀系農薬、有機水銀製剤があった。生体への蓄積性があり、慢性中毒を引き起こす。水俣病の原因物質とされ、運動失調や視野狭窄などを発症する。
PCB有機塩素化合物。かつては、電気絶縁油、熱媒体、ノーカーボン複写紙などに用いられたが、現在は製造されていない。生体への蓄積性があり、慢性中毒を引き起こす。生体黒色色素沈着、塩素座蒼などを発症する。油症事件の原因物質とされる。
ジクロロメタンCH2Cl2低分子有機塩素化合物。ジクロロメタンは、無色透明の水より重く、揮発性の液体で芳香臭がある。プリント基板の洗浄、金属の脱脂洗浄、冷媒、ラッカーなどに用いる。生体への蓄積性はない。発がん性がある。強浸透性のため、主に地下水への影響が問題となる。
四塩化炭素CCl4低分子有機塩素化合物。無色透明の水に難溶性の液体である。機械器具の洗剤、殺虫剤、ドライクリーニングの洗剤、フロンガスの製造、その他の化学工業原料などに用いる。
1,2-ジクロロエタンCH2Cl-CH2Cl低分子有機塩素化合物。無色透明の油状の液体で揮発性がある。塩化ビニルモノマーの原料、エチレンジアミン、合成樹脂の原料、フィルム洗浄剤、有機溶剤、殺虫剤などに用いる。
1,1-ジクロロエチレンCH2=CCl2低分子有機塩素化合物。無色ないし淡黄色で芳香臭の重い液体で揮発性、水に難溶性である。有機溶剤に可溶で、ポリ塩化ビニリデン(コーティングシート)の原料などに用いる。
シス-1,2-ジクロロエチレンCHCl=CHCl低分子有機塩素化合物。無色透明、芳香性、揮発性の液体で水に難溶である。溶剤、染料抽出剤、香水、ラッカー、熱可塑性樹脂の製造、有機合成原料などに用いる。
1,1,1-トリクロロエタンCH3-CCl3低分子有機塩素化合物。揮発性の液体である。金属の洗浄、ドライクリーニング用洗剤などに用いる。
1,1,2-トリクロロエタンCHCl2-CH2Cl低分子有機塩素化合物。無色透明、揮発性で水に溶けない液体である。有機溶剤にはよく溶ける。粘着剤、溶剤などに用いる。
トリクロロエチレンCHCl=CCl2低分子有機塩素化合物。揮発性で水に難溶性の液体である。機械金属部品や電子部品の脱脂やドライクリーニング用の洗剤などに用いる。
テトラクロロエチレンCCl2=CCl2
1,3-ジクロロプロペンCH2Cl-CH=CHCl低分子有機塩素化合物。淡黄色で水より重く、揮発性の液体である。土壌薫蒸剤、殺線虫剤などに用いる農薬である。発がん性がある。
チウラム別名;テトラメチルチウラム農薬。白色の結晶で水に難溶で、クロロホルムに可溶である。種子、球根、芝などの殺菌剤、ゴムの加硫促進剤などに用いる。急性中毒を引き起こす。
シマジン別名;2-700-4,6-ビス(エチルアミノ)-S-トリアジン農薬。白色の結晶で水、有機溶剤に難溶である。トリアジン系除草剤で、野菜、豆類、芝などに用いる。急性中毒を引き起こす。
チオベンカルブ別名;S-4-クロロベンジル=N-N-ジエチルチオカルバマート農薬。無色か淡黄色の液体で水に難溶で有機溶剤に可溶である。チオカーバメイト系除草剤で、稲、野菜、豆類などに用いる。急性毒性を引き起こす。
ベンゼンC6H6無色の液体で、沸点80℃の揮発性、可燃性、水より軽い。水に難溶、有機溶剤に可溶である。染料、溶剤、合成ゴム、合成皮革、合成顔料など、化学工業原料などに用いる。ガソリンに1%前後含まれる。発がん性がある。
セレンSe硫黄に類似した固体元素。複写機感光体、整流器、太陽電池、赤色顔料、ガラス着色剤などに用いる。発がん性がある。肝硬変を引き起こす。
硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素NO3-N , NO2-N硝酸イオンまたは亜硝酸イオンの化合物。電気めっきにおける洗浄剤・防錆剤、希土類精鉱の溶解剤、その他、製品の触媒、化学肥料などに用いられる。また、環境中で種々の有機窒素化合物、無機窒素化合物からアンモニア性窒素を経て生成される。急性中毒を引き起こす。高濃度の硝酸・亜硝酸性窒素を含む水の摂取によって、特に乳幼児にメトヘモグロビン血症を発症する。
ふっ素F化学作用は極めて強いため、自然界では、遊離の状態で存在せず、ホタル石等の形態で存在し、温泉水や海水中には比較的高濃度で存在する。金属の研磨やステンレスの洗浄目的で用いられる。また、鉄鋼業等で原料として使用するホタル石にふっ素が含まれる。海水中では自然状態で環境基準値を上回っているため、海域には環境基準が適用されないこととされている。また、海水の影響がある河川・湖沼にある環境基準点も評価から除外されている。高濃度のふっ素を含む水の摂取によって斑状歯が発生するほか、ふっ素沈着症が生じる。
ほう素Bほう素は自然界で多くはほう砂などとして存在し、温泉水や海水中には比較的高濃度で存在する。電気めっき工程の緩衝剤・めっき液として、また釉薬等製造工程などで用いられる。この他、石炭火力発電所に使用される石炭中にほう素が含まれている。海水中では自然状態で環境基準値を上回っているため、海域には環境基準が適用されないこととされている。また、海水の影響がある河川・湖沼にある環境基準点も評価から除外されている。高濃度のほう素を含む水の摂取によって嘔吐、腹痛、下痢及び吐き気等が生ずる。動物実験ではラットの体重増加抑制等の影響が見られる。
1,4-ジオキサンC4H8O2化学工業、医薬品製造業、繊維工業、一般機械器具製造業で、主に有機合成反応溶剤として用いられている。また、工業用途以外での1,4-ジオキサン排出源として、化学反応(エチレンオキシド重合反応)や界面活性剤生成の際の副生成や、1,1,1-トリクロロエタンへの添加(‘95年まで)、廃棄物からの浸出、家庭排水などがある。眼、鼻、咽頭に刺激性がみられ、さらに急性中毒として脳、肝臓、腎臓の障害がみられている。また、マウス、ラットに発がん性を示し、IARC (国際がん研究機関)では 2B (ヒトに対して発がん性を示す可能性がある物質)に分類している。

(備考) 単位は全て mg/L である。
mg/L : 重量濃度を表す単位で、1mg/L とは、水 1L(リットル)中に物質が 1mg 含まれる場合をいう。

 

特定項目

「水道水源法」の規定に基づき、トリハロメタン生成能が設定されている。

なお、トリハロメタン生成能については、水道水源法に基づき、特定水道利水障害を防止するため指定水域及び指定地域に指定された場合に、当該水域を水源とする浄水場の浄水処理方法、水温等を勘案して、当該水域の水質目標を定め、評価することとされているが、現在のところ指定がない。

項目化学式説明
クロロホルムCHCl3トリハロメタンとは、メタン (CH4) の4つの水素原子のうち3個が塩素や臭素などのハロゲン原子で置き換わった化合物で発がん性物質である。トリハロメタンは、水道原水中に含まれるフミン質等の有機物質が、浄水処理の過程で注入される塩素と反応して生じる。
トリハロメタン生成能とは、一定の条件下でその水がもつトリハロメタンの潜在的な生成量をいい、具体的には一定の pH ( 7 プラスマイナス 0.2) 及び温度(摂氏20度)において、水に塩素を添加して一定時間(24時間)経過した場合に生成されるトリハロメタンの量で表される。
ブロモジクロロメタンCHBrCl2
ブロモホルムCHBr3
ジブロモクロロメタンCHBr2Cl

(備考) 単位は全て mg/L である。
mg/L : 重量濃度を表す単位で、1mg/L とは、水 1L(リットル)中に物質が 1mg 含まれる場合をいう。

 

要監視項目

人の健康の保護に係る要監視項目

平成5年1月の中央公害対策審議会答申(水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準の項目追加等について)を受け、「人の健康の保護に関連する物質ではあるが、公共用水域等における検出状況等からみて、直ちに環境基準とはせず、引き続き知見の集積に努めるべき物質」として、環境庁が平成5年3月に設定したものである。

現在、人の健康の保護に係る要監視項目としてクロロホルム、トランス-1,2-ジクロロエチレン等の26項目が設定されている。

水生生物保全に係る要監視項目

有用な水生生物及びその餌生物並びにそれらの生息又は生育環境の保全に関連する物質ではあるが、公共用水域等における検出状況等からみて、現時点では直ちに環境基準とはせず、引き続き知見の集積に努めるべき物質として6項目が設定されているが、環境GISではそのうちクロロホルム、フェノール及びホルムアルデヒドの3項目を公表している。

 

特殊項目

水質汚濁防止法に基づく排水基準項目のうち、フェノール類、銅、亜鉛、鉄(溶解性)、マンガン(溶解性)、クロムの6項目が設定されている。特に必要な河川においては必要に応じて調査を実施することとしている。