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 東北大学、生物の多様な進化に甲状腺ホルモンが関係することを発見

発表日:2010.11.19


  東北大学は、同学生命科学研究科の北野潤助教らの研究により、生物が多様な環境へ適応していく過程において、甲状腺ホルモンの進化が重要であることが示されたと発表した。同研究では、急速な多様化を遂げた魚として進化生物学の分野で注目されているトゲウオ科魚類のイトヨを用いて、基礎代謝に重要なホルモンである甲状腺ホルモンを分析。その結果、祖先型である海のイトヨと、河川に侵出して適応したイトヨを比較すると、河川のイトヨは、甲状腺ホルモンや甲状腺刺激ホルモンの量、代謝活性、活動活性などが低く、その原因がゲノム上の遺伝子調節領域の遺伝的変異に由来することを突き止めた。河川のイトヨは、海のイトヨのように外洋を回遊する必要がない上に、海と比べて河川には餌資源が少なく、溶存酸素濃度も低いことが多いため、代謝活性や運動活性を下げることが有利に働いたと考えられるという。同研究では今後、甲状腺ホルモンに限らず、他のホルモンがどのように変化しながら生物が多様性を獲得していったのか、適応進化の機構の全貌解明を目指すという。

情報源 東北大学 プレスリリース
同上 詳細版(PDF)
機関 東北大学
分野 自然環境
キーワード 生物多様性 | 東北大学 | 河川 | 甲状腺ホルモン | 適応 | 遺伝子 | 代謝 | イトヨ | 進化
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