国際エネルギー機関は、大規模な電力不足に備え、政府や電力会社が緊急節電計画を策定することが重要とする新たな報告書『緊急節電』を発表した。世界の電力需要は今後25年間で年間2%の増加が予想され、電力供給の安定性も干ばつや地震などの自然災害によって損なわれている。また電力不足の長期化は、経済競争力の低下や環境への悪影響を招く可能性がある。この現状を受け、報告書では、2005年に同題で発表した報告書を更新し、大震災後電力不足に見舞われた日本や、雪崩による送電線の切断を経験したアラスカなど、世界5ヶ国で実施された対応事例を分析するとともに、電力政策や緊急節電計画を策定する際に検討すべき事項を明らかにしている。具体的には、1)予想される電力不足の原因と期間に関する分析に基づくシナリオの特定、2)主な節電の機会の特定、3)節電対策(電力の供給制限や価格調整、情報伝達活動、代替技術の利用など)の包括的な実施、の3段階を提示。また、節電計画の策定と実施について責任を担う組織を明確化することを提案している。