NIMS、データ同化を用いて電極触媒の劣化予測を高効率化
発表日:2024.12.12
物質・材料研究機構(NIMS)の研究チームは、天気予報でも使用されるデータ同化という手法を組み合わせることで、水電解装置用「電極触媒」の劣化を短時間で高精度に予測する手法を開発した。──データ同化とは、実験結果にばらつきがあることを想定し、一定数のフィッティング計算を繰り返してパラメータの最適化を行う手法。研究チームは先ず、触媒の表面が溶出などによって劣化する様子をシンプルな数理モデルで表わし、数時間単位の劣化試験に適合することを確認した。次に、長時間(約900時間)分の実験データに対して、データ同化を用いた劣化予測を行い、約300時間分の実験結果から900時間後の劣化を4%の誤差で予測することに成功した。本成果により、電極触媒の劣化予測が高速化され、さまざまな触媒材料の劣化を比較することが容易となることで、高効率かつ安価で寿命の長い触媒材料の開発が加速することが期待される。──今後はアルゴリズムを改良してより短時間での予測を目指すとともに、触媒材料が劣化するメカニズムそのものの解明を進めていくという。