レアメタルを含めた金属リサイクルと小型家電リサイクル法

レアメタルを含めた金属リサイクルと小型家電リサイクル法

レアメタルを含めた金属リサイクルと小型家電リサイクル法


【目次】


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回収量の確保とリサイクルの効率性の向上
NIESでの研究事例紹介
  - オンラインマガジン「環環KannKann」記事
  - 研究成果(年報)

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Part4.小型電気電子機器からのレアメタルリサイクルの課題

 我が国としてレアメタルを確保することの重要性から、その柱の一つとしてリサイクルが挙げられていることは既に述べた通りです。レアメタルは電子材料、自動車、合金など様々な用途に用いられていますが、ここでは特に「使用済み電気電子機器製品」中のレアメタルのリサイクルに的を絞り、その課題となっていることや今後の展望、研究事例等の対応状況について紹介していきます。


回収量の確保とリサイクルの効率性の向上

参考)※「回収量の確保とリサイクルの効率性の向上」では下記を主に参考とした
- 使用済製品の有用金属の再生利用の在り方について(第二次答申) 平成24年10月9日 中央環境審議会答申 より


 Part1~2で見てきたように、レアメタルを生産するためには多大なエネルギーやコストがかかるだけでなく、大きな環境負荷を生じさせる鉱種が多くあります。そこでリサイクルをすることが重要、となりますが、国内でレアメタルリサイクルを推し進めることがどのような観点で重要なのかについて、次のように述べている例があります。

- 供給源の多様化/静脈産業の拡大/製造業の空洞化の防止/新規事業の創出/資源外交上/日本を世界のリサイクル拠点化する/資源採掘時のエネルギー・環境負荷の低減


 しかしレアメタルだからといって何でもリサイクルすれば良いと言うわけでもなく、場合によってはリサイクルするほど経済的採算性が悪くなり、生産時とは異なる環境負荷を与えることも多いのが現状です。


 小型電気電子機器からのレアメタルリサイクルの課題として挙げられる「回収量の確保」と「リサイクルの効率性の向上」について取り上げます。


回収量の確保

 特に使用済み小型電気電子機器製品では、経済性を確保しつつ回収率を高める、という課題があり、Part3で見てきたように制度面的な対応として小型家電リサイクル法が施行されたところです。


 小型家電リサイクル法を機能させ、回収率を高めるためには、主たる排出元である消費者の協力が不可欠になります。居住の市町村で小型家電リサイクル法に基づいた取り組みが始まった場合は、市町村の分別排出に協力すると共に、安易な処理(※)を行なってしまう不用品回収業者等に流さないこと、また、不必要に家庭内等で退蔵してしまっているもの(※※)をリサイクルルートに乗せる、といった協力が必要になってきます。


 ※無料引取り後に利益のでないものを不法投棄したり、環境汚染を起こしてしまうような海外ルートに流してしまったり、というケースが報告されています。ただし、必ずしもそのようなケースばかりでなく、不用品回収業者等からきちんと処理することができるリサイクル事業者に渡されたり、またリユース経路に乗って行く製品があることも事実です。


 ※※消費者アンケートの結果では、家庭内に小型電気電子機器を退蔵している人の割合は39.0%、退蔵する理由として、廃棄するきっかけがない/手続き等が面倒/予備として保管、などが挙げられています。


静脈側マテリアルフロー

図1:小型電子機器等の静脈側のマテリアルフロー
※産業構造審議会環境部会廃棄物・リサイクル小委員会(第22回資料)より



 他にも、製品の寿命による排出タイミングが影響してくることも考える必要があります。


 レアメタルの技術開発が進むことによって、身近でも高機能な小型電気電子機器製品が利用されるようになってきています。これらの製品は製造されてから購入・使用・排出等されるまでの期間を経てリサイクルやリユース、処理・処分(焼却・埋め立て等)されます。もちろん現在でもレアメタル含有の使用済み製品は排出されているのですが、リサイクルのために効率よく回収することができるほどに排出量が本格化するのは、2010年代後半であると見積もられています。

参考)
- モノの寿命 オンラインマガジン「環環KannKann」(国立環境研究所 資源循環・廃棄物研究センター)より


参考)※「排出量が本格化するのは、2010年代後半~」部分の参考箇所
- 使用済製品の有用金属の再生利用の在り方について(第二次答申) 平成24年10月9日 中央環境審議会答申 より


 これらの将来動向に先立って、レアメタルが本格的に排出されるまでの期間を「条件整備集中期間」と位置付け、国主導の下に事業者、産学が連携しつつ、小型家電リサイクル法に沿った取り組みや様々な実証事業等を通して、各主体で経験やノウハウを蓄積し、新たな課題の抽出や対策等の検討を行なうことも提言されています。

参考)
- RtoS(Reserve to Stock)構想 RtoS研究会 より
 現状の法制度や経済原則の壁によりリサイクルできていない副生物や廃棄物(例として使用済みの小型電気電子機器に含まれる金属など)を、一旦「蓄積」して時間軸を変えることで、将来的に回収可能にするものであり、同時に適正な有害物質の管理も行なうもの。大学発の提案として経済産業省等の支援の元にトライアルをはじめており、最終的には社会システムとして構築することを目的としている。


リサイクルの効率性の向上

 リサイクルの効率性の向上のためには、中間処理工程や精錬工程などで効率的に資源を選別・回収することができるようにすることが重要であり、そのためにリサイクル技術開発の推進の他、どの部品にどの資源が使用されているかが容易に判別できるような含有情報の共有、解体し易い設計上の工夫等の課題を解決していく必要があります。


 以下、レアメタルの中でも、特に今後リサイクルの検討を優先すべきとされているいくつかの鉱種について、技術開発の現状と今後の課題について紹介します。

ネオジム(Nd)、ジスプロシウム(Dy)の例
 - 2012年度現在、ハードディスクより分解・脱磁・選別してネオジム磁石を回収する要素技術は開発されており、実用化に向けた実証が必要な状況。また回収したネオジム磁石から磁石合金原料であるネオジム、ジスプロシウムを回収する技術は実用化されており、活用が可能だが、より安価で分離性能に優れた抽出材の開発、より省エネルギー・無公害型の新たな電解プロセス開発など、更なる効率化や技術開発が課題。


コバルト(Co)の例
 - 2012年度現在、使用済みリチウムイオン電池について、機能破壊、溶媒除去、焼却、破砕、選別によりコバルト含有活物質を回収する技術が実用化されているが、使用済み電気電子機器等の内部に組み込まれた電池を簡便に取り出す技術は存在しておらず、技術開発が必要である。また、回収したコバルト含有活物質からコバルトを回収する要素技術は開発されており、引き続き実用化に向けた実証を進めていく必要がある。


タンタル(Ta)の例
 - 2012年度現在、使用済み電気電子機器等を解体し、効率的に電子基板を選別回収する技術、多様な電子基板からでも効率的に電子素子を剥離する技術、タンタルコンデンサーを含む多様な電子素子・部品を総合的に選別濃縮する技術の開発が必要。また処理プロセス全体について、システムの最適化が必要。タンタルコンデンサーからタンタルを回収する技術は実用化されており、活用が可能であるが、更に効率化するための技術課題として、フッ素やアンモニア等の副産物処理の低コスト化や、タンタルに加え、銀も回収可能な分離システムの追加などが挙げられる。


NIESでの研究事例紹介

 国立環境研究所、資源循環・廃棄物研究センターで発行しているオンラインマガジン「環環KannKann」の関連研究記事と、同センターでの関連研究成果についてご紹介します。


家電解体写真


オンラインマガジン「環環KannKann」記事

研究成果(年報)



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