「バイオエコシステムを活用した環境再生国際戦略研究」(稲森悠平教授)

福島大学バイオ・エコエンジニアリング研究室

研究内容

有毒藍藻類の異常増殖した中国富栄養湖。藍藻類Microsystis属の中には青酸よりも強力な有毒物質であるMicrocystinを産出する種が存在する。

世界における有毒藍藻類の発生・被害状況。ブラジルで54人が死亡、など世界各地で被害が発生している。

窒素・燐同時除去の環境保全効果。窒素・燐除去により、藻類増殖潜在力はほぼ安全なレベルにまで下がる。

テーマ:
バイオエコシステムを活用した環境再生国際戦略研究
概要:
水処理工学としてのバイオエンジニアリングおよび湖沼、土壌等に工学の力を導入した生態工学としてのエコエンジニアリングを組み合わせた、国際的に新しく構築されたバイオ・エコエンジニアリングによる水環境再生分野のシステム技術は、流域管理対策として国際的に極めて注目される、いわゆるバイオエコシステムといえます。
特に、1)汚濁・富栄養化した水環境の再生・保全のための有用生物活用、2)生態工学・水処理工学の基盤技術と応用技術のシステム開発の解析・評価、3)開発されたシステム技術を発展途上国に移転するための実用システム化、4)水浄化の原点である細菌、藻類、菌類、原生動物、微小後生動物等からなる食物連鎖の環境浄化における役割、5)窒素、リン等の除去・高度効率化、6)汚泥、植物残渣等の廃棄物のリサイクルシステム技術、7)有毒アオコの発生防止と安全な飲用水確保のための上水の高度処理技術、8)生ごみ、畜産糞尿等のバイオマスからのクリーンエネルギー回収技術、9)地球温暖化を引き起こす温室効果ガス負荷削減技術、10)開発されたシステム技術を流域に効果的に普及整備するための基準化・政策化手法解析等の基盤的、応用的、実用的な研究開発に現在取り組んでいます。
キーワード:
バイオ・エコエンジニアリング, 生活排水対策, 流域管理対策, バイオマス利用, 温室効果ガス対策, 水質保全・再生の国際化
学部体系:
理工学系(応用化学系, 生物工学系, 土木建築学系, 資源・エネルギー系), 農学・生命科学系(農学・生命科学系), その他(生活科学系)
研究分野:
地球環境(バイオマス・バイオ燃料関連, 省エネ技術・エネルギー有効利用等)、水・土壌環境(排水処理・対策関連, 土壌・地下水汚染対策関連, その他水・土壌関連)、ごみ・リサイクル(廃棄物処理関連)

研究室概要

国際的中核拠点としての国立環境研究所のBio-Eco Engineering研究施設。

環境の世紀において、水環境の保全・再生はますます強化して取り組むべき課題で、日本が技術的・科学的立国として国際的リーダーシップを確保する上でも重要。

大学・研究室名
福島大学バイオ・エコエンジニアリング研究室
【研究室の特色・PR】
バイオ・エコエンジニアリング研究室は我が国のみならず国際的に問題となっている環境問題を対象としてその効果的対策による環境保全再生を図り、福島大学が国際的に一流となることを目指して卒論生、大学院生をはじめ、産学官の有能な研究者と連携して研究推進し、国際化を目指しています。
小職は平成19年3月まで独)国立環境研究所においてバイオエコシステムの基盤を構築し研究を実施してきましたが、福島大学理工学群共生システム理工学類においてもバイオ・エコエンジニアリング研究室として引き続き国際化を目途とした産官学連携の研究を推進しております。研究室では湖沼生態系機構、地球温暖化対策、水素エネルギー回収、アオコ発生防止対策、細菌・藻類、原生動物、輪虫、ミジンコ等の食物連鎖による浄化機構等環境再生に係る第一線の研究に着目しております。本年度が一期生の配属でしたが、全員大学院に進学しております。定期的な教室コンパにより親睦を深めています。なお、資格としては公害防止管理者、技術士、環境計量士の取得のための指導をしております。
【先生のプロフィール】
氏名:
稲森悠平
出身大学:
鹿児島大学農学部農芸化学科
出身大学院:
鹿児島大学大学院農学研究科
卒業研究のテーマと概要:
学部:  単細胞緑藻類クロレラの培養特性に関する研究
大学院:単細胞緑藻類クロレラからの有用酵素の回収利用に関する研究
職歴など:
昭和48年 (株)明電舎研究所入所
昭和54年 東北大学理学博士(理第601号)
昭和55年 (株)明電舎研究所退所
昭和55年 国立公害研究所入所
昭和59年 国立公害研究所主任研究員
平成 2年 国立環境研究所(名称変更)総合研究官
平成13年 (独)国立環境研究所主席研究官、室長
平成18年 (独)国立環境研究所室長
平成19年 福島大学教授
研究室HP:
http://www.fukushima-u.ac.jp/
【所属学生の人数】
11~20人程度
【ゼミの恒例行事(旅行・実習・調査など)】
1泊2日程度  年 1回
2泊~1週間未満  年 0回
1週間~1か月以内  年 0回
1か月以上  年 0回
主な行先: 独)国立環境研究所バイオ・エコエンジニアリング研究施設
【研究室連絡先】
福島県福島市金谷川1
024−548−5254
ina0120@sss.fukushima-u.ac.jp

研究室メンバーからのメッセージ

(1)バイオエコエンジニアリング研究室では多種多様な環境問題に対応した最先端技術を扱っており、他には無い設備が整った基盤・応用化の研究ができます。また、教授である稲森悠平先生は、これまで多くの学生を育てあげてきた指導者かつ研究者です。多少風変わりなところもありますが、学生のことを最も良く理解し、考えてくれるあたたかい先生です。
(2)当研究室では各学生がそれぞれ異なる分野の研究を行っており、彼らと討論することで自分が行っている研究以外の幅広い知識を得ることが出来ます。教授の稲森悠平先生は国際的にも有名な先生であり、外国の学生・研究者と交流する貴重な経験をさせていただいています。先生は自ら率先して実験をされ、それが学生達にいい刺激となっています。このような環境で研究でき、受け入れてくださった先生には大変感謝しております。
(3)当研究室では、環境に関する多岐に渡る分野が研究されています。ますます環境意識が高まる社会において、総合的に問題をとらえる事は重要だと思います。稲森先生をはじめ様々な分野のプロの方々の指導で、視野が広くなると思います。
(4)研究室では学生がそれぞれのテーマに沿って研究、解析を行っています。またお互いの研究に関心を持ち意見交換をしています。実際に研究を行って不明な点等は稲森悠平先生にアドバイスをもらっています。またアドバイスから自分でどのようにすれば問題点を解消できるのか考えることのできる環境が整っています。指導に加え自らの研究に情熱を注いでいる先生です。
(5)当研究室では分析関係において優れた設備を有しており、環境問題に対して、研究所と同程度の実験を行うことが可能です。当研究室の教授である稲森悠平先生は、一流の研究者というのはもちろんですが、指導者としても学生のことを一番に考えて下さり、時には厳しく時には優しく育て導いてくれるすばらしい先生です。
(6)私は、稲森悠平教授から指導を受けて約半年になります。先生は研究室では各学生の実験装置をじっと眺め、学生に対してアドバイスや、具体的な指導をしてくれ、時には一喝されることもあります。ですが、それだけ学生のことをよく見てくれていて、とてもエネルギッシュな先生です。バイオエコエンジニアリング研究室では、水処理、バイオマス、廃棄物処理をはじめ、様々な環境問題に対して最先端で研究を行っており、設備も充実しているので自身が望めばやりたいことが研究できる研究室です。
(7)本研究室は、大学院修士課程3名・学類4年生6名の学生が在籍しています。学類生の中の2名は国立環境研究所で、他の7名はバイオ・エコエンジニアリング研究室で研究を行っています。研究内容は様々ですが、それぞれの研究に必要な機器や施設が整備されており、国際的に通用する研究に日々励んでいます。稲森悠平先生は多くの研究成果を出しておられ、学生の指導もなさってきたと同時に、現役の研究者でもあります。また、高い志と熱いハートの持ち主です。常に仕事優先で休みなく働いておられますが、プライベートも楽しんでらっしゃるようです。とても若くて、会うといつも元気をくださる素敵な先生です。
(8)本研究室は、バイオエコエンジニアリング手法による水質保全・改善に関する研究を行っています。稲森先生は、国立環境研究所で主任研究官を勤めた経歴を持ち、日本のみならず、国際的な産官学の大型プロジェクトも手掛けていらっしゃいます。自ら休みは無いと公言されている通り、日々精力的に研究している研究者として大変尊敬できる先生です。学生も社会の第一線で活躍するための研究に取り組みたいというやる気のあるメンバーが揃っており、先生の指導の下で研究に励んでいます。稲森先生を先頭に福島大学を国際的な大学にすることが目標です。
(9)当研究室には環境問題を解決するための優れた研究設備があり、環境問題に対して学生でも本格的に実験を行うことが可能です。当研究室のボスである稲森悠平先生は、世界的に著名な研究者というだけでなく、指導者としても学生に熱心に指導して下さいます。生活面でも留学生の私に叱咤激励し導いてくれるすばらしい先生です。留学生としても先生の下で研究できることは非常に幸せなことだと思います。

先生からのメッセージ

当研究室においては、水環境再生、バイオマス資源循環等の研究を実施しています。福島大学を国際的一流にするために実施していますが、工学・理学系(生物、遺伝子、環境等)および英語等国際的に展開できる基礎学習を行う事が大事と考えております。なお、小職の長年の経験から、自分の研究を多くの人に理解してもらうために英語でのプレゼンテーションができるような努力が必要ですし、環境研究に必要な生物、数学(統計)、英語、化学の基礎的な勉強が大事です。
1. 「環境浄化のための微生物学」(共著)、(株)講談社サイエンティフィク、東京.
2. 水処理における微生物制御,微生物生態研究会編「微生物の生態11変動と制御をめぐって」、
  学会出版センター、東京.
3. 「生物相からみた処理機能の診断」、産業用水調査会、東京.
4. 河川生態系の制御と利用,環境技術研究会編「微生物による環境制御・管理技術」、環境技術研究会、大阪.
5. 「富栄養化対策総合資料集」(共著)、(株)サイエンスフォーラム、東京.
6. Energy saving wastewater treatment processes for small scale wastewater treatment plants.
  Biotechnol. Bioporcess Eng. (T. K. Bhouseed.) New Delhi.
7. 「新しい活性汚泥法」、産業用水調査会、東京.
8. 「微生物生態学I」、共立出版株式会社、東京.
9. 「微生物固定化法による排水処理」(共著)、産業用水調査会、東京.
10.「環境微生物実験法」(共著)、(株)講談社サイエンティフィク、東京.
11.「河口・沿岸域の生態とエコテクノロジー」(共著)、東海大学出版会、東京.
12.「微生物学辞典」(共著)、技報堂、東京.
13. 小規模事業場排水処理対策全科−小規模事業場排水対策指導指針−環境庁水質保全局監修、
  小規模事業場排水対策の進め方、公害対策技術同友会、東京.
14. 「空気調和・衛生用語辞典」(共著)、オーム社、東京.
15. 「環境を守る技術、エコテクノロジーの時代へ」(共著)、読売新聞社、東京.
16. 「水環境の基礎と応用」(共著)、産業用水調査会、東京.
17. 「環境微生物工学研究法」(共著)、技報堂、東京.
18. 「湖沼・河川の環境保全技術と総合浄化システム」(共著)、シーエムシー、東京.
19. 「Q&A水環境と洗剤」(共著)、ぎょうせい、東京.
20. 「水処理バイオ入門」(共著)、産業用水調査会、東京.
21. 「環境微生物図鑑」(共著)、(株)講談社サイエンティフィク、東京.
22. 「土壌・地下水汚染と対策」(共著)、(社)日本環境測定分析協会、東京.
23. 「水のリスクマネジメント実務指針」(共著)、(株)サイエンスフォーラム、東京.
24. 「環境修復のための生態工学」(共著)、(株) 講談社サイエンティフィク、東京.
25. 「有害・有毒藻類ブルームの予防と駆除」(共著)、恒星社厚生閣、東京.
26. 「生活排水対策のための高度処理浄化槽の普及と展開に向けて」(共著)、ぎょうせい、東京.
27. 「Technology Transfer Manual on Measures against Lake Eutrophication」(共著)、
  Overseas Environmental Cooperation Center、東京.
28. 「水環境保全のための生物学」(共著)、産業用水調査会、東京.
29. 「生態修復技術与管理指針」(共著)、科学出版社、中国(北京).
30. 「排水・汚水処理技術集成」(共著)、エヌ・ティー・エス、東京.
31. 「最新環境浄化のための微生物学」(編著)、(株)講談社サイエンティフィク、東京.

(2009年1月現在)