環境法令ガイド

環境法・制度サブジェクトゲートウェイの開発等に係るアンケート

調査の結果について

   ある環境問題が法律上どのように扱われているのか、てっとり早く知りたい人もいれば、じっくり調べたい人や学びたい人もいます。一方、どの環境法・制度について、何を掘り下げ、どこまでの情報を得たいかといったユーザーの実態はつかみづらいのが実情です。

   そんな難しさはあるものの、Webの利点を活かした情報提供の仕組みづくりに少しでも近づき、ユーザーの志向性や要求をひも解くために、下記のアンケート調査を行いました。

   アンケートを通じて、環境法・制度に関する「情報提供の在り方」や「コンテンツづくりにおける留意点」などが見えてきました。以下、主な調査結果を紹介いたします。


- アンケート調査の概要 -
  ● 調査名称 : 環境法・制度サブジェクトゲートウェイの開発等に係るアンケート
  ● 調査主体 : 国立研究開発法人 国立環境研究所
                        社会環境システム研究センター および 環境情報部情報整備室
  ● 調査期間 : 2016年12月14日(水) ~ 2017年 1月31日(火)
  ● 回答者数 : 284 名
  ● 調査方法 : Webアンケート
              ・選択式の設問については、単純集計とクロス集計(一部)を行いました。自由記述式の
        設問についてはテキストマイニングツール(KH Coder)を用いて、回答(テキストファイ
        ル)に含まれている単語の出現頻度(共起)などを可視化しました。
        ・KH Coder の設定(多次元尺度構成法 Kruskal(距離:Jaccard)、集計単位:段落、抽
                出語は名詞、サ変名詞、固有名詞、動詞、形容詞、名詞B(最大出現数7))
  ● 調査票等: ⅰ 調査依頼文およびフェイス・シート    ⅱ 質問本体    ⅲ お礼のページ
            注)入力内容の確認、送信やパズルのダウンロードはできません。
  ● 特記事項 : 調査実施に当たって、環境省、環境関連学会および一部の大学等への協力依頼
       を行いました。


回答者について


  性別は「男性の割合(66.5 %)」が高く、年齢層は「20~29 歳(38.0 %)」が高くなっています。また、居所は「関東が高い割合(85.2 %)」を占めています。


       F1.性別              F2.年齢(層)
F3.現在のお住まい(地域ブロック)

  勤務先は、「大学」の割合が最も高く(42.4 %)、次いで「官公庁・地方公共団体(27.2 %)」「民間企業(15.9 %)」となっています。

  勤務先が「大学」、職種が「官公庁等・公的研究機関・民間企業の"研究職"」の方々の専門研究・分野を見ると、「経済・経営学」が最も多く(30.9 %)、「工学(16.6 %)」「人文科学(13.7 %)」「理学(9.1 %)」「環境学(6.9%)」が多くなっています。


F4.勤務先


F5.専門研究・分野
( F4で "大学" や "研究職" を選択した方のみ回答)


環境法令俯瞰マップについて


  環境法令俯瞰マップの「制度分類の分かりやすさ」を尋ねたところ、「とても分かりやすい(38.7 %)」「やや分かりやすい(27.1 %)」という回答(評価)が約 65 %となりました。

  一方、環境法令俯瞰マップを「分かりやすくするためのアイディアなど」を分析したところ、現状肯定的な意見や感想(Cluster 1)が多く寄せられていたことが分かりました。また、文字や説明文、関連する法律や物質名の表示の追加(Cluster 2,5)などの細部の修正に関する指摘が多く見られ、とりわけデザイン(Cluster 3)、土壌(分野)などの個々のイラスト(Cluster 4)、文章の量(Cluster 6)、ページ内のマーク(≒アイコン)(Cluster 7)に対する改善提案が特徴的であったと思われました。

Q1-1.環境法令俯瞰マップの制度分類は分かりやすかったですか?



Q1-2.環境法令俯瞰マップを分かりやすくするためのアイディアなど(自由記述)
* Q1-1で "とても分かりやすい" 以外を選んだ方々の回答

Cluster 1
現状肯定的な意見や感想
Cluster 2
文字や説明文の追加
Cluster 3
デザイン全般にわたる修正
Cluster 4
(土壌などの分野について)イメージしやすいイラストに変更
Cluster 5
関連する法律や物質名の表示の追加
Cluster 6
文章の量の調整(例:読み手の負担を削減、フロー図等への置換など)
Cluster 7
マーク(≒アイコン)の配置や機能の見直しなど



<クラスタリング・色分け参考図(Q1-2)>

▼ クラスタリング・色分け参考図について

  回答(文字のデータ)から単語を抽出して、クラスタ(似たものを集めたグループ)を作り、
 それらの距離(似ていなさ)を2次元平面に表した図です。円の大きさは、その単語の出現頻
 度を表しています。真ん中(横軸の0.0と縦軸の0.0が交差する点の周辺)には特徴がない単語
 が集まり、真ん中から離れれば離れるほど特徴的なクラスタや単語であるとされています。
  下記の分析(Q2-2およびQ3-2関係)においても、同様の解釈に基づいて、自由記述の整理を
 を行いました。クラスタの数(6~7)が妥当であるか否か、ひとつのクラスタに括られている
 自由記述が類似しているか否かについては、設問ごとに実際の回答に照らして確認しました。
  なお、本調査では、クラスタリング・色分け参考図をテキストマイニング分析における「可
 視化の手法のひとつ」と位置付けており、横軸(次元1)や縦軸(次元2)に関する詳しい考察
 などは行いませんでした。



環境政策法令ナビについて


  環境政策法令ナビの感想については、「とても使いやすく便利だと思う(43.3 %)」「使いやすく便利だと思う(30.3 %)」という結果(評価)が得られました。

  一方、環境政策法令ナビを「分かりやすくするためのアイディアなど」を分析したところ、現状肯定的な意見や感想(Cluster 1)の他、閲覧できる情報の鮮度や種類の充実(Cluster 2,3)、情報の分類など(Cluster 4,7)への評価コメントや、読みづらさの解消(Cluster 5)に関する意見が見られ、"クリックしたときにキーワードが表示される仕組み(Cluster 6)"という意見・要望が特徴的であったと思われました。

Q2-1.環境政策法令ナビについて、どのように感じましたか?



Q2-2.環境政策法令ナビを分かりやすくするためのアイディアなど(自由記述)
* Q2-1で "とても使いやすく便利だと思う" 以外を選んだ方々の回答

Cluster 1
現状肯定的な意見や感想
Cluster 2
最新情報の掲載、検索機能やリンク先の改善
Cluster 3
詳細な情報(通達、関係法など)の充実
Cluster 4
カテゴリー(分野の分け方)の再検討
Cluster 5
読みづらさの解消(フォントサイズ、行間の変更等)
Cluster 6
クリックしたときにキーワードが表示される仕組み
Cluster 7
議会の議事録やパブリックコメントの情報の整理(取捨選択)



■ クラスタリング・色分け参考図(Q2-2)


環境法令ガイドについて


  環境法令ガイドの感想については、「とても良い(52.5 %)」「良い(25.7 %)」という結果(評価)が得られました。しかし、文章や写真・イラストが多いという印象が強くあることから、法律の概要紹介や関係などを基本にまとめる(Cluster 2)や見せ方や読ませ方の工夫(Cluster 3)を求める声も多く寄せられました。また、告示等の情報の充実(Cluster 4)、意味のある写真の挿入等(Cluster 6)に関する要望・提案が特徴的であったと思われました。

Q3-1.環境法令ガイドをご覧になって、どのようにお感じになりましたか?



Q3-2.環境法令ガイドを分かりやすくするためのアイディアなど(自由記述)
* Q3-1で "とても良い" 以外を選んだ方々の回答

Cluster 1
現状肯定的な意見や感想
Cluster 2
法律の概要紹介や関係などを基本にまとめる
Cluster 3
見せ方、読ませ方の全般に関する工夫
Cluster 4
告示、法律制定の経緯、条文に関する詳細情報の充実
Cluster 5
クリック時の解説、関連情報の閲覧やリンク先の表示方法の改善
Cluster 6
意味のある写真(画像)やポイント説明文の表示



■ クラスタリング・色分け参考図(Q3-2)


環境法・制度に関するWebサイトについて


  (仮称)環境法・制度サブジェクトゲートウェイにあると便利なオンラインサービスについては、「基本的な知識の提供」が167 件と最も多く、次いで「環境問題や政策の理解促進」が106件、「報告書や論文の参考・引用」と「環境問題の普及啓発・環境学習用」が100件強となりました。



Q4-1.どのようなオンラインサービスがあると便利だと思いますか?(複数回答)



  環境法・制度について調べたいときによく利用するWebサイトについては、「環境省のホームページ」が多く、その他のサイトとしては、「e-Gov(総務省:電子政府の総合窓口)」「EICネット」「Google」「Goo」などの検索エンジンの利用が多いことが分かりました。



Q4-2.よく利用するWebサイトを教えてください(複数回答)。



  上記の「よく利用するWebサイト」の優れた点については、「情報の出典・根拠の確からしさ」「情報の質や精度」「情報の量」を評価していることが分かりました。

Q4-3.よく利用する環境法・制度のWebサイトは、どのような点が優れていますか?
(Q4-2 でWebサイトを紹介してくださった方々の回答)



性別、年齢、職業・勤務先別の回答分析


 環境法令俯瞰マップ等の分かりやすさ、読みやすさなどに関する設問(Q1、Q2、Q3)について、回答(評価)の構成割合を性別、年齢、職業・勤務先ごとに整理し、比較したところ、

  環境法令俯瞰マップ(マップ)、環境政策法令ナビ(ナビ)、環境法令ガイド(ガイド)について、

ⅰ 男性よりも「女性のほうが高評価(好評価)」
ⅱ 30-69 歳の層に比べて「29 歳以下、70 歳以上の層が高評価(好評価)」
ⅲ 職業等が「大学は、他の職業等に比べて高評価(好評価)」

という傾向が明らかになりました。


■ "性別"の回答分析事例(Q1-1:環境法令俯瞰マップの制度分類)




■ 年齢別の回答分析事例(Q2-1:環境政策法令ナビの感想)




■ 職業・勤務先別の回答分析事例(Q3-1:環境法令ガイドの感想)



結びに代えて(摘要など)


  今回のアンケート調査により、環境法・制度について何かを調べようとする方の多くが、環境省のホームページやe-Gov等を利用していることなどが分かりました。また、各種コンテンツの評価は性別、年齢層、職業・勤務先別に異なることが明らかとなり、それらの大まかな傾向を把握することができました。

  これらを踏まえて、(仮称)環境法・制度サブジェクトゲートウェイの本格的な設計や整備を進めるに当たっては、

ⅰ 環境省のホームページ等との差別化
ⅱ 情報の確からしさ、質や精度、情報量を満足するコンセプトづくり
ⅲ 回答者の意見や提案を踏まえたコンテンツや提供情報の選定
ⅳ デザインや機能性の改善等

に留意すべきであると考えられました。

  おかげさまで、環境法・制度分野では例の少ないアンケート調査を実施することができました。「環境コミュニケーション」としても有用な調査になったのではないかと自負しております。

  お寄せいただいたご意見やご提案を参考とさせていただき、「Webの技術的な進化や可能性等」を視野に入れて、今後もサブジェクトゲートウェイのモデル構築に向けた取り組みを進めてまいります。


ご協力ありがとうございました。