JOGMEC、地熱分野初の海外案件―インドネシアで酸性地熱流体を精密評価
発表日:2025.07.29
エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は7月28日、インドネシア国営地熱開発企業・PT Geo Dipa Energi(GDE)と「酸性地熱流体賦存領域を把握する手法のフィールド実証」に関する共同調査契約を締結した。JOGMECにとって地熱分野で初の海外案件であり、インドネシア西ジャワ州パトゥハ地域において、地質・地化学調査や岩石・流体試料の分析を通じて、酸性流体の分布予測手法の精度向上を目指すとしている。
酸性地熱流体(pH5以下)は、坑井や配管設備の腐食を引き起こす要因となり、国内では可採地熱資源量の約30%に相当する領域に存在するとされる――これらの領域を高精度に把握し、中性流体を選択的に採取できれば、地熱発電の長期安定操業に寄与する可能性がある。しかし、実地での検証事例は少なく、手法の一般化には至っていない。
本調査は、JOGMECが2018~2022年度に実施した「酸性地熱流体探査技術」の成果を踏まえ、インドネシアという地熱資源大国を実証フィールドとして活用することで、国内地熱資源調査への応用を視野に入れている。また、本事業は2021年に開始された「海外地熱資源調査」制度の下で、JOGMECが主導する初の案件であり、日本政府が推進するAZEC構想やAETIの一環として位置づけられている。
インドネシアは世界第2位の地熱資源ポテンシャルを有し、GDEは複数の有望鉱区を保有している――両機関は2023年に協力覚書を締結済みであり、今回の共同調査はエネルギートランジションの実現に向けた協力関係の深化を示すものとなった。