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 千葉工大など、ビッグデータ時代ならではの低消費電力化技術を導出

発表日:2022.02.15


  千葉工業大学、東邦大学、兵庫県立大学、中部大学および福井工業大学の研究グループは、メモリデバイスへの情報伝送にかかる消費電力を極めて低く抑える機構を開発した。AIやビッグデータ解析の普及に伴い、コンピュータが処理するデータ量は驚異的な速度で増大している。処理の高速化と高密度なデータ格納を実現するために、「データ伝送効率」が高いメモリデバイスが希求されている。一方、脳内細胞の発火や気候変動メカニズムなどの非線形現象を説明できる理論の工学的な応用も盛んに行われている。電子回路への応用研究は、システム挙動に障害をもたらす熱雑音等(ノイズ)を逆手にとり、閾値下の微弱な信号に対する応答性を高めるといったコンセプトで進められている。先行研究では、回路(系)の外部の熱雑音等が幾度も重なることでビット列(0/1)-メモリ素子間の伝送信号の強度を逓減できることが確認されている。同研究グループは、低炭素社会への貢献を視野に入れ、データ伝送効率のみならず、メモリデバイスの低消費電力化も追求した。今回、外部のノイズではなく、系内部で生成されて「ゆらぎ」によってメモリ素子の状態を遷移させる現象「カオス共鳴」に着目し、微弱な伝送信号を印加する計算実験(コンピュータシミュレーション)を行ったところ、従来技術の1/10程度の信号強度でも情報が保存でき、情報伝送にかかる電力を飛躍的に削減できることが明らかになった。回路全体の消費電力逓減効果を評価し、実装に向けたさらなる研究が必要であるが、「低消費電力メモリデバイス繋がるカオス共鳴機構」は世界のデータ増加に伴う消費電力増大の課題解決への一助となることが期待できる、と述べている。

情報源 千葉工業大学 プレスリリース・成果
東邦大学 プレスリリース
中部大学 お知らせ
機関 千葉工業大学 東邦大学 兵庫県立大学 中部大学 福井工業大学
分野 環境総合
キーワード シミュレーション | ノイズ | ビッグデータ | AI | メモリデバイス | データ伝送効率 | ゆらぎ | カオス共鳴 | 信号強度 | 低消費電力メモリデバイス
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