2050年 ニホンジカとイノシシは日本の大半に分布する見通し
発表日:2026.03.11
東京農工大学、森林総合研究所、自然環境研究センターの研究チームは、ニホンジカとイノシシの分布拡大を長期的に予測する統合モデルを構築し、2050年には両種が日本の大部分へ分布域を広げる可能性を示した。背景には、個体群の自然分散に加え、人口減少による管理体制の弱体化が影響するとされる。これまで局所的な要因に注目しがちであった分布拡大を、広域かつ長期の視点から捉え直す成果である(掲載誌:Scientific Reports)。
研究では、1978年、2003年、2014年の分布情報を基に階層モデルを構築し、標高や土地利用、積雪日数などの環境要因に加え、繁殖を伴う移動・分散能力の寄与を検証した。その結果、分布拡大には移動・分散能力が強く作用しており、既存分布域に近い地域ほど拡大が進みやすい傾向が示された。分散能力の高さが全国的な生息域拡大を後押ししていると考えられる。さらに、温室効果ガス排出シナリオ(RCP2.6およびRCP8.5)を用いた将来予測では、積雪日数の減少が生息可能域を拡大させる要因になり、現在は生息が限定的な地域でも定着が進行すると示された。2100年にはその傾向がより顕著となり、特にニホンジカでは都市部を除く広域で分布確率が高まるとされる。
研究者は、被害が現れていない地域でも早期介入を想定した予防的管理が必要と述べている。短期的な捕獲強化だけでは分散に追いつかず、地域間の連携や管理技術の均質化が欠かせないとの見方もできることから、人口減少に伴う担い手不足が進む中、生息地情報の共有と長期計画の策定が、獣害対策の安定化に重要だと指摘している。
▲ページ先頭へ
新着情報メール配信サービス
RSS