[特集:環境修復]ファイトレメディエーションによる汚染土壌修復の現状と展望

近年,日本のみならず他の諸国においても多様な有害物質による土壌汚染が顕在化しており,低コストかつ環境に優しい環境修復技術として,ファイトレメディエーションが世界中に注目されている。本稿ではファイトレメディエーションの概念,浄化機構,研究・応用の現状と今後の展望について議論した。  ファイトレメディエーションは,植物による吸収,蓄積および代謝,分解等の機能により,土壌,底泥,水等環境媒体からの汚染物質を除去する環境修復技術である。ファイトレメディエーションは土壌汚染の拡大および対策の強化を契機に,1990年代から低コストかつ環境に優しい環境修復技術として,米国をはじめ世界中で盛んに研究開発が行われ,得られた成果をもとに商業化されるようになった。現在,約400種類の重金属高蓄積植物が発見されており,それらの多くが環境修復の現場で使われている。また有害有機化学物質や放射性物質についても有効であることが確認されている。土壌汚染対策法等による規制が始まった日本においては,更なる土壌汚染事例の増加が予想され,ファイトレメディエーション的な手法の研究開発についても注目を浴びている。今後,高浄化能力を持つ植物および微生物の発見と実用化,植物-微生物-汚染物質間の相互作用の解明,有用植物-微生物の組合せおよび遺伝子技術の応用等による効率的なファイトレメディエーション技術の確立が重要な課題となる。

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