千葉大ら、InSARでオアシス都市の地盤沈下量を計測

地下水の過剰採取による地盤沈下は全国的に沈静化の傾向にあるが、依然として沈下が続いている地域も存在する。日本では通常、地盤沈下量を水準測量や地下水位の観測などによって直接計測しているが、人工衛星に搭載されたSAR(合成開口レーダー、読み:サー)で取得した画像データを用いる代替手法も実用化段階にある。最近では、同一地点に対する複数回のSAR観測によって得られたデータの位相差をとることによって、地表面の面的な変動を計測する「InSAR(干渉合成開口レーダー)」技術が注目を集めている。──今回、千葉大学大学院園芸学研究科の黒上氏、濱助教、松岡教授、上智大学外国語学部フランス語学科の岩崎教授らの研究グループは、植生が少なく、特有の反射特性を持つため、技術的に難しいと考えられてきた「砂漠地帯におけるInSAR適用」を試みた。エジプトのナイル川以西の砂漠に位置するオアシス都市周辺(ハルガ、ダハラオアシス)のSAR観測データを解析した結果、地表面の下降が継続していることが分かった。現地調査により灌漑用井戸の抜け上がり現象が確認されていることから、地表面の下降は灌漑用地下水の利用が原因と考えられた。──ハルガ等のオアシスは、世界最大規模の帯水層である「ヌビア砂岩帯水層」に依存しているが、地下水の補給がほとんどないため、有限な水資源と考えられている。今後、エジプト政府の政策による農地拡大や人口増加により、水需要が増大し、地下水位の低下や井戸の枯渇が懸念されるという。

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