[報文]富栄養湖での植物プランクトン発生に及ぼす流入河川の影響-窒素安定同位体比による考察-

愛媛県で最も富栄養化が進んだダム湖である鹿野川湖において,流入する3河川およびダム湖においてδ15N値を連続測定した。3河川のδ15N値の変動は類似するものの,河川水中の窒素濃度とは関係なく,季節的には夏場に低くなった。最も高いδ15N値を示した河川では,生活排水および畜産排水の寄与の高いことが有意に示唆され,ダム湖への3河川の寄与の割合が明らかとなり,今後の対策の根拠となり得た。ダム湖でアオコが発生したときには,表層水中のδ15N値が低下し,表層と下層の懸濁態のδ15N値の関係が逆転して下層のδ15N値が低下したものの,表層と下層の水中,懸濁態のδ15N値のいずれの関係にも有意な関係は認められず,窒素の循環は,底泥,大気も含めた複雑なものであると推察した。

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