環境法令ガイド

エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)
Act on the Rational Use of Energy

今まで廃棄物が大量発生するなど「使いすて」の時代でした。そのため大切な資源を有効に使おうと「循環型社会」の形成をめざす法律の制定が必要となりました。循環型社会形成推進基本法(循環基本法)は、廃棄物・リサイクルに関する基本的な法律です。

■総則(第1条・第2条)
■基本方針等(第3条・第4条)
■工場等に係る措置等 (第5条~第51条)
特定事業者の指定(第7条)
第一種エネルギー管理指定工場等の指定(第7条の4)
第二種エネルギー管理指定工場等の指定(第17条)
■輸送に係る措置 (第52条~第71条)
■建築物に係る措置等 (第72条~第76条の16)
■機械器具等に係る措置(第77条~第81条の5)
エネルギー消費機器等製造事業者等の判断の基準となるべき事項(第78条)
熱損失防止建築材料製造事業者等の判断の基準となるべき事項(第81条の3)
■電気事業者に係る措置(第81条の6・第81条の7)
■雑則(第82条~第92条)
■罰則(第93条~第99条)
用語一覧(五十音順、別ウインドウ)
■全条文 (e-Gov)
イラストは日本固有植物のフジ(藤Wisteria floribunda マメ科 フジ属 落葉つる性)。分布地は本州・四国・九州で、山野に自生します。古くから庭園などによく植えられ、暑い夏には、涼しさと清涼感を与えてくれます。

  石油を輸入に頼っていたわが国は、石油ショックを契機として、省エネの必要性を認識し、それに取り組むために、1979年、「エネルギー使用の合理化に関する法律」(省エネ法)を制定しました。その後、目的も含めて何度も改正が繰り返されています


  省エネ法の目的は、国内外におけるエネルギーをめぐる経済的社会的環境に応じた燃料資源の有効な利用の確保に資するため、①エネルギーの使用の合理化に関する措置、②電気の需要の平準化に関する措置、③その他エネルギーの使用の合理化等を総合的に進めるために必要な措置等を講じ、国民経済の健全な発展に寄与することです。


  特筆すべき改正点の一つとして、1997年の 京都議定書 の採択を受けての改正が挙げられます。当初、省エネ法は、エネルギーを多く消費する工場や事業場を規制の対象としていましたが、その規制対象を拡大し(省エネ法7条の4、17条)、トップランナー制度(省エネ法78条)が導入されました。


  また、2013年には、法律の名称に「等」が追加され、「エネルギー使用の合理化等に関する法律」へと名称変更されました。この「等」は、このとき新しく法律の目的に追加した「電気の需要の平準化」の推進を表しています。電気の需要の標準化とは、電気の需要量の季節または時間帯による変動を縮小させることをいいます(省エネ法2条3項)。


  省エネ法の規制対象となる「エネルギー」は、燃料(原油・ガソリン・重油などの石油製品、可燃性天然ガス、石炭・コークスなどの石炭製品など)、熱(燃料を熱源とする熱で、蒸気・温水・冷水など。太陽熱や地熱などは含まない)、電気(燃料を起源とする電気。太陽光発電、風力発電などは含まない)です(省エネ法2条1項・2項)。


* 省エネ法の概要(資源エネルギー庁,2014.2)付図を修正して引用

  これらのエネルギーの使用の合理化を図るべき事業分野は、工場や事業場、輸送、住宅・建築物、機械器具等(エネルギー消費機器等、電気を消費する機械器具、熱損失防止建築材料)の4つに区分されています。

  それぞれの事業分野において、例えば、工場や事業場を設置して事業を行う者、輸送事業者や荷主、建築主、製造・輸入業者などの事業者に対するエネルギーの効率向上が求められています。


* 省エネ法の概要(資源エネルギー庁,2014.2)付図を修正して引用

■特定事業者の指定(第7条)、第一種エネルギー管理指定工場等の指定(第7条の4)、第二種エネルギー管理指定工場等の指定(第17条)

省エネ法は、現在、事業者単位でのエネルギー管理の規制体系が導入されています。
 
 
 
 
さらにそれだけでなく、エネルギーを多く消費する工場や事業場を規制対象として、第一種エネルギー管理指定工場等、第二種エネルギー管理指定工場等と指定し、エネルギーの使用の合理化の徹底を図っています。


  省エネ法は、現在、事業者単位(企業単位)でのエネルギー管理の規制体系が導入されています。工場や事業場などの当該事業者全体で年度の使用量(原油換算値)合計が1500キロリットル以上の事業者は、エネルギーの合理化を推進しなければならない事業者として、経済産業大臣に「特定事業者」と指定されます(省エネ法7条、省エネ法施行令2条)。


  特定事業者には事業者単位でエネルギー管理を行うために、 エネルギー管理統括者エネルギー管理企画推進者 を選任する義務があります。また、特定事業者は、エネルギーの使用の合理化の目標達成のための中長期的な計画を毎年度主務大臣に提出し(省エネ法14条)、エネルギー使用量、エネルギーの使用状況、エネルギーを消費する設備やエネルギーの使用の合理化に関する設備の新設・改造・撤去状況および稼働状況、 判断基準 の遵守状況などの定期報告書を提出しなければなりません(省エネ法15条)。

  これに対して、行政(主務大臣)は特定事業者に指導や助言を行うだけでなく、判断基準に照らしてエネルギーの使用合理化の状況が著しく不十分な場合には、エネルギーの使用の合理化に関する計画(合理化計画)の作成・提出を命じることもできます(省エネ法6条、16条)。


  省エネ法は、このように事業者単位での規制体系を導入する以前からも、工場や事業場単位での規制を行っています。現在もエネルギーを多く消費する工場や事業場を規制対象として、エネルギーの使用の合理化の徹底を図っています。


  まず、特定事業者が設置する工場や事業場のうち、エネルギーの年度の使用量(原油換算値)の合計量が3000キロリットル以上の工場や事業場は、エネルギーの使用の合理化を特に推進する必要がある工場等とされます(省エネ法7条の4、省エネ法施行令2条の2)。経済産業大臣が、「第一種エネルギー管理指定工場等」と指定します。


  第一種エネルギー管理指定工場等を設置している第一種特定事業者は、工場や事業場単位でのエネルギー管理を行うため、 エネルギー管理者エネルギー管理員 を選定しなければなりません。


  また、特定事業者が設置する工場や事業場のうち、第一種エネルギー管理指定工場等以外であって、エネルギーの年度の使用量(原油換算値)の合計量が1500キロリットル以上の工場や事業場は、第一種エネルギー管理指定工場等に準じてエネルギーの使用の合理化を特に推進する必要がある工場等とされます(省エネ法17条、省エネ法施行令6条)。経済産業大臣が、「第二種エネルギー管理指定工場等」と指定します。


  第二種エネルギー管理指定工場等を設置している第二種特定事業者は、工場や事業場単位でのエネルギー管理を行うため、 エネルギー管理員 を選定しなければなりません。


* 省エネ法の概要(資源エネルギー庁,2014.2)付図を修正して引用

(特定事業者の指定)
第7条経済産業大臣は、工場等を設置している者(第19条第1項に規定する連鎖化事業者を除く。第3項において同じ。)のうち、その設置しているすべての工場等におけるエネルギーの年度(4月1日から翌年3月31日までをいう。以下同じ。)の使用量の合計量が政令で定める数値以上であるものをエネルギーの使用の合理化を特に推進する必要がある者として指定するものとする。

2 前項のエネルギーの年度の使用量は、政令で定めるところにより算定する。

3 工場等を設置している者は、その設置しているすべての工場等の前年度における前項の政令で定めるところにより算定したエネルギーの使用量の合計量が第1項の政令で定める数値以上であるときは、経済産業省令で定めるところにより、その設置しているすべての工場等の前年度におけるエネルギーの使用量その他エネルギーの使用の状況に関し、経済産業省令で定める事項を経済産業大臣に届け出なければならない。ただし、同項の規定により指定された者(以下「特定事業者」という。)については、この限りでない。

4 特定事業者は、次の各号のいずれかに掲げる事由が生じたときは、経済産業省令で定めるところにより、経済産業大臣に、第1項の規定による指定を取り消すべき旨の申出をすることができる。 一 その設置しているすべての工場等につき事業の全部を行わなくなつたとき。 二 その設置しているすべての工場等における第2項の政令で定めるところにより算定したエネルギーの年度の使用量の合計量について第1項の政令で定める数値以上となる見込みがなくなつたとき。

5 経済産業大臣は、前項の申出があつた場合において、その申出に理由があると認めるときは、遅滞なく、第1項の規定による指定を取り消すものとする。前項の申出がない場合において、当該者につき同項各号のいずれかに掲げる事由が生じたと認められるときも、同様とする。

6 経済産業大臣は、第1項の規定による指定又は前項の規定による指定の取消しをしたときは、その旨を当該者が設置している工場等に係る事業を所管する大臣に通知するものとする。

(第一種エネルギー管理指定工場等の指定)
第7条の4 経済産業大臣は、特定事業者が設置している工場等のうち、第7条第2項の政令で定めるところにより算定したエネルギーの年度の使用量が政令で定める数値以上であるものをエネルギーの使用の合理化を特に推進する必要がある工場等として指定するものとする。

2. 特定事業者のうち前項の規定により指定された工場等(以下「第一種エネルギー管理指定工場等」という。)を設置している者(以下「第一種特定事業者」という。)は、当該工場等につき次の各号のいずれかに掲げる事由が生じたときは、経済産業省令で定めるところにより、経済産業大臣に、同項の規定による指定を取り消すべき旨の申出をすることができる。
一 事業を行わなくなったとき。
二 第7条第2項の政令で定めるところにより算定したエネルギーの年度の使用量について前項の政令で定める数値以上となる見込みがなくなったとき。

3 経済産業大臣は、前項の申出があった場合において、その申出に理由があると認めるときは、遅滞なく、第1項の規定による指定を取り消すものとする。前項の申出がない場合において、当該工場等につき同項各号のいずれかに掲げる事由が生じたと認められるときも、同様とする。

4 経済産業大臣は、第1項の規定による指定又は前項の規定による指定の取消しをしたときは、その旨を当該工場等に係る事業を所管する大臣に通知するものとする。

(第二種エネルギー管理指定工場等の指定)
第17条 経済産業大臣は、特定事業者が設置している工場等のうち第一種エネルギー管理指定工場等以外の工場等であつて第7条第2項の政令で定めるところにより算定したエネルギーの年度の使用量が同条第1項の政令で定める数値を下回らない数値であって政令で定めるもの以上であるものを第一種エネルギー管理指定工場等に準じてエネルギーの使用の合理化を特に推進する必要がある工場等として指定するものとする。

2 特定事業者のうち前項の規定により指定された工場等(以下「第二種エネルギー管理指定工場等」という。)を設置している者(以下「第二種特定事業者」という。)は、当該工場等につき次の各号のいずれかに掲げる事由が生じたときは、経済産業省令で定めるところにより、経済産業大臣に、同項の規定による指定を取り消すべき旨の申出をすることができる。
一 事業を行わなくなったとき。
二 第7条第2項の政令で定めるところにより算定したエネルギーの年度の使用量について前項の政令で定める数値以上となる見込みがなくなったとき。

3 経済産業大臣は、前項の申出があった場合において、その申出に理由があると認めるときは、遅滞なく、第1項の規定による指定を取り消すものとする。前項の申出がない場合において、当該工場等につき同項各号のいずれかに掲げる事由が生じたと認められるときも、同様とする。

4 経済産業大臣は、第二種エネルギー管理指定工場等における第7条第2項の政令で定めるところにより算定したエネルギーの年度の使用量が第7条の4第1項の政令で定める数値以上となった場合であって、当該工場等を同項の規定により指定するときは、当該工場等に係る第1項の指定を取り消すものとする。

5 経済産業大臣は、第1項の規定による指定又は前2項の規定による指定の取消しをしたときは、その旨を当該工場等に係る事業を所管する大臣に通知するものとする。

■エネルギー消費機器等製造事業者等の判断の基準となるべき事項(第78条)、熱損失防止建築材料製造事業者等の判断の基準となるべき事項(第81条の3)

対象となる消費機器や建築材料については、現在商品化されている製品のうち、エネルギー消費効率が最も優れているものの性能に加え、技術開発の将来の見通し等を勘案して目標となる省エネ基準を定めています。
これをトップランナー制度といいます。これによって、事業者にエネルギー消費効率の改善を促進させます。


  エネルギー消費機器等(エネルギーを消費する機械器具や、エネルギー消費機器の使用で消費されるエネルギーの量に影響をおよぼす部品など)の製造または輸入を行う事業者は、エネルギー消費機器等について、使用に際して消費されるエネルギーの量に関する性能を示したエネルギー消費性能の向上を図ることによって、エネルギーの効率向上に努めなければならないとされています(省エネ法77条)。


  エネルギー消費性能の向上について、製造または輸入の事業者が判断する基準として、要件を満たした特定エネルギー消費機器等には「トップランナー制度」が導入されています(省エネ法78条)。

  トップランナー制度とは、対象となる特定機器について、現在商品化されている製品のうち、エネルギー消費効率が最も優れているもの(トップランナー)の性能に加え、技術開発の将来の見通し等を勘案して目標となる省エネ基準(トップランナー基準)を定める制度です。これによって、対象機器のエネルギー消費効率の改善の推進を行うこととなります。


  トップランナー制度の対象となる特定エネルギー消費機器等は、以下の3つの要件を満たしたものになっています。

  ①わが国において大量に使用される機器であること


  ②その使用に際し相当量のエネルギーを消費するエネルギー消費機器等であること


  ③そのエネルギー消費性能の向上を図ることが特に必要なもの(効率改善余地等があるもの)であること

* トップランナー制度について(資源エネルギー庁)(経済産業省)付図を修正して引用

  2016年2月現在、以下の28種類がトップランナー制度の対象となっています(省エネ法施行令21条)。


トップランナー方式の対象となる特定機器

1.乗用自動車、2.エアコン、3.蛍光ランプのみを主光源とする照明器具、4.テレビ、5.複写機、6.電子計算機、7.磁気ディスク装置、8.貨物自動車、9.ビデオテープレコーダー、10.電気冷蔵庫、11.電気冷凍庫、12.ストーブ、13.ガス調理機器、14.ガス温水機器、15.石油温水機器、16.電気便座、17.自動販売機、18.変圧器、19.ジャー炊飯器、20.電子レンジ、21.DVDレコーダー、22.ルーティング機器、23.スイッチング機器、24.複合機、25.プリンター、26.電気温水機器(ヒートポンプ給湯器)、27.交流電動機(三相誘導電動機)、28.LEDランプ

  また、省エネ法2013年改正において、自らエネルギーを消費しなくても、住宅やビルなどのエネルギーの消費効率の向上に資する建築材料等にもトップランナー制度が拡大されました。


  対象が拡大されたのは、建築物の外壁や窓を通して熱を失うことを防止するために用いる建築材料(熱損失防止建築材料)です(省エネ法81条の3)。


  トップランナー制度の対象となる特定熱損失防止建築材料の要件は、以下の3つとなっています。


  ①わが国において大量に使用されるものであること


  ②建築物において熱の損失が相当程度発生する部分に主として用いられるもの


  ③熱の損失の防止のための性能の向上を図ることが特に必要なもの(効率改善余地等があるもの)


  2016年2月現在、断熱材(押出法ポリスチレンフォーム、ガラス繊維、スラグウール・ロックウールを用いたもの)、サッシ、複層ガラスの3種類がトップランナー制度の対象となっています(省エネ法施行令23条の2)。


  現在、エネルギー消費機器等と熱損失防止建築材料の合計31種類がトップランナー制度の対象となっています。基準に照らして、エネルギー消費性能等の向上や、熱の損失の防止のための性能の向上を相当程度行う必要がある場合には、経済産業大臣は事業者に対して、勧告、公表、命令を行うことができます(省エネ法79条、81条の5)。


(エネルギー消費機器等製造事業者等の判断の基準となるべき事項)
第78条 エネルギー消費機器等のうち、自動車(エネルギー消費性能の向上を図ることが特に必要なものとして政令で定めるものに限る。以下同じ。)その他我が国において大量に使用され、かつ、その使用に際し相当量のエネルギーを消費するエネルギー消費機器であつてそのエネルギー消費性能の向上を図ることが特に必要なものとして政令で定めるもの(以下「特定エネルギー消費機器」という。)及び我が国において大量に使用され、かつ、その使用に際し相当量のエネルギーを消費するエネルギー消費機器に係る関係機器であつてそのエネルギー消費関係性能の向上を図ることが特に必要なものとして政令で定めるもの(以下「特定関係機器」という。)については、経済産業大臣(自動車及びこれに係る特定関係機器にあつては、経済産業大臣及び国土交通大臣。以下この章及び第87条第13項において同じ。)は、特定エネルギー消費機器及び特定関係機器(以下「特定エネルギー消費機器等」という。)ごとに、そのエネルギー消費性能又はエネルギー消費関係性能(以下「エネルギー消費性能等」という。)の向上に関しエネルギー消費機器等製造事業者等の判断の基準となるべき事項を定め、これを公表するものとする。

2 前項に規定する判断の基準となるべき事項は、当該特定エネルギー消費機器等のうちエネルギー消費性能等が最も優れているもののそのエネルギー消費性能等、当該特定エネルギー消費機器等に関する技術開発の将来の見通しその他の事情を勘案して定めるものとし、これらの事情の変動に応じて必要な改定をするものとする。

(熱損失防止建築材料製造事業者等の判断の基準となるべき事項)
第81条の3 熱損失防止建築材料のうち、我が国において大量に使用され、かつ、建築物において熱の損失が相当程度発生する部分に主として用いられるものであつて前条に規定する性能の向上を図ることが特に必要なものとして政令で定めるもの(以下「特定熱損失防止建築材料」という。)については、経済産業大臣は、特定熱損失防止建築材料ごとに、当該性能の向上に関し熱損失防止建築材料製造事業者等の判断の基準となるべき事項を定め、これを公表するものとする。

2 前項に規定する判断の基準となるべき事項は、当該特定熱損失防止建築材料のうち前条に規定する性能が最も優れているものの当該性能、当該特定熱損失防止建築材料に関する技術開発の将来の見通しその他の事情を勘案して定めるものとし、これらの事情の変動に応じて必要な改定をするものとする。

参考文献など

●参考文献
・大塚直『環境法BASIC』(有斐閣、2013年)、黒川哲志・奥田進一編『環境法のフロンティア』(成文堂、2015年)

省エネルギーについて(資源エネルギー庁)