ハクジラ類の脂皮に潜む化学物質~生息域や回遊パターンを反映

愛媛大学は、ハクジラ類における化学汚染の実態解明につながる研究成果を発表した。ハクジラ類は寿命が長く、海洋生態系の高次栄養段階に位置するため、食物連鎖を通して多様な化学物質に曝露されている。ポリ塩化ビフェニル(PCBs)などの残留性有機汚染物質(POPs)や、POPsと類似の物理化学特性や毒性を持つ人工汚染物質、海洋天然物質の曝露が確認されているが、これらの蓄積濃度や組成パターンの種差とその要因についてはほとんど明らかにされていなかった。──研究グループは、日本沿岸域に漂着したハクジラ類11種の脂皮試料を対象に、皮下の厚い脂肪層(脂皮)に蓄積する多種多様な有機ハロゲン化合物をガスクロマトグラフィー質量分析計(GC/MS)を用いて網羅的なスクリーニング分析とプロファイル解析を実施した。その結果、300種を超える有機ハロゲン化合物(異性体)群が検出され、種特異的な蓄積パターンが明らかとなった。これらの新知見により、ハクジラ類の脂皮に蓄積していた特定の海洋天然物質が、個体の摂食・回遊履歴や生息環境を理解する上で有用な指標となり得ることが示された。──将来的な海洋生態系の保全や化学物質の管理においても重要な示唆を与えるものであり、さらなる研究の発展が期待される(掲載誌:Environmental Science and Technology)。

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