物質の成り立ちと変化

 自然界にある物質の多くは、他のいろんな物質と混ざり合った混合物として存在している。人々はさまざまな場面で物質にエネルギーを与えて、役に立つ物質の純度を高めて取り出したり、また物質同士を反応させて別の物質を合成したり、物質を変化させて必要なエネルギーを取り出したりしている。

さまざまな化合物 ~生活を彩る化合物~

 化合物とは、2種類以上の元素からなる物質のことであり、自然界に存在する「天然化合物」のほかに、石油や鉱物、動植物や微生物などから人工的に抽出・合成される「人工化合物」がある。私たちの暮らしは、こうした化合物をさまざまな用途で利用することによって成り立っている(下表)。
 例えば、「プラスチック」(合成樹脂:人工の有機高分子化合物の総称)は、そもそも「可塑性を持つ物質」の意味で、近代までは決して多用されていなかった。しかし、熱や圧力を加えて成形しやすくデザイン性に優れること、他の化合物と組み合わせて容易に特性を付加できること、コストが安いことなどの特長により、現在では、私たちの暮らしのなかでもっとも身近な化合物として普及している。
 一方、地球の数十億年の歴史や自然の物質循環と照らし合わせて見ると、もともと自然界に存在せず、したがって自然状態では分解されにくい人工化合物が、きわめて短期間に多量に存在するようになったことで、大気・水・土壌などの汚染、人の健康に対する安全性、廃棄物処理など、さまざまな課題も発生している。そこで、その対策として、人工化合物を無害化する処理技術や、自然界でも分解される人工化合物の開発なども進められている。

用途による分類 主な具体例(原料化合物)
容器包装 ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)
洗剤(界面活性剤) ポリオキシエチレンアルキルエーテル、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)
接着剤、充填材 酢酸ビニル樹脂エマルジョン(酢酸ビニルの乳化重合エマルジョン)、エポキシ樹脂
染料、塗料 アゾ染料(ジアゾニウム+芳香族化合物のジアゾカップリング)、ウレタン塗料(イソシアネートとポリオールの重合)
シンナー(薄め液)、洗浄液 アルコール、テトラクロロエチレン
農薬(殺虫剤、除草剤) ペルメトリン、有機リン剤(パラチオン、ジクロルボスなど)
医薬品、化粧品 アスピリン、イブプロフェン、デキストリン脂肪酸エステル
調味料、保存料 アスパルテーム、グルタミン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム
フレーバー(食品香料)、フレグランス(芳香製品) バニリン、ローズオキシド、ジャスミン系香料

私たちの暮らしで使われるさまざまな人工化合物

電池の種類 ~電気を貯めたり、持ち運んだりできる装置~

 私たちの身のまわりにある電池は、大きく化学電池と物理電池に分類することができる。
 化学電池とは、化学反応を利用して電気を取り出すタイプで、マンガン乾電池をはじめ、多くの種類がある。一方、物理電池とは、光や熱のエネルギーを利用するタイプで、具体的には太陽電池が実用化されている。
 化学電池のうち、充電できない“使いきり”の電池を一次電池、充電して繰り返し使える電池を二次電池という。二次電池が充電できるのは、電気を取り出すときの反応と全く逆の化学反応を起こすことができるからである(これを可逆反応という)。こうして電気を貯めることができる二次電池は、日常生活での普及が進んでいる。例えば、携帯電話やデジタルカメラなどには小型の二次電池が使われており、自動車のバッテリーや、施設の非常用電源(停電・災害対策など)には鉛蓄電池が利用されている。さらに、今後の普及が期待される電気自動車には、リチウムイオン電池などが搭載されている。また、太陽光や風力などの再生可能エネルギーで発電した電力を貯蔵し、必要なときに供給するという効率的な利用にも役立つといわれている。
 化学電池の一種である燃料電池は、水の電気分解の逆反応により、水素と酸素から直接電気を発生させる発電装置である。現在、家庭用の燃料電池(発電・熱供給)や燃料電池車などの開発が進められている。
 なお、電池の多くには貴重な金属資源が使われているため、そのリサイクル技術の確立も重要になっている。


電池の種類

電池の種類(社団法人電池工業会の資料をもとに作成)

光触媒 ~光があたると有害物質や汚れを分解~

 光触媒とは、光があたることで、有害物質の分解や脱臭、抗菌、汚れ防止などの化学反応を促進するはたらきをする物質、あるいはその作用をいう。光触媒も触媒の一種であり、化学反応が起きても自らは変化せず、半永久的に使用することができる。
 代表的な光触媒としては、酸化チタン(TiO2)という物質がよく知られている。酸化チタンに光があたると、強い酸化力を持つ活性酸素などが発生する。その酸化力によって、大気中に含まれる有害物質(ホルムアルデヒド、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)など)の分解や、脱臭・殺菌などの作用が進む。
 また、酸化チタンのもう1つの特徴として「超親水性」がある。これは、光があたると水になじみやすくなり、その表面で水が膜状に薄く広がるというものである。超親水性により、表面に油汚れなどが付きにくくなり、汚れ防止やくもり止めの効果を発揮する。これはセルフクリーニング作用とも呼ばれている。
 酸化チタンの光触媒作用は、1972年に日本の研究者によって発見された。現在は、建物の外壁やガラスなどに薄く塗ったり(コーティング)、大気や水質の浄化装置に組み込まれたりして利用されている。

光触媒の発見とその作用

光触媒の発見とその作用
出典:NEDO「よくわかる!技術解説」
http://app2.infoc.nedo.go.jp/kaisetsu/evm/evm05/index.html