回遊魚の”おしっこ”は年間8か月の栄養供給源だった!
発表日:2024.10.28
京都大学生態学研究センターの倉澤氏(当時大学院生)、同大学総合地球環境学研究所の大西特任助教、東北大学大学院生命科学研究科の宇野准教授らのグループは、琵琶湖にそそぐ川を対象に、綿密な野外調査による魚の遡上実態の解明と魚に由来する栄養塩の化学・安定同位体比分析を行った。その結果、琵琶湖から遡上する多様な回遊魚が排泄する「おしっこ」が、1)一次生産者の生育に不可欠なリンや窒素などの栄養塩を河川生態系に供給することで河川の生物群集を支えていること、2)多様な魚種が季節を追って順に遡上することで年間8か月もの間、その効果が持続することを解明した。これらの知見は、自然の生態系のつながりや大きく移動する動物の存在とその多様性が生態系全体に果たす役割の重要性について新たな側面を指摘したものであり、自然環境の管理と保全に重要な示唆を与えるものである。なお、本成果は、2024年10月25日に国際学術誌「Science Advances」に掲載された。