省エネ製品

省エネルギー社会の実現に向けて様々な取り組みが進められています。昭和54年に制定された省エネ法では、工場などのエネルギー効率の向上や、家庭やオフィスで使われる家電製品などの省エネ化を求めてきました。この記事では家庭やオフィスの省エネ化に向けた取り組みを振り返ります。

※掲載内容は2014年8月時点の情報に基づいております。
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1.エネルギー消費が2倍に ~省エネニーズの高まり~

日本は生活や経済活動に必要なエネルギー資源の多くを輸入に頼っています。1954年から1973年までの高度経済成長期には、大量の石油を輸入することで産業の発展と経済成長を維持していましたが、オイルショックをきっかけにエネルギー利用の見直しが課題となり、エネルギー使用の合理化(省エネ)に取り組むようになりました。また、近年は化石燃料の燃焼に伴うCO2の排出が地球温暖化の大きな原因と考えられるようになり、一層の省エネと脱化石燃料依存が進められています。

1979年(昭和54年)に「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」(省エネ法)が制定されたこともあり、工場などの産業部門ではエネルギー消費を抑えながらの経済成長を果たしてきましたが、家庭やオフィスなどの民生部門や運輸部門のエネルギー消費は増加し続け、第1次オイルショックの年からおよそ倍増となっています。

図1

図1 日本のエネルギー消費の推移(エネルギー白書2014第211-1-1[1]をもとに作成)
原油換算は石炭や天然ガスなどの異なるエネルギー源を石油エネルギーの量に置き換えた場合の値。

2.省エネトップランナーを目指して ~省エネ性能を高める政策~

民生部門や運輸部門の省エネを進めるために、家電製品や自動車などの省エネ化が取り組まれています。省エネ法では、省エネ性能の高い製品を広めるために「トップランナー制度」が導入されています。

トップランナー制度では、現在商品化されている製品の中で最も省エネ性能の高い製品(先頭を走る=トップランナー)を目標に、メーカーなどが家電製品やガス石油機器、自動車などの省エネ性能の向上に取り組むことを求めています。

トップランナー制度の対象となるのは“エネルギーを消費する製品”です。省エネ法では次の3つの要件を満たすものを「特定エネルギー消費機器」として、トップランナー制度の対象としています。

  1. 日本国内で大量に使用されること
  2. 使用に際し相当量のエネルギーを消費すること
  3. エネルギー消費効率の向上を図ることが特に必要なこと(効率の改善の余地等があること)
表1 2013年12月現在の特定エネルギー消費機器[2]
1. 乗用自動車 8. 貨物自動車 15. 石油温水機器 22. ルーティング機器
2. エアコン 9. ビデオテープレコーダー 16. 電気便座 23. スイッチング機器
3. 蛍光灯器具 10. 電気冷蔵庫 17. 自動販売機 24. 複合機
4. テレビ 11. 電気冷凍庫 18. 変圧器 25. プリンター
5. 複写機 12. ストーブ 19. ジャー炊飯器 26. 電気温水機器
6. 電子計算機 13. ガス調理機器 20. 電子レンジ 27. 交流電動機
7. 磁気ディスク装置 14. ガス温水機器 21. DVDレコーダー 28. LEDランプ

国は、機器ごとに3~10年後の省エネ性能の目標値(トップランナー基準)を設定し、トップランナー制度の対象となった機器の製造・輸入事業者に対して目標値を上回ることを求めています。

図2

図2 トップランナー基準の考え方(出典:省エネ性能カタログ2014年夏版[3]
APF(Annual Performance Factor:通年エネルギー消費効率)は、年間を通してある一定条件をもとにエアコンを使用したとき、1年間に必要な冷暖房能力を、1年間でエアコンが消費する電力量(期間消費電力量)で除した数値です。APFが大きいほど省エネ性が優れた機器といえます。

図2はトップランナー基準の考え方をエアコンを例に示したものです。エアコンは、室内機形態、冷房能力、室内機の寸法などにより分けられた区分毎に目標のAPFを設定します。目標年度には区分ごとに出荷した製品のAPFの平均値(APFを出荷台数で加重調和平均した値[4])を計算して目標の達成を判断します。

トップランナー制度の対象となった機器では、大きな省エネ成果があがっています。例えば、エアコンの期間消費電力量は2003年から2013年までに約12%向上したほか、401~450L冷蔵庫の年間消費電力量は2002年から2012年までに約68%、32V型液晶テレビの年間消費電力量は2007年から2012年までに約57%向上しています[5]

3.省エネ製品を見極める ~省エネラベリング制度と統一省エネラベル~

省エネ製品を選ぶ際には「e」マークや「星」が表示されたラベルに注目してください。

「e」マークの省エネラベル

2000年にJIS規格によって導入された「省エネラベリング制度」では、メーカーなどが製品の省エネ性能目標(トップランナー基準)の達成状況を「e」マークの色で表示しています。緑色は目標を達成している製品、オレンジ色は未達成の製品です。2013年12月現在は次の21の機器が対象になっています。「JIS C 9901[6]」によるエアコン、蛍光灯器具、テレビ、電子計算機、磁気ディスク装置、電気冷蔵庫、電気冷凍庫、変圧器、ジャー炊飯器、電子レンジ、DVDレコーダー、ルーティング機器、スイッチング機器、電気温水機器、交流電動機、LEDランプ、「JIS A 4423[7]」による電気便座、「JIS S 2070[8]」によるストーブ、ガス調理機器、ガス温水機器、石油温水機器です。

図3

図3 省エネラベル(出典:省エネ性能カタログ2014年夏版[3]

JIS規格を読みたい

5つ「星」評価の統一省エネラベル

2006年から導入された「統一省エネラベル」では、「e」マークに加えて、省エネ性能目標(トップランナー基準)達成状況の5段階評価の星マークや電気料金の目安が一目で比較できるようになっており、表示は販売店が行います。2013年12月現在は、エアコン、蛍光灯器具、テレビ、電気冷蔵庫、電気便座が対象になっています[9]

図4

図4 統一省エネラベル(冷蔵庫の例)(出典:省エネ性能カタログ2014年夏版[3]

4.いつ買うか? ~省エネ製品買い替えのタイミング~

省エネ社会の実現に向けてさまざまな制度や技術革新が進められていますが、毎年のように省エネ製品へ買い替えることは現実的ではありません。環境面から買い替えを判断するためには、“使うとき”のエネルギー消費を比較するだけでなく、買い替えで購入する製品の製造時のエネルギー消費や使用中の製品の廃棄時のエネルギー消費、温室効果ガスの排出なども考える必要があります[10]

これを読めばもっとわかる

省エネ製品と比較してみたい

5.住宅やビルも省エネへ ~平成25年度改正省エネ法~

平成25年度に改正された省エネ法では、“エネルギーを消費する製品”に加えて、“省エネに役立つ”住宅やビルの断熱材が「特定熱損失防止建築材料」としてトップランナー制度の対象となりました[2]。対象となった断熱材には、目標年度や断熱効果の基準(基準熱損失防止性能)が設定されています[11]。これにより、家庭やオフィスの省エネはますます進んでいきます。

図5

図5 トップランナー制度の対象となった断熱材(出典:エネルギーの使用の合理化等に関する法律 省エネ法の概要[12]

法案作成に携わった職員に聞いてみる

住宅やビルの省エネ技術

参考文献

[1] 経済産業省編. 平成25年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2014). 2014. http://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2014html/, (参照 2014-08-05).

[2] エネルギーの使用の合理化等に関する法律施行令(平成25年12月27日政令第370号). http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S54/S54SE267.html, (参照 2014-08-11).

[3] 資源エネルギー庁. 省エネ性能カタログ. 2014年夏版. 2014. http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/more/pdf/summer2014.pdf, (参照 2014-08-05).

[4] エアコンディショナーのエネルギー消費性能の向上に関するエネルギー消費機器等製造事業者等の判断の基準等(平成25年12月27日経済産業省告示第269号). http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/summary/pdf/top_runner/02toprunner_eakon.pdf, (参照 2014-08-11).

[5] 資源エネルギー庁. 省エネ型の機器を選ぶ. http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/choice/index.html, (参照 2014-08-21).

[6] JIS C 9901 : 2013. 電気・電子機器の省エネルギー基準達成率の算出方法及び表示方法.

[7] JIS A 4427 : 2007. 電気便座の省エネルギー基準達成率の算出方法及び表示方法.

[8] JIS S 2070 : 2007. ガス・石油機器の省エネルギー基準達成率の算出方法及び表示方法.

[9] エネルギー消費機器の小売の事業を行う者が取り組むべき措置(平成25年12月27日経済産業省告示第269号). http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/summary/pdf/29toprunner_kouri.pdf, (参照 2014-08-11).

[10] 田崎智宏. 省エネ製品に買い替えるべき?. ココが知りたい温暖化. 国立環境研究所, 2008. http://www.cger.nies.go.jp/ja/library/qa/23/23-1/qa_23-1-j.html, (参照 2014-08-06).

[11] 断熱材の性能の向上に関する熱損失防止建築材料製造事業者等の判断の基準等(平成25年12月27日経済産業省告示第270号). http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/summary/pdf/top_runner/dannetsuzai.pdf, (参照 2014-08-11).

[12] 資源エネルギー庁. エネルギーの使用の合理化等に関する法律 省エネ法の概要. 2014. http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/summary/pdf/2014_gaiyo.pdf, (参照 2014-08-11).

(2014年8月現在)
2014年9月26日:掲載