環境技術解説

ヒートアイランド対策技術

都市中心部の気温が郊外よりも高くなる「ヒートアイランド現象」により、さまざまな弊害やリスクが生まれています。政府は、2004年に「ヒートアイランド対策大綱」を策定し、基本方針や具体策を示して取り組みをすすめてきました。2013年に同大綱は改定され、新たな指針や取り組み策が加わっています。ここでは、人工排熱の低減や地表面被覆の改善、都市形態の改善(自然の風をうまく取り入れた都市計画など)をはじめとする、「ヒートアイランド対策技術」について紹介します。

※掲載内容は2016年3月時点の情報に基づいております。
※外部リンクは別ウィンドウで表示します。

1. ヒートアイランド現象とは

ヒートアイランド現象とは、都市部に島状の高温域が形成される現象です。都市部の高温化は、産業革命期のロンドンで確認されたのが最初と言われています。対策技術に触れる前に、まず現象そのものと、その影響について解説します。

1.1 ヒートアイランド現象の発見

都市中心部が周囲より高温となることを最初に発見したのは、ロンドンの気象学者ハワード(Luke Howerd, 1772-1864)と言われています。当時のロンドンは人口が100万人規模に達し、主に石炭が暖房用の燃料として使われていました。ハワードは9年間の計測により、夜間にロンドン市内の気温が周囲より約3.7℃高くなっていることを指摘しました。

その後、都市の周囲の「等温線」が、孤島の等高線と似ていることから「熱の島=ヒートアイランド」の名称が付けられました。

図1 ロンドン市内と郊外の平均気温の推移
出典:Luke Howard. "The Climate of London". International Association for Urban Climate (IAUC). 1833, p.5.

図2 1959年5月14日のロンドンと近郊の最低気温 (等温線の数値は華氏)
原典:Tony Chandler. "The Climate of London". Hutchinson & Co., LTD., London ,1965.
出典:Luke Howard. "The Climate of London". International Association for Urban Climate (IAUC), 1833, p.6.


1.2 ヒートアイランド現象の現状

日本でも、都市部の高温化は目立っています。8月の平均気温で比較すると、都市中心部は郊外に比べあきらかに暑熱化しており、「気温が30℃を超える時間数の合計」を30年前と比較した場合も、都市部の高温化が顕著です。

図3 中部地方の8月の平均気温分布(左)、30年前(1980-84年の平均)と現在(2006-10年)の合計時間数の分布(中、右)
出典:環境省 水・大気環境局 大気生活環境室「ヒートアイランド対策マニュアル」(2012年3月)
第1章 ヒートアイランド現象の現状(左:p.5)(中と右:p.9)


1.3 ヒートアイランド現象と地球温暖化

東京では、過去100年間て3.3℃の平均気温の上昇か?観測されています。これは日本の平均気温上昇量である1.5℃を大きく上回るものです。ほかの主要な都市でも同様の傾向がみられます。

一方、日本各地の気温データを分析し、都市化の影響を取り除いた場合の気温上昇は、世界平均(0.74℃)並の0.67℃程度であるとの試算もあることから、東京など主要な都市の気温上昇は、その要因の大半が地球温暖化ではなく、ヒートアイランド現象によるものと考えられます。

図4 東京の年平均気温の推移
出典:環境省 水・大気環境局 大気生活環境室「ヒートアイランド対策マニュアル」(2012年3月)
第1章 ヒートアイランド現象の現状(p.2)


1.4 ヒートアイランド現象の要因

ヒートアイランド現象の主な要因として「地表面被覆の人工化」、「人工排熱の増加」、「都市形態の高密度化」があげられます。ここでは、これらのヒートアイランド現象の原因について解説します。

図5 ヒートアイランド現象のおもな原因
出典:環境省「ヒートアイランド対策ガイドライン平成24年度版」
1章 ヒートアイランド現象とは(p.4)

1) 地表面被覆の人工化

都市の地表の多くは、熱を蓄積しやすいアスファルトやコンクリートで覆われています。こうした舗装面は、夏場の日射で表面温度が50~60℃に達します。昼間に蓄えられた熱が夜間に放射されることで、夜間の気温低下が妨げられます。また、ビルが密集した都市部では、空への放射冷却が妨げられ、さらに都市内に熱が溜まりやすくなります。

これに対し、緑地は、植物の葉が日射をさえぎり地表の温度を抑える効果や、葉の表面からの蒸散によって、日射による熱が潜熱として放出される効果などがあり、都市の冷熱源としての大きな役割を果たします。

2) 人工排熱の増加

エネルギーを使用すると、それらは最終的に熱として大気に放出されます。具体的には、空調機器や自動車、工場や発電所の排熱が都市を暖めます。これを「人工排熱」と呼びます。とくに夏場は、強い日差しによる気温上昇に加え、空調負荷による排熱の増加で、いっそうの暑熱化を招くことになります。人工排熱対策には、地球温暖化対策と同様の省エネルギーの手法が求められます。

3) 都市形態の高密度化

中層や高層のビルが集積すると、地上近くの風速が弱まるなどして、熱が逃げ場を失います。また、地上から見た空の比率(天空率)が小さくなると、夜間の放射冷却が進みにくくなり、日中に蓄えられた熱が翌日まで残ることになります。都市の高密度化は、「地表面被覆の人工化」や「人工排熱の増加」と相まって、都市の暑熱化を促進します。これを改善するためには、都市計画の段階から工夫して、道路や水路を配置し、風通しを良くするような試みが必要となるため(韓国ソウル市の具体例を後述)、長期的な計画や誘導策が必要になってきます。

図6 相互に関連するヒートアイランド現象の要因
出典:環境省パンフレット「ヒートアイランド対策推進のために」


2. ヒートアイランド現象による影響

ヒートアイランド現象により、都市部の生活環境に変化が生じ、人の健康被害のリスクが高まるだけでなく、植物への影響等も生じています。

表1 ヒートアイランド現象によるさまざまな影響
影響項目 影響の内容
人の健康 熱中症 高温化(主に夏季)により、熱中症の発症が増加するおそれがある。
睡眠阻害 高温化(主に夏季の夜間)により、夜間に覚醒する人の割合が増えて睡眠が阻害されるおそれがある。
大気汚染 都心部で暖められた空気により起こる熱対流現象により、大気の拡散が阻害され、大気汚染濃度が高まるおそれがある。高温化(主に夏季)することにより、光化学オキシダントが高濃度となる頻度が増えるおそれがある。
人の生活 エネルギー消費 夏季の高温化により、冷房負荷が増えエネルギー消費が増加する。一方、冬季の高温化は暖房エネルギーを削減する。
集中豪雨 地表面の高温化により、都市に上昇気流が起き、大気の状態によっては、積乱雲となって短時間に激しい雨が降る場合があると言われている。
植物の生息 開花・紅葉時期の変化 春の開花時期が変化したり、紅葉時期が遅れる可能性がある。
出典:環境省「ヒートアイランド対策ガイドライン平成24年度版」
1章 ヒートアイランド現象とは(p.15)

2.1 健康への影響

ヒートアイランド現象が健康に及ぼす影響として、まず挙げられるのが熱中症です。暑さによる睡眠阻害もこれに拍車をかけます。環境省では、全国の暑さ指数(WBGT=Wet Bulb Globe Temperature、湿球黒球温度)や、熱中症による救急搬送者数情報など、熱中症の予防に関わる情報の提供につとめてきました。

図7 6都市(東京都、大阪市、名古屋市、新潟市、広島市、福岡市)の暑さ指数と熱中症による救急搬送者数 (図中の数字は死者数)
出典:環境省「熱中症予防情報サイト」 暑さ指数と熱中症救急搬送者数との関係
「平成27年9月28日~10月11日までの全国の暑さ指数(WBGT)の観測状況及び熱中症による救急搬送者数と暑さ指数との関係について(平成27年度第19報:最終報)」(2015年10月16日)

また、高温化によって、蚊など熱帯に生息する感染症媒介生物が生息域を広げることで、デング熱やマラリアなど熱帯由来の感染症の蔓延も懸念されています。


2.2 大気汚染や局所気象への影響

さらに、ヒートアイランド現象は、大気汚染ももたらします。夏場は、温度上昇により、光化学オキシダント(光化学スモッグの原因物質)の発生が促進されます。また、冬場には放射冷却により地表近くの温度が下がり、上空にいくほど高温となる「逆転層」が生じます。この逆転層が郊外から都市部上空を覆うことで、都市内部に大気汚染物質を多く含む空気が滞留する「ダスト・ドーム」が形成されます。

図8 ヒートアイランドと大気汚染(冬季の例)
出典:環境省 「平成12年度ヒートアイランド現象の実態解析と対策のあり方について 報告書(増補版)」(p.19)

このほか、夏場の夕方から夜間にかけ発生する「ゲリラ豪雨」と呼ばれる局地的な短時間集中豪雨と、ヒートアイランド現象との関係を探る研究も行われています。いずれにせよ、ヒートアイランド現象は都市住民の暮らしと健康に大きな影響を与える現象と言えるでしょう。


3. ヒートアイランド対策技術の概要

日本では、ヒートアイランド対策に関する基本方針や実施すべき具体策を示した「ヒートアイランド対策大綱」が2004年3月に策定されました。この中で、「①人工排熱の低減」、「②地表面被覆の改善」、「③都市形態の改善」、「④ライフスタイルの改善」を柱に対策が進められてきました。同大綱は2013年に改定され、新たに「⑤適応策の推進」を対策の柱の一つと位置付けています。

3.1 人工排熱の削減

一般的な地球温暖化対策の手法と同じアプローチで、省エネルギーの推進、交通流対策等の推進、未利用エネルギー等の利用促進により、排出される人工排熱を低減させることを目標とし、「トップランナー方式(*)による機器の省エネ」、「次世代自動車の普及」、「都市圏の道路整備」を促進する施策が進められています。

(*)その時点で最も省エネ性能が優れている機器以上の性能を基準値とする方式

3.2 地表面被覆の改善技術

建物や舗装面の性状を変えることで、気温上昇の抑制につなげる対策技術の開発が進んでいます。

1) 保水性舗装

保水性舗装とは、水分の吸収・蒸発を効率よく行うことで、表面温度を抑える機能を持たせた舗装面のことです。大気に放出される熱を減らし、気温上昇を抑える効果を狙っています。具体的には、アスファルト混合物の空隙に、吸水・保水性能を持つ保水材を充填するものです。

図10 保水性舗装による路面温度上昇抑制効果
出典:路面温度上昇抑制舗装研究会(クール舗装研究会)


原理は「打ち水」などと同様、気化熱(潜熱)を利用したもので、雨天時や打ち水などで吸収・保持した水分を晴れた日に蒸発させ、道路表面の温度上昇の抑制を実現します。

保水性アスファルト舗装の地下1cmに設置した温度計で、施工後の性能評価を複数年にわたり行ったところ、通常舗装に比べ7℃から16℃の表面温度低下が計測され、施工から数年を経てもその効果は持続しているとの報告もあります。(横浜市道路局の「すず風舗装整備事業」)

このほか、赤外線を反射する遮熱材を路面に塗布することで温度上昇を抑える「遮熱性舗装」も試みられています。

また、これらの路面温度低減効果を反映したシミュレーションによれば、都市部の気温を1~2℃下げる効果も期待できると言われています。

図11 保水性舗装による気温低下シミュレーション
出典:路面温度上昇抑制舗装研究会(クール舗装研究会)


2) 屋上緑化・壁面緑化

屋上緑化・壁面緑化は、植物の葉などで日射をさえぎり、蒸発散による潜熱(周囲からの熱吸収)も利用することで、建築物表面における大気加熱を大きく抑制するもので、工場や商業施設など大規模施設を中心に実施されているヒートアイランド対策です。

東京都による屋上緑化の効果調査結果によると、正午頃に太陽から受ける熱(正味放射量)約600W/m2のうち、非緑化区画では約400W/m2が大気を直接暖める熱(顕熱)となり、約200W/m2が階下に伝わる熱(伝導熱)となっています。一方、植栽区画では植栽等の蒸発散により約400W/m2の潜熱が生じたことで、顕熱・伝導熱とも約100W/m2と大幅に低下していることが確かめられており、コンクリート壁面より最大約10℃の温度低減効果も確認されています。

詳細については、別項「屋上緑化・壁面緑化」を参照してください。




3) 高反射率塗料

高反射率塗料は、太陽光に含まれる近赤外線成分をより多く反射させる性能を持つ塗料で、遮熱塗料あるいは断熱塗料とも呼ばれています。建物の表面温度の上昇を緩和する効果があり、建物の屋根などに塗布することで効果を発揮します。

4) 光触媒・感温性ハイドロゲル

「打ち水」同様の効果を期待し、屋上や屋根、壁面や路面などに散水を行う場合がありますが、散水した水が全体に広がらず、水道(みずみち)やムラが生じて期待したほどの効果が得られなかったり、水がムダになったりする場合があります。

その対策として、光を受けることで表面が親水性となる「光触媒」を塗布し、壁全体の表面に薄い水の膜を形成させることでより高い効果をめざす研究が行われました。また、温度により自律的に吸水・排水を行う高分子新材料「感温性ハイドロゲル」を使って、散水の効果アップと水の節約を両立させる技術の研究も行われています。

図12 光触媒を使った壁面の冷却効果
出典:NEDO「光触媒利用高機能住宅用部材プロジェクト(2002~2005年度)」


4. 都市形態の改善技術と事例

高層建築が建ち並ぶ街区では、地表面の風がさえぎられて熱がこもりやすくなっています。風向特性などを踏まえた上で適切な都市計画を行えば、風による換気と排熱が期待できます。

また、都市内の緑地や水面から街区への風の通り道を確保することで、その効果はさらに高まります。

こうした都市形態の改善効果の検証において、厳密な意味での比較実験は不可能です。しかし、風洞実験やコンピュータ・シミュレーション技術の発達で、試行と現実との差は急速に縮まっています。

4.1. 皇居「冷気のにじみ出し」

環境省では都内有数の都市内緑地である皇居を、ヒートアイランド現象を緩和する効果を持つ「クールアイランド」と位置づけ、その効果を測定してきました。2007年8月の調査では、皇居内は周辺市街地と比較して気温が1.4~2.2℃低く、最大で4.1℃の気温差が観測されました。

気温が30℃を越えた時間数も周辺市街地の6割にすぎず、猛暑日(最高気温が35℃以上)や熱帯夜(最低気温が25℃以上)の発生日数についても、周辺市街地を大きく下回っています。

さらに、皇居周辺街区の西側と北側に測線を設定し、気温と風向風速の連続観測を行ったところ、風による冷気の移流があることが分かりました。また、風のない夜間でも冷気がにじみ出し、周辺の気温低下への寄与が確認されました。

同様の計測は新宿御苑などでも行われており、都市形態の改善に示唆を与えるデータが得られています。

図13 冷気のにじみ出しのメカニズム
出典:環境省「ヒートアイランド対策ガイドライン平成24年度版」
1章 ヒートアイランド現象とは(p.10)


4.2. 韓国ソウル市「風の道の創出」

韓国のソウル市では、地域特有の自然を活用したヒートアイランド対策として、海風と川風を組み合わせた都市計画を実践しています。

ソウル市内を流れる清渓川(チョンゲ・チョン)は、かつては人口が急増するソウル市の下水道となり、汚染問題が深刻化したことで、1958年から20年にわたる工事で覆蓋され、その上に道路や高架道路が建設されました。しかし、高架道路の老朽化などの問題を受け、2002年、李明博(イ・ミョンバク)市長の誕生を機に、復元プロジェクトが実施されました。河川の再整備で「風の道」をつくり、周辺の熱環境改善も試みられました。

日本の国立環境研究所は、河川復元後に生まれた「風の道」による都市街区の冷却効果の検証を目的とした韓国気象庁気象研究所との共同研究に参加し、夏場の気象観測を行いました。

この結果、河道に沿う西よりの風が、河川に直交する南北の街路に分散して進入し、風速1m/sにつき0.3~0.4℃の気温低下をもたらすことが確認されました。また、地表面から大気に伝わる熱(顕熱)の量が500W/m2から200W/m2に減少していることが確認されました。

この事例は、都市形態の改善がヒートアイランド緩和に効果があることを確かめた世界初の事例となり、地域特有の気候や地形条件を活かす対策が有効であることを示しました。

図14 清渓川の再整備による風の道の創出(ソウル市)
出典:国立環境研究所 公開シンポジウム2007講演資料「都市の温暖化と自然を活かした暑さ対策」(一ノ瀬俊明)


5. ヒートアイランド対策に関する実証事業等

ヒートアイランド対策の推進のため、環境省では、実証事業や研究活動、情報提供活動を実施しています。これらについて紹介します。

5.1. クールシティ中枢街区パイロット事業

環境省では、ヒートアイランド現象の顕著な街区において、緑化や保水性舗装、高反射率塗料など複数のヒートアイランド対策技術を組み合わせて実施し、都市部にクールスポットを形成することで、ヒートアイランド現象の緩和を図る事業に対して補助を行ってきました。

2007~2011年度にかけては、以下の街区が選定されました。

表2 クールシティ中枢街区パイロット事業
街区名 街区調整者
大手町・丸の内・有楽町周辺街区 大手町・丸の内・有楽町地区
再開発計画推進協議会
小名木川貨物駅跡地街区 小名木川貨物駅跡地開発協議会
大崎駅周辺街区 大崎駅周辺地域都市再生緊急整備地域まちづくり連絡会
押上・業平橋駅周辺地区 墨田区
池袋駅周辺地区 豊島区
横浜市みなとみらい21地区 横浜市
大阪駅周辺・中之島・御堂筋周辺街区 大阪駅周辺・中之島・御堂筋周辺街区
クールシティ推進連絡協議会
名古屋駅周辺街区 名古屋市
博多駅周辺街区 及び 渡辺通周辺街区 福岡市
小倉駅周辺街区 北九州市
出典:環境省 クールシティ中枢街区パイロット事業

5.2. 環境技術実証事業(ETV)

環境省では、環境負荷低減に役立つと思われる技術について、その効果を示す客観的なデータを第三者機関が提示することで、製品やサービスの普及を後押しする「環境技術実証事業(2003~2007年度は環境技術実証モデル事業、略称ETV)」を実施しています。実証された技術には「環境技術実証事業ロゴマーク」が交付されるもので、2014年度末までに585技術が実証されています。

図15 「環境技術実証事業ロゴマーク」と同事業において実証した技術数


ヒートアイランド対策技術の分野では、過去に「空冷室外機から発生する顕熱抑制技術」の実証が行われ、2015年現在も「建築物外皮による空調負荷低減等技術」や「地中熱・下水等を利用したヒートポンプ空調システム」において実証を希望する技術の公募が行われています。

このうち、「空冷室外機から発生する顕熱抑制技術」とは、エアコンなどの空調機器の空冷室外機へ水を噴霧し、その気化熱を利用して冷却効果を高める技術です。また、「建築物外皮による空調負荷低減等技術」は、空調負荷の低減が期待できる、日射遮蔽フィルムや高反射率塗料等の外皮技術であり、「地中熱・下水等を利用したヒートポンプ空調システム」は、年間を通じて温度変化の小さい地中の熱源を利用し、より効率よく冷暖房を行う技術です。

図16 空冷室外機の顕熱抑制技術の事例(水噴霧器)
出典:環境技術実証モデル事業 平成17年度実証試験結果報告書の概要(p.17)
ヒートアイランド対策技術分野(空冷室外機から発生する顕熱抑制技術)

図17 窓用日射遮蔽フィルムまたは窓用コーティング材の熱収支の概念図
出典:環境省 環境技術実証事業広報資料 ヒートアイランド対策技術分野(建築物外皮による空調負荷低減等技術)平成25年度実証対象技術の環境保全効果等(p.6)

図18 地中熱利用形態
出典:環境技術実証事業広報資料 平成25年度実証対象技術の環境保全効果等


5.3. クールシティ推進事業

2013年の「ヒートアイランド対策大綱」の改定により、これまでの「緩和策」に加え、人の暑熱ストレスを低減し、健康への影響を軽減する「適応策」が求められています。具体的には、街路樹、ミスト、打ち水などの導入、暑さ指数(WBGT)の情報提供、熱中症予防情報サイトのエリア拡大・精度向上などが検討されています。


引用・参考資料など

<コンテンツ改訂について>
2009年6月:初版を掲載
2016年5月:改訂版に更新

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