中国とアメリカの研究者らは、メキシコ湾の大量流出原油の浄化に有効な新種のバクテリアを発見したと発表した。オレゴン州立大学(OSU)、西安建築科技大学及び南京農業大学の共同研究で発見されたこのバクテリアは、原油中の有害な多環芳香族炭化水素(PAH)を分解する物質「ラムノ脂質」を大量に産生するため、長期的に、流出原油の浄化に大きな効果があるという。PAHは、毒性、発がん性、変異原性を持つ化合物群で、原油の毒性物質の中でも、野生生物や人への影響が最も懸念される。一方、ラムノ脂質などのバイオ界面活性剤は、こうしたPAHの分解効果が高く、それ自身は自然に分解されるため環境リスクが低い。しかし、生産コストが高いため、これまで合成界面活性剤を代替するのは難しかった。研究者によると、今回発見されたバクテリア「NY3」(緑膿菌の一種)は、ラムノ脂質産生能力が傑出しており、低コストの炭素原料や遺伝子工学技術の利用で生産コストをさらに抑えることも可能とみられるため、石油及びPAHの分解及び汚染除去にきわめて有望であるという。