理化学研究所と(株)ユーグレナの研究チームは、ミドリムシ産業利用種(Euglena gracilis)のゲノム編集技術を確立したと発表した。ミドリムシは、好気条件下で「パラミロン」という多糖を合成し、細胞内に蓄積する。一方、嫌気条件下ではパラミロンからジェット機の燃料に適した油脂(ワックスエステル)を産生する。同研究チームは、産業利用種に係る基礎研究や、ワックスエステルの産業利用に適した有用株の育種を加速する上で課題となっていた、遺伝子機能改変法の確立に取り組んでいる。今回、ミドリムシのパラミロン合成に関わる酵素遺伝子を対象とし、その標的DNA箇所を切断できる「リボ核タンパク質(RNP)複合体」を作製するとともに、細胞内にRNP複合体を導入する手法の最適条件などを探索した。パラミロン粒の形態変化や、変異導入効率を指標とする評価を行った結果、高いゲノム編集効率(導入後72時間・約80%)が確認されたという。