大学研究室紹介

「土壌の植物生産・環境浄化機能の強化と制御」(増永二之教授)

土壌圏生態工学研究室

研究内容

  • テーマ:
  • 土壌の植物生産・環境浄化機能の強化と制御
  • 概要:
  • 「持続可能な食糧生産」「循環型社会の形成」「水環境の修復」などの社会要請に応えるために、土壌資源・生態系の持つ「植物生産」「生物多様性維持」「環境浄化」の機能を自然科学の視点から解明し、それらの機能の制御・強化を可能にする工学的技術および利用方法について、国内外の種々のフィールドにおいて研究を行っています。
    具体的な研究活動としては、実験室における土壌、植物、水の理化学分析、室内野外での水処理や植物栽培試験、野外調査・観測を「水環境分野」「植物栄養分野」「森林環境分野」「微生物生態分野」「生命工学分野」の各研究室と協力しながら行っています。

    <研究内容>
    ・土壌生態系の環境浄化機能を利用した汚水浄化技術の開発と利用に関する研究
    ・有機性廃棄物の資源化とその土壌の植物生産機能強化資材として農業・園芸などへの利用に関する研究
    ・土壌―植物系における栄養生態学的研究
     熱帯雨林の樹木多様性と土壌
     耐塩性樹木(Tamarix sp.)が周辺土壌の理化学性に及ぼす影響(メキシコ、バハカリフォルニア州)
    ・集水域の持続的土地利用に関する研究
  • キーワード:
  • 土壌学, 生態工学, 持続可能な食糧生産, 環境浄化, 有機性廃棄物の資源化
  • 学部体系:
  • 理工学系(資源・エネルギー系), 農学・生命科学系(農学・生命科学系)
  • 研究分野:
  • 地球環境(バイオマス・バイオ燃料関連, 炭素隔離・固定関連)、水・土壌環境(排水処理・対策関連)、ごみ・リサイクル(廃棄物処理関連)、自然環境(緑化・自然再生など環境創造関連, 流域圏保全、その他)

    実習風景。土壌は、地球と言う大きな循環系の要であり、命が生まれる場・また還っていく場でもあります。

    インドネシアジャワ島。集水域の持続的土地利用に関する研究をしています。

    多段土壌層法。汚水浄化機能を強化した改良土壌をレンガ積層状に配置し、周囲に通水性の良い粒子径の比較的均一な資材を充てんした構造のもの。

    研究室概要

  • 大学・研究室名:
  • 土壌圏生態工学研究室
  • 研究室の特色・PR:
  • 土壌をキーワードとして、土ー水ー植物生態系全般を対象に、農学・環境学の視点から幅広く研究活動を行っています。具体的な研究テーマとしては、「土壌生態系の環境浄化機能を利用した汚水浄化技術の開発と利用」、「有機性廃棄物の資源化とその土壌の植物生産機能強化資材として農業・園芸などへの利用」、「熱帯林や乾燥地植物の栄養生態学」、「インドネシアの集水域の持続的土地利用」他があります。詳細は研究室のHPをご覧下さい(http://www.ipc.shimane-u.ac.jp/ecotech-soil/index.html)
    学生の就職先としては、地方公務員、JICA専門家、国際農林水産業研究所、緑化関連企業、排水処理関連企業、環境コンサル、環境計量事業所、他。
  • 先生のプロフィール:
  • 氏名:
    増永二之
    出身大学:
    島根大学農学部農芸化学科
    出身大学院:
    島根大学農学研究科 修士課程、鳥取大学大学院連合農学研究科 博士課程
    卒業研究のテーマと概要:
    学部:樹木の葉の寿命と無機元素動態の関係
    大学院:熱帯雨林樹木の種多様性と栄養特性および土壌養分状態の関係
    職歴など:
    1992-1994年 青年海外協力隊 ニジェール国土壌肥料隊員
    1995-1996年 国際協力機構(JICA) インドネシア土壌専門家
    1999年12月ー島根大学生物資源科学部 教員
  • 所属学生の人数:
  • 11~20人程度
  • ゼミの恒例行事(旅行・実習・調査など):
  • 1泊2日程度
    年 0回
    2泊~1週間未満
    年 0回
    1週間~1か月以内
    年 1回
    1か月以上
    年 0回
    主な行先: インドネシア
  • 研究室連絡先:
  • 島根県松江市西川津町1060
    0852-32-6066

    インドネシアジャワ島の棚田。ジャワ島における過去30年間の水田土壌の理化学性の変化を調べています。

    2008年 3月25日 学位授与式&フェアウェルパーティ。それぞれの道で活躍できるのを祈っています。卒業おめでとう!

    研究室メンバーからのメッセージ

    ・当研究室のスタイルは「おもしろい研究を自主的にやろう」です。先生は、よい研究案を持っていけば、その研究をやらせてもらえます。自分で調べ、とりあえずやってみれば、先輩や先生がアドバイスをくれる。学生は受動的ではなく、能動的な雰囲気です。
    ・留学生の多い研究室で、学部生や修士学生も積極的に留学生と会話することにより語学が鍛えられます。また、留学生との交流や、海外調査などで色々な国の人と交流することにより、日本以外の国の事を知ることができ、国際感覚が少しは身に付きます。
    ・当研究室に在学中や、卒業後、青年海外協力隊に参加して海外派遣された人がこれまでに-9人居ます。増永先生も、大学院卒業後に青年海外協力隊員として西アフリカのニジェールで活動されていました。青年海外協力隊に参加したい学生さんは、私たちは土壌学の研究室ですので関連職種が多く、いろいろな職種に挑戦できる事が強みかもしれません。実際、研究室より派遣された人の職種は土壌肥料、村落開発、稲作、植林、野菜など多岐にわたっています。派遣された国も、アフリカ、アジア、南米と、色々です。協力隊に参加した研究室出身者は、皆さん海外での経験を積み、視野を広めて帰国し、その後も研究者や大学の教員、国際協力専門家を始め各種の仕事で活躍をしています。

    先生からのメッセージ

    「環境」という言葉が世界で意識されるようになり、今後ますます環境にかかわる学問分野の重要性が増してきます。しかし、環境に係わる学問分野は幅広く、生態学、農学、工学、政治学、経済学、倫理学etc、など非常に多岐にわたります。そこで、大学に入って環境について学びたいと考えている皆さんには、まずどんな分野について学びたいのかよく考えることをアドバイスします。さもないと、環境という言葉の付く学部や学科で進学先を選んで、入学してから「自分が学びたかったのは、この分野ではなかった・・」と気づくこともあり得るからです。実は、これは環境に係わる分野だけでなくすべての分野についても同じです。大学では、学生は能動的に学ぶことが求められます。その準備として高校生の間に、「自分はこれから何を勉強したいのか?」と色々な本を読んだりして情報を集めて考えてほしいと思います。
     私たちの研究室でも土壌をキーワードに先に紹介したような色々な研究を行っています。普段の生活で、農業など土に触れる仕事をしておられる方以外は「土壌」を意識することはほとんど無いと思います。しかし、陸上の物質循環、植物生育、水の浄化・保持など生物の生存の核となるものなのです。土壌について、ちょっと知りたいなと思った方に、次の本を紹介します。
    「土とは何だろうか?」久馬一剛著、京都大学学術出版会
     皆さんに、大学でお会いできるのを楽しみにしています。

    (2009年1月現在)