発見から数年で北米全体に広がった西ナイルウイルスの感染は、実はわずか数種の蚊と鳥によるもので、人間が改変した土地(都市や農地等)で特に蔓延しているとの研究結果を、アメリカの生物学者が『サイエンス』誌に発表した。北米では3種の蚊が主な媒介生物として特定されているが、この蚊は人を刺すことはほとんどなく、一般的な野鳥のコマツグミの血を吸う。これは、コマツグミの個体数が多いからではなく、特にこの鳥を好む蚊の食性によるものだという。こうした蚊との関係から、研究者は、コマツグミを感染拡大の宿主「スーパー・スプレッダー」と位置付けた。人への感染は、このような蚊が偶発的に人を刺すことで起きるという。ウイルスは、航空機によってアメリカに移入した可能性が指摘されているが、移入後すぐに新たな環境に順応し、より効果的に感染を拡大させる新たな系統に進化した。媒介生物の食性が感染拡大の要因になるという今回の研究結果は、今後の疾病対策や新規移入病原体の定着防止に向けた戦略に役立つという。
情報源 | アメリカ国立科学財団(NSF) プレスリリース |
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国・地域 | アメリカ |
機関 | アメリカ国立科学財団(NSF) |
分野 | 健康・化学物質 自然環境 |
キーワード | アメリカ国立科学財団 | NSF | 北米 | 感染症 | 媒介 | 病原体 | 西ナイルウイルス | 蚊 | コマツグミ | 疾病 |
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