クマ遭遇時の防御姿勢:秋大・医、有効性を科学的に証明

秋田大学大学院医学系研究科整形外科学講座の石垣医員らの研究グループは、秋田県生活環境部自然保護課およびツキノワグマ被害対策支援センターと共同で、令和5年度に秋田県内で発生したクマによる人身被害データを解析し、「うつ伏せによる防御姿勢」が重症化の抑制に有効である可能性を示した。

■令和5年度、全国で発生したクマによる人身被害は219人(うち死亡6人)にのぼり、統計開始以来最多を記録した。特に秋田県では70人が被害を受け、深刻な状況となっていた。クマとの至近距離での遭遇時には、顔や腹部を守るためにうつ伏せになる防御姿勢が推奨されているが、その有効性についてはこれまで科学的な検証がなかった。

本研究では、秋田県が保有する人身事故情報と医療機関のカルテを連携させ、70人の被害者の受傷部位や重症度を分析した。その結果、防御姿勢をとった7人には重症者が一人もおらず、重症化を防ぐ可能性が示唆された。重症者は23人で、全身麻酔を要する外傷や手足の切断を伴うケースも含まれていた。また、被害の約6割が「里地」や「居住地」など人の生活圏内で発生していた。──
本研究は、実際の医療データに基づき防御姿勢の有効性を示した初の報告であり、今後の住民啓発や被害軽減策の基礎資料として活用が期待される。

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