(独)物質・材料研究機構は、有価金属を含む廃棄物資源(都市鉱山)を有効利用する取り組みとして「人工鉱石化リサイクル」(以下「人工鉱石」)という方向性を提案した。人工鉱石とは、有価金属を含む廃棄物資源の「回収」から「抽出」に至るリサイクル工程の中に、「濃縮」というプロセスを積極的に位置づけて技術投入することで、高付加価値の再資源化原料を抽出しやすくするというもの。これは、天然鉱石で行われている純度の低い「粗鉱」から高濃度の「精鉱」づくりに相当する。人工鉱石では、廃棄物中の有価金属を直接取り出すのではなく、抽出・製錬の阻害要因となる他の混在物を減らすことで、金やレアメタルなどの有価金属の濃度を高め、次の抽出・製錬段階の原料とする。これにより、都市鉱山リサイクルの技術的障壁の一つである抽出・製錬段階での設備負荷が、大幅に低減可能という。