東大、衛星画像で黄河の河川流量と人為的・自然的変動を連続推定

東京大学大学院工学系研究科および生産技術研究所の研究グループは、衛星観測データを用いて黄河流域の河川流量を空間的に連続推定する手法を開発した(掲載誌:Geophysical Research Letters)。

地上観測に依存せず、人工衛星が取得する河道幅や水面標高などの情報から河川流量を推定する技術が模索されている。――本研究ではLandsat衛星画像から抽出した河道幅をもとに、黄河主河道の668地点に対して流量を推定した。その結果、灌漑が盛んな地域では流量の減少傾向が明瞭に確認され、主要支川との合流点では流量の増加も観察された。これにより、衛星観測流量は人為的・自然的要因の両方による流量変動を把握できることが示された。また、流量第一推定値に灌漑の影響を擬似的に考慮することで、特に下流域における過大推定を抑制し、推定精度の向上が確認された。

本成果は、現地観測が乏しい流域においても衛星データから人間活動の影響を把握できる可能性を示したものであり、途上国や山岳地域などにおける水資源管理や生態系モニタリングへの応用が期待される。ただし、堤防によって河道幅の変化が制限される区間では、河道幅に基づく推定では限界があることも明らかとなった。研究者は、「今後は水面標高を高精度で測定可能なSWOT衛星データの活用が期待される」と付記しており、将来的には、衛星観測と水文モデルを統合した全球規模の河川モニタリングシステム構築を目指すとしている。

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