大学研究室紹介

「開発援助と環境」(藤倉 良教授)

法政大学 人間環境学部(研究室なし)

研究内容

  • テーマ:
  • 開発援助と環境
  • 概要:
  • 開発途上国が経済開発を行うために、先進国や国際機関からの援助は重要な役割を果たしています。
    先進国の持つ高度な環境保全技術や制度を開発途上国に移転できれば、途上国の環境問題の解決に役立つでしょう。しかし、環境保全の制度や技術は、持ち込めばすぐに使えるというわけではなく,それを運用するための人材や社会的基盤が必要です。私は、どのような技術や制度がそれぞれの開発途上国で使えるのか、使えない場合にはどうすればよいのかを研究しています。
    また、開発途上国では、ダムや空港、道路などが不足していますので、援助によってこれらのインフラが建設されることもあります。その時、森林や湿地などが失われたり、住民が立ち退きをしなければならなくなることもあります。こうした環境や社会への影響をどのようにしたら軽減、克服できるのかということも研究テーマのひとつです。
  • キーワード:
  • 開発途上国, 開発援助, 環境と開発, 環境援助, 環境社会配慮
  • 学部体系:
  • 人文社会科学系(経済学系, 国際関係学系), 理工学系(土木建築学系, 資源・エネルギー系)
  • 研究分野:
  • 大気環境(排ガス処理・対策関連)

    発電所や工場から排出されるガスに含まれる二酸化硫黄を除去するには、排煙脱硫装置を設置しなければいけません。20年前までは、アジアでこの装置を設置・運転できたのは日本だけでした。今では、アジアの各地で排煙脱硫装置の設置が進んでいます。

    研究室概要

  • 大学・研究室名:
  • 法政大学 人間環境学部(研究室なし)
  • 研究室の特色・PR:
  • 学部では文科系のため、研究室はありません。ゼミでは、私の個人的研究テーマとは関係なく、環境科学の基礎を学習するための輪読などを行っています。
    大学院は社会人主体、修士のみ、どちらかといえば文科系のため、これも研究室はありません。院生が個別に私の部屋に来て、論文指導を受ける形式をとっています。
  • 先生のプロフィール:
  • 氏名:
    藤倉 良
    出身大学:
    東京大学理学部化学科
    出身大学院:
    東京大学大学院理学系研究科(理学修士)
    インスブルック大学大学院理学系研究科(理学博士)
    卒業研究のテーマと概要:
    学部:水溶液中のペニシリン分解生成物の研究
    大学院:Proton Nuclear Magnetic Resonance Studies on NAD+ in Polyvinylalcohol Gel (修士論文)
    Nuclear Magnetic Resonance Studies on Ion-Amide Interactions(博士論文)
    職歴など:
    1984年 環境庁入庁
    1990年 海外経済協力基金に出向(環境担当)
    1993年 環境庁地球環境部環境協力室室長補佐
    1995年 九州大学工学部助教授
    1999年 立命館大学経済学部教授
    2003年 法政大学人間環境学部教授
  • 所属学生の人数:
  • 21人~
  • ゼミの恒例行事(旅行・実習・調査など):
  • 1泊2日程度
    年 0回
    2泊~1週間未満
    年 1回
    1週間~1か月以内
    年 0回
    1か月以上
    年 0回
  • 研究室連絡先:
  • 東京都千代田区富士見2-17-1

    先生からのメッセージ

    「エコ」が日常語になり、「環境」がマスメディアで語られない日はありません。
    けれども、人々は環境問題の性質を正しく認識しているのでしょうか。はなはだ心元ないのが現状です。国立環境研究所の青柳みどり先生の研究チームが一般市民を対象にして調査を行ったら、地球温暖化と二酸化炭素との関係を正しく理解している人は殆どいないということが明らかになりました。環境科学を理解している人は少数派のようです。
    1960年代、日本が高度経済成長の裏側で激しい公害問題を引き起こし、公害病が多発した時代、そのメカニズムや対処方法を研究したのは、医学者、技術者、科学者たちでした。
    今から100年も前に地球温暖化が起こるかも知れないと心配した人も、50年前からハワイの山頂で二酸化炭素濃度を営々と測定し続けた人も、20年前にそれらのデータを使って将来の気候を予測しようとした人も、みな科学者です。
    30年前にフロンガスがオゾン層を破壊することを警告した人も、実際にオゾン層が南極上空で薄くなっているのを観測した人も、科学者でした。
    環境問題とは、人間活動が自然生態系に及ぼす物理的、化学的、時には生物的作用の結果です。「何がおきているのか」を理解するためには科学の知識が欠かせません。こうした知識を環境科学と呼ぶならば、それは、文系・理系を問わず環境問題を学び、研究するための必須知識だと私は思います。
    高校生や文系の大学生、あるいは一般の方に環境科学の基礎を学んでもらうため、数式や化学式を使わない入門書を書きました。関心のある方は、ぜひ、読んでみてください。
    藤倉良・藤倉まなみ 著 『文系のための環境科学入門』 有斐閣 2,100円+税

    (2009年1月現在)