【特集】ミツバチとマルハナバチの祖先に迫る化石発見相次ぐ

慶應義塾大学らが新属新種「タジマミツバチ」を国際誌『ZooKeys』に報告し、玉川学園高等部の生徒は授業中に女王バチ化石を発見した。いずれも蜂類進化の空白を埋める成果として注目されている。

慶應義塾大学と京都産業大学の研究グループは、兵庫県新温泉町の地層から新属新種のミツバチ化石「タジマミツバチ(Apis (Apis) aibai)」を発見した。この化石は、約250万年前の鮮新世〜更新世前期に相当する地層から発掘されたものである。現生種の祖先に近い形態を持つことから、ミツバチの進化過程における空白期間を埋める重要な資料とされる。また、現生のミツバチ属とは異なる特徴を持っており、東アジアに広く分布していた“太古の絶滅種”である可能性が示唆されている。研究グループは、形態比較と系統解析を通じて現生種との分岐点を明らかにすることを目指しており、蜂類の進化史に新たな視点を提供する成果となった。今後は、追加標本の収集と古環境の復元を通じて、当時の生態系との関係性を探るという。

一方、玉川学園高等部の生徒が授業中に発見したマルハナバチ化石も注目を集めている。SSH(スーパーサイエンスハイスクール)活動の一環として行われた地層観察中に、約30万年前の地層から全長24mmの大型女王バチの化石が見つかった。玉川大学農学部の佐々木謙教授らが調査を行い、現生種クロマルハナバチに近い形態を持つことを確認した。この化石は、社会性昆虫としての行動進化を探る上で、教育現場から得られた貴重な資料といえる。

これらの成果は、蜂類の系統進化と社会性の起源を理解する上で極めて重要であり、今後の比較形態学・分子系統解析の進展に資するものと考えられる。教育現場での探究活動が学術的発見につながった事例としても意義深く、科学教育の可能性を広げる契機となった。どちらの研究グループも、今後さらに標本の追加調査や系統解析を進めるという。

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