多様な道筋によるエネルギー移行…NEDOがこの1年を振り返り、洞察
発表日:2023.11.21
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、カーボンニュートラル(CN)を巡る諸外国の政策などを独自の視点で分析し、“CN推進という大方針に変わりはなかったものの、再エネ導入目標や化石燃料の扱いなど(以下「各論」)において大きな転換が見られた1年であった”と総括した。この総括は、専ら海外の産業技術・環境・新エネルギーおよび省エネルギーに関する調査分析を行う組織・技術戦略研究センター(TSC)の成果に基づいている。TSCの成果はNEDOや政策当局の技術戦略の策定や重要なプロジェクトの構想づくりに活用されるほか、一部は短信レポート「TSC Foresight」として取りまとめられている。同短信は年間4~6篇のペースで刊行されている。CNの国際動向については毎年、対象国を拡充しながら、気候変動枠組条約締約国会議(COP)の開催前に公表されてきた。今般の短信は「海外トレンド:COP28に向けたカーボンニュートラル(CN)に関する海外主要国の動向―地球沸騰化時代のグローバルサウスの台頭と中東諸国のCNへの動向―地球沸騰化時代のグローバルサウスの台頭と中東諸国のCNへの動向―」と題されている。COP27以降、国連事務総長の“地球沸騰化”発言や、G20会合をはじめとする国際会議でエネルギー関連の議論がなされてきた。現時点では、各国の事情に配慮したエネルギー転換の「多様な道筋」を認めようという合意がなされている。しかし、各論におよぶ意見集約には至っていない。そうした現状認識のもと、同短信では、先進国(米・中・EU・英・独)、グローバルサウスと呼ばれる新興国・途上国(インドネシア・インド)、COP28(開催日程: 2023年11月30日~12月12日)の議長国を務めるアラブ首長国連邦(UAE)やサウジアラビアの“事情”や国・地域ごとの動向を整理している。先進国においてはCNに係る自国産業保護・振興政策を加速し、当面は「化石エネルギーを活用しつつもCNを達成しようという動き」が顕著であったと分析している。グローバルサウスにおいては鉱物資源や次世代エネルギー製造拠点としての潜在能力などを発揮する様子が伺え、先進国との「連携協定締結の動きが活発化」していると分析している。中東諸国においては化石燃料から「CN燃料の産出国への変貌」を視野に入れ、先進国との「技術協力を含めた連携を一層強化する動き」が確認されたとしている。本成果を考慮し、各国のファンディングエージェンシー・研究機関との連携や、各種国際プロジェクトの組成などを加速するという。
▲ページ先頭へ
新着情報メール配信サービス
RSS