電気通信大学と東京大学の研究グループは、ハエの幼虫が動く速さと生息域の気温との間に相関関係があることを発見した。動物の運動パターンや運動速度は環境適応の現れだと考えられているが、運動と環境の定量的な関係は不明な点が多かった。同研究グループは、世界中に広く分布しているショウジョウバエに着目し、同一条件下で11種の幼虫の自由行動を撮影して、画像解析手法を用いて運動パターンを解析するとともに、地球環境データベースを組み合わせて取得した気温データに基づく統計的な解析を実施した結果、各種の動きには違いが認められた。また、これまで幼虫の大きさ以外に運動速度と相関する要因は不明であったが、今回、幼虫の大きさが近い種を比較したところ、大きさよりもむしろ生息域の環境温度が重要な要因であることが示唆された。生息域の環境温度と幼虫の運動速度との間には相関関係が認められ、寒冷地域に生息する種は遅く移動するのに対し、温暖地域に生息するハエの幼虫は速く移動することが分かった。こうした現象と神経回路レベルの多様化との関係を詳細に調査することで、地球環境に応じた動物行動の適応メカニズム解明、ひいては地球環境問題と生物多様性問題のより協調的かつ定量的な分析・解決が可能になるという。
情報源 |
電気通信大学 ニュースリリース
東京大学大学院 新領域創成科学研究科 記者発表 |
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機関 | 電気通信大学 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 |
分野 |
地球環境 自然環境 |
キーワード | 生物多様性 | 地球環境 | 適応 | 画像解析 | ショウジョウバエ | 運動パターン | 地球環境データベース | 環境温度 | 神経回路レベル | 運動速度 |
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