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 食の窒素フットプリント、熱帯島嶼・食料システムの未来洞察ツールとして!

発表日:2024.03.15


  化学肥料や食料価格の上昇は、輸入に依存する地域の農業や食料システムに影響を与える。また、化学肥料は作物生産にとって重要な資材であるが、作物が吸収しない窒素分が農地外に流出し、周辺環境へ負荷を与えている。一方で、熱帯・亜熱帯島嶼地域では、島内の食料システム由来の様々な有機資源が窒素など栄養分を豊富にふくむものの、未利用のまま環境中への窒素負荷となる場合も多く、沿岸のサンゴ礁など海洋生態系へのダメージが懸念されている。国際農研は、農研機構との共同研究として、食の窒素フットプリントを用いて、反応性窒素(Nr)による環境負荷の実態や削減効果などを可視化する取り組みを進めている。本研究では、熱帯・亜熱帯島嶼地域に位置する石垣島を対象に、島外からの食料・飼料の輸入や島内での移動、牛糞堆肥の農地還元などを考慮した食料システム全体の窒素フローの分析を行い、窒素負荷の実態を定量化・可視化した。また、みどりの食料システム戦略で掲げられている「化学肥料使用量30%の削減」目標を達成するというシナリオを設定し、分析を進めたところ、石垣島で生産される牛糞堆肥の約70%を還元することにより、島内へのNr輸入とNr損失がそれぞれ16%と18%削減されることが明らかになった。今回構築された食の窒素フットプリント計算フレームは、地域の有機資源を活用した環境への窒素排出削減対策の検討や、消費者・生産者・行政などに対して結果をわかりやすく示すツールとして活用可能である。今後は肥培管理や他の技術との組み合わせによる環境負荷軽減効果や、他の熱帯島嶼地域への応用、そして消費者等とのコミュニケーションツールとしての活用が期待される(DOI: https://iopscience.iop.org/article/10.1088/1748-9326/acdf04)。

情報源 国際農研 プレスリリース
機関 国際農研
分野 ごみ・リサイクル
環境総合
キーワード 石垣島 | 有機資源 | 食の窒素フットプリント | みどりの食料システム戦略 | 反応性窒素 | 熱帯・亜熱帯島嶼地域 | 牛糞堆肥 | 食の窒素フットプリント計算フレーム | 窒素排出削減対策 | 消費者等とのコミュニケーションツール
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