環境法令ガイド

地球温暖化対策の推進に関する法律(地球温暖化対策推進法/温対法)
Act on Promotion of Global Warming Countermeasures

地球温暖化対策推進法(温対法)は、国、地方公共団体、事業者、国民が一体となって地球温暖化対策に取り組むための枠組みを定めています。

■総則(第1条~第7条)
■地球温暖化対策計画(第8条・第9条)
■地球温暖化対策推進本部(第10条~第19条)
■温室効果ガスの排出の抑制等のための施策(第20条~第27条)
・温室効果ガス算定排出量の報告(第21条の2)
・報告事項の通知等(第21条の4)
・報告事項の記録等(第21条の5)
■森林等による吸収作用の保全等(第28条)
■割当量口座簿等(第29条~第41条)
・割当量口座簿の作成等(第29条)
・管理口座の開設(第32条) 
■雑則(第42条~第47条)
■罰則(第48条~第50条)
用語解説(五十音順、別ウインドウ)
■全条文(e-Gov)

●イラストは日本固有植物のホソエカエデ(柄楓Acer capillipes カエデ科カエデ属 落葉高木)。分布地は本州・四国で、山地に自生し、高さ10~15メートルになります。和名は枝が細長いことに由来します。カエデの仲間は、気象状況の推移を知るために生物季節観察に利用されています。


  気候変動(地球温暖化)に対する対策のため、国際的には、気候変動枠組み条約が1992年に採択され、1997年の気候変動枠組み条約第3回締約国会議においては 京都議定書が採択されました。

  気候変動枠組み条約では、「気候変動」とは、地球の大気の組成を変化させる人間活動に直接または間接に起因する気候の変化であって、比較可能な期間において観測される気候の自然な変動に対して追加的に生ずるものとされています(1条2項)。


  わが国は、1993年に、気候変動枠組み条約を締結し、環境基本計画の基本理念の一つに 「国際的協調による地球環境保全の積極的推進」 を挙げ、気候変動(地球温暖化)対策への取り組みを前進させています。

  地球温暖化対策推進法(温対法)は、1998年に成立し、その後改正を繰り返しています。


  本法は、地球温暖化に関して、 地球温暖化対策計画の策定(第8条関係) や社会経済活動その他の活動による 温室効果ガス の排出の抑制等を促進するための措置を講ずること等によって、地球温暖化対策の推進を図り、現在および将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献することを目的としています。


●温室効果のメカニズム
地球から放射される熱を逃がす赤外線を通しにくい温室効果ガス(二酸化炭素・メタン・亜酸化窒素・フロンなど)の濃度が上昇すると気温が上がります。(環境省パンフレット「STOP THE 温暖化 2008」より修正して引用)

  本法では、「地球温暖化」とは、人の活動に伴って発生する温室効果ガスが大気中の温室効果ガスの濃度を増加させることにより、地球全体として、地表、大気および海水の温度が追加的に上昇する現象と定義されています(温対法2条1項)。「地球温暖化対策」は、温室効果ガスの排出の抑制や吸収作用の保全・強化、国際的に協力して地球温暖化の防止を図るための施策を指しています(温対法2条2項)。


  この法律は温暖化対策に係る取り組みを定めたものであり、国、地方公共団体、事業者、国民それぞれの責務が定められました(温対法3~6条)。具体的には、政府や地方公共団体による 「実行計画」 の策定、 温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度(第21条関係)、割当量口座簿制度などが定められています。



■地球温暖化対策計画(第8条)

「地球温暖化対策計画」は、2012年までの京都議定書第一約束期間の約束達成のための「京都議定書目標達成計画」に代わるものです。
 
 
 
 
地球温暖化対策を総合的・計画的に推進するための計画で、現在策定中です。

  「地球温暖化対策計画」は、温対法の2013年改正によって、「京都議定書目標達成計画」に代わるものとなった、 京都議定書 第一約束期間後も引き続き、地球温暖化対策の総合的かつ計画的な推進を図るために策定する計画です。この新しい計画は、2016年2月現在策定中です。


  2013年改正前の温対法では、「政府は、京都議定書第3条の規定に基づく約束を履行するために必要な目標の達成に関する計画(以下「京都議定書目標達成計画」という)を定めなければならない」と規定していました(2002年改正で導入)。


  2005年2月に発効した京都議定書によって、わが国には温室効果ガスの6%削減が法的拘束力ある約束として定められ、この発効に伴って、2005年4月に京都議定書目標策定計画を策定しました。これは、温室効果ガスの総排出量を第一約束期間(2008年~2012年)に1990年比で6%削減することを内容とする京都議定書の約束の達成のため、具体的裏付けのある対策の全体像を示していました(その後2008年に全部改定)。温室効果ガス別の目標・対策・実施スケジュール、 京都メカニズム の活用や森林整備等の 吸収源 対策などが定められました。


  これに対し、京都議定書第一約束期間が2012年末で終了し、 京都議定書目標達成計画(リンク:環境省ホームページ)に基づく取り組みも2012年度末をもって終了したことで新たな計画が必要とされ、温対法2013年改正で規定されたのが「地球温暖化対策計画」です。


  わが国は京都議定書から離脱はしないものの第ニ約束期間(2013年~2020年)には加わっておらず、現在、法的拘束力のある数値目標はありません。しかし、2010年にカンクンで開催された 気候変動枠組条約の締約国会議における合意(カンクン合意)に基づき、引き続き地球温暖化対策に取り組むため、地球温暖化対策計画を策定することとなりました。カンクン合意は、各国が2020年の目標を自主的に決定する仕組みとなっております。


  「地球温暖化対策計画」は現在策定中です。国は、地球温暖化対策を総合的かつ計画的に推進するため、温室効果ガスの排出抑制および吸収の目標、事業者・国民等が講ずべき措置に関する具体的事項、目標達成のために国・地方公共団体が講ずべき施策等を内容とする地球温暖化対策計画を策定するものとされています。地球温暖化対策計画の案は、 地球温暖化対策推進本部において作成することとしています。


  2013年3月に開催された地球温暖化対策推進本部の会議においては、「当面の地球温暖化対策に関する方針」(2013年3月15日)が決定しました。これは、地球温暖化対策計画の策定の進め方を明らかにするとともに、計画の策定に至るまでの間においても、地方公共団体・事業者および国民に対し、従来の計画に掲げられたものと同等以上の取り組みを求める旨を定めたものです。


  地球温暖化対策計画に位置付ける対策・施策については、京都議定書目標達成計画の実施および進捗点検を通じて得られた知見を十分に活用しながら、エネルギー政策の検討状況を考慮しつつ、わが国の経済活性化にも資するものを目指すとしています。


(地球温暖化対策計画)
第8条 政府は、地球温暖化対策の総合的かつ計画的な推進を図るため、地球温暖化対策に関する計画(以下「地球温暖化対策計画」という。)を定めなければならない。

2 地球温暖化対策計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 計画期間
二 地球温暖化対策の推進に関する基本的方向
三 国、地方公共団体、事業者及び国民のそれぞれが講ずべき温室効果ガスの排出の抑制等のための措置に関する基本的事項
四 温室効果ガスである物質の種類その他の区分ごとの温室効果ガスの排出の抑制及び吸収の量に関する目標
五 前号の目標を達成するために必要な措置の実施に関する目標
六 前号の目標を達成するために必要な国及び地方公共団体の施策に関する事項
七 第20条の2第1項に規定する政府実行計画及び第20条の3第1項に規定する地方公共団体実行計画に関する基本的事項
八 温室効果ガス総排出量が相当程度多い事業者について温室効果ガスの排出の抑制等のための措置(他の温室効果ガスの排出の抑制等に寄与するための措置を含む。)に関し策定及び公表に努めるべき計画に関する基本的事項
九 第3条第4項に規定する措置に関する基本的事項
十 前各号に掲げるもののほか、地球温暖化対策に関する重要事項

3 内閣総理大臣は、地球温暖化対策計画の案につき閣議の決定を求めなければならない。

4 内閣総理大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、地球温暖化対策計画を公表しなければならない。

■温室効果ガス算定排出量の報告(第21条の2)、報告事項の通知等(第21条の4)、報告事項の記録等(第21条の5)

「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」は、温室効果ガスの排出者自らが排出量を算定・報告し、国が報告された情報を集計し公表する制度です。
 
 
 
 

  温対法の2005年改正で、「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」が導入され、2008年改正でこの一部が変更されました。温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度は、温室効果ガスの排出者自らが排出量を算定することにより、自らの排出実態を認識し、自主的取り組みの基盤を確立するとともに、排出量の情報を可視化することにより、国民・事業者全般の自主的取り組みを促進し、その気運を高めることを目指したものです。これは、 情報的手法 の実践になっています


  まず、事業活動に伴い相当程度多い温室効果ガスの排出をする者(特定排出者)は、毎年度、事業者ごとに、温室効果ガス算定排出量を事業所管大臣に報告しなければなりません(温対法21条の2)。


  特定事業者には、国または地方公共団体の事務および事業に伴って相当程度多い温室効果ガスの排出をする者も含みます。

温室効果ガス算定排出量とは、二酸化炭素を1として温室効果ガスごとに地球温暖化係数が決められており、温室効果ガスの物質ごとにその排出量に地球温暖化係数を乗じ、二酸化炭素換算して算出された排出量をいいます。


  2008年改正で、この算定・報告は、事業所単位から事業者単位・フランチャイズ単位による排出量の算定・報告に変更されています。この変更によって対象範囲が拡大されました。


  特定排出者は、エネルギー起源二酸化炭素(燃料の使用、他者から供給された電気の使用、他者から供給された熱の使用)の場合には、すべての事業所のエネルギー使用量合計が年間1500キロリットル以上となる事業者や、 省エネ法対象事業者とされています。


  エネルギー起源ではなく事業活動に伴って温室効果ガスを伴う事業の場合(原油または天然ガスの試掘・生産、燃料を燃焼の用に供する施設・機器における燃料の使用など)には、二酸化炭素換算で年間3000トン以上を排出し、かつ常時使用する従業員の数が21人以上の事業者とされています(温対法施行令5条)。


  エネルギー起源二酸化炭素の報告については、省エネ法の定期報告書を利用した報告を認めるなど、省エネ法の枠組みを活用しています。


  続いて、事業所管大臣は、特定事業者から報告されたデータを環境大臣および経済産業大臣に通知します(温対法21条の4)。2大臣は、事業所管大臣から通知されたデータを電子ファイルに記録するとともに、排出量の集計結果を集計し、公表します(温対法21条の5)。公表は、企業単位、業種単位、都道府県単位で温室効果ガスごとになされます。

 これによって、排出量が公表され、国民が閲覧できることとなります。また、誰でも、事業所ごとの排出量の開示請求を行うことができるとされています(温対法21条の6)。

●算定・報告・公表制度全体の流れ

* 平成27年度環境省「算定・報告・公表制度の概要」より修正して引用


(温室効果ガス算定排出量の報告)
第21条の2 事業活動(国又は地方公共団体の事務及び事業を含む。以下この条において同じ。)に伴い相当程度多い温室効果ガスの排出をする者として政令で定めるもの(以下「特定排出者」という。)は、毎年度、主務省令で定めるところにより、主務省令で定める期間に排出した温室効果ガス算定排出量に関し、主務省令で定める事項(当該特定排出者が政令で定める規模以上の事業所を設置している場合にあっては、当該事項及び当該規模以上の事業所ごとに主務省令で定める期間に排出した温室効果ガス算定排出量に関し、主務省令で定める事項)を当該特定排出者に係る事業を所管する大臣(以下「事業所管大臣」という。)に報告しなければならない。

2 定型的な約款による契約に基づき、特定の商標、商号その他の表示を使用させ、商品の販売又は役務の提供に関する方法を指定し、かつ、継続的に経営に関する指導を行う事業であって、当該約款に、当該事業に加盟する者(以下この項において「加盟者」という。)が設置している事業所における温室効果ガスの排出に関する事項であって主務省令で定めるものに係る定めがあるもの(以下この項において「連鎖化事業」という。)を行う者(以下この項において「連鎖化事業者」という。)については、その加盟者が設置している当該連鎖化事業に係るすべての事業所における事業活動を当該連鎖化事業者の事業活動とみなして、前項の規定を適用する。この場合において、同項中「事業所を設置している場合」とあるのは、「事業所を設置している場合(次項に規定する加盟者が同項に規定する連鎖化事業に係る事業所として設置している場合を含む。)」とする。

3 この章において「温室効果ガス算定排出量」とは、温室効果ガスである物質ごとに、特定排出者の事業活動に伴う温室効果ガスの排出量として政令で定める方法により算定される当該物質の排出量に当該物質の地球温暖化係数を乗じて得た量をいう。

(報告事項の通知等)
第21条の4 事業所管大臣は、第21条の2第1項の規定による報告があったときは、当該報告に係る事項について環境大臣及び経済産業大臣に通知するものとする。

2 前項の規定による通知は、次に掲げるところにより、行うものとする。 一 前条第1項の請求がないときは、遅滞なく、当該報告に係る事項を通知すること。 二 前条第1項の請求があった場合において、同条第3項の決定をしたときは、遅滞なく、当該報告に係る事項(当該事項のうち当該決定に係る温室効果ガス算定排出量については、これに代えて当該特定排出者に係る温室効果ガス算定排出量を同条第1項の主務省令で定めるところにより合計した量)を通知すること。 三 前条第1項の請求があった場合において、同条第四項の決定をしたときは、同項の規定による特定排出者への通知の日から2週間を経過した日以後速やかに、当該報告に係る事項を通知すること。

3 事業所管大臣は、第21条の2第1項の規定による報告があったときは、主務省令で定めるところにより、遅滞なく、当該報告に係る温室効果ガス算定排出量を集計するものとする。

4 事業所管大臣は、遅滞なく、前項の規定により集計した結果を環境大臣及び経済産業大臣に通知するものとする。ただし、当該集計結果が通知されることにより、前条第3項の決定に係る特定排出者の権利利益が害されるおそれがあるときは、当該集計結果に係る温室効果ガス算定排出量については、これに代えて、これを主務省令で定めるところにより合計した量を通知するものとする。

(報告事項の記録等)
第21条の5 環境大臣及び経済産業大臣は、前条第一項の規定により通知された事項について、環境省令・経済産業省令で定めるところにより電子計算機に備えられたファイルに記録するものとする。

2 環境大臣及び経済産業大臣は、前項の規定による記録をしたときは、環境省令・経済産業省令で定めるところにより、遅滞なく、同項のファイルに記録された事項(以下「ファイル記録事項」という。)のうち事業所管大臣が所管する事業を行う特定排出者に係るものを当該事業所管大臣に通知するものとする。

3 環境大臣及び経済産業大臣は、環境省令・経済産業省令で定めるところにより、遅滞なく、前条第4項の規定により通知された事項を集計するものとする。この場合において、環境大臣及び経済産業大臣は、当該集計の用に供するため、関係事業所管大臣に対し、第21条の3第3項の決定に係る特定排出者の権利利益の保護に支障がないことを確認した上で、前条第3項の規定により集計した結果に係る温室効果ガス算定排出量を主務省令で定めるところにより合計した量を通知するよう求めることができる。

4 環境大臣及び経済産業大臣は、遅滞なく、前項の規定により集計した結果を事業所管大臣に通知するとともに、公表するものとする。

参考文献など