NIMS、低温・高圧水素ガス環境下での材料評価実験を本格始動
発表日:2024.10.28
物質・材料研究機構(NIMS)は、低温・高圧水素環境下での材料特性評価設備を設置し、本格的な稼働を開始した。―――この設備は、従来の設備に比べて、より低温かつ高圧の水素環境での材料試験が可能であり、温度20Kから200K、圧力常圧から10MPaの範囲で材料の機械的特性や水素適性を評価できる。また、内容量が24,000Lの液化水素貯槽を設置しており、長時間にわたる連続試験や効率的かつ包括的な材料特性評価が可能となる。―――水素社会の実現に向けては、水素の供給コストの低減が求められているが、液化水素温度や水素ガス環境といった過酷な条件で使用できる材料が限られているため、各種設備の大幅なコスト削減には限界があった。今回完成した設備は、幅広い材料において正確かつ信頼性の高いデータを取得することができるため、水素環境下で使用できる材料の幅が広がり、安全性を確保しつつ各構成機器のコストを下げることが期待される。グリーンイノベーション基金事業の「大規模水素サプライチェーンの構築プロジェクト(NEDO)」の一環として、2025年度末までに試験運転を完了し、2026年度からは水素サプライチェーンに使用される材料の機械的特性データを本格的に取得する予定だ。