建設リサイクル技術

 建設リサイクル技術とは、コンクリート塊、アスファルト・コンクリート塊、廃木材、汚泥などの建設副産物を再資源化する技術の総称である。コンクリート塊は、破砕・選別・混合物を除去後、路盤材・建築物の基礎材・コンクリートの骨材等に再利用される。アスファルト・コンクリート塊は、破砕・選別・混合物を除去後、再生アスファルトや路盤材として再活用される。また、廃木材は、細かく砕いて板・製紙用チップあるいは固形燃料(RDF)、セメント燃料化などに再び利用される。
 平成14年に制定された「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」(建設リサイクル法)では、コンクリート塊、アスファルト・コンクリート塊、建設発生木材の3品目について、一定規模以上の工事における再資源化を、建設業者に義務づけている。下図に示すように、コンクリート塊(Co)は再資源化されて、道路や排水溝、道路の敷石等に利用され、アスファルト・コンクリート塊は路盤材やアスファルト舗装に利用されている。

建設リサイクル技術の適用イメージ

Co:コンクリート塊からの再利用  土:建設発生土からの再利用
木:廃木材からの再利用  As:アスファルト・コンクリート塊からの再利用

建設リサイクル技術の適用イメージ
出典:国土交通省のリサイクルホームページ「建設副産物の現状」(リサイクル事例)
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/region/recycle/fukusanbutsu/genjo/zirei.htm

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1.背景

1)建設副産物の種類

 建設現場から発生する「建設副産物」は、建設工事に伴い副次的に発生するすべての物品であり、その種類としては、「建設発生土」、「コンクリート塊」、「アスファルト・コンクリート塊」、「建設発生木材」、「建設汚泥」、「紙くず」、「金属くず」、「ガラスくず・コンクリートくず及び陶器くず」又はこれらのものが混合した「建設混合廃棄物」などがある。これらの関係は図1の通りである。「建設発生土」とは、建設工事から搬出される土砂や港湾、河川等の浚渫(しゅんせつ:底部に溜まった汚泥等を取り除くこと)に伴って生ずる土砂(浚渫土)、その他これに類するものである。一方「建設廃棄物」とは、建設副産物のうち、一般廃棄物と産業廃棄物の両者を含む概念であるが、一般的には産業廃棄物について言われることが多い。

図1 建設副産物の種類

図1 建設副産物の種類
出典:国土交通省のリサイクルホームページ「建設副産物の現状」(建設副産物の定義)
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/region/recycle/fukusanbutsu/genjo/teigi.htm

2)建設廃棄物の発生状況

 建設廃棄物は、平成17年度には7700万トンが排出され、最終処分量は600万トンとなっている。これは、産業廃棄物全体の排出量の約20%程度、産業廃棄物全体の最終処分量の約25%となっている。建設廃棄物のリサイクルは、コンクリート塊、アスファルト・コンクリート塊などで進んでいるものの、発生量が多いことから、建設廃棄物のリサイクルは循環型社会を確立する上での大きな課題となっている。
 図2に示す通り、建設廃棄物は、寿命を迎えた建築物の解体工事等にともなって発生し、今後も大量の建設廃棄物が発生すると予想されている。

図2 建設廃棄物排出量の将来予測

図2 建設廃棄物排出量の将来予測
出典:国土交通省のリサイクルホームページ「建設副産物の現状」(建設副産物排出量の将来予測)
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/region/recycle/fukusanbutsu/genjo/index.htm

3)建設リサイクル法

 高度経済成長期を経て、わが国の経済社会活動や国民生活における大量生産・大量消費・大量廃棄が進むなかで、建設工事においても、資源の利用から廃棄物の処理にいたる各段階での環境負荷の増大が問題となっていた。このような中で、解体工事業者の登録制度の実施により分別解体の適切な実施を図り、また特定の建設資材の分別解体等及び再資源化等を促進するための措置を講じることにより、建設廃棄物全体のリサイクルの推進を目的とした、建設リサイクル法(「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」)が平成14年5月30日から完全施行された。
 同法では、特定建設資材(コンクリート、アスファルト・コンクリート、木材)を用いた一定規模以上の建設工事について、その受注者等に対し、分別解体等及び再資源化等を行うことを義務付けており、できるだけ分別解体を実施し、再資源化についての経済性の面における制約が小さくなるよう積極的に取り組むよう推進している(図3)。

図3 建設リサイクル法の概要

図3 建設リサイクル法の概要
出典:環境省「建設リサイクル法の概要」
http://www.env.go.jp/recycle/build/gaiyo.html

4)建設副産物の再資源化の状況

 建設副産物の再資源化の状況を図4に示す。建設リサイクル法の中で「特定建設資材」に指定されているのは、コンクリート、アスファルト・コンクリートの混合物、廃木材の3品目である。建設リサイクル法において特定建設資材の再資源化等を平成22年までに95%にする目標が掲げられていることを踏まえ、コンクリート塊、アスファルト・コンクリート塊はほぼ全量、建設発生木材も91%について再資源化等が行われている。なお、ここで言う「再資源化等」とは、再使用、再生利用に加えて縮減(脱水や焼却等による減量化量)を含めたものを指す(※の定義を参照)。建設発生木材の場合、再資源化等が行われる割合は上述の通り91%であるが、再使用と再生利用に限った再資源化率は68%である。また、建設汚泥は再資源化等率75%(再資源化率は48%)であるが、発生量が多いことから、最終処分量のさらなる低減が求められている。

 ※再資源化率=(再使用量+再生利用量)/排出量
 再資源化等率=(再使用量+再生利用量+縮減量(脱水や焼却等による減量化量))/排出量

図4 建設副産物の再資源化の状況

図4 建設副産物の再資源化の状況
出典:環境省 中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会建設リサイクル専門委員会(第1回)「資料5 建設廃棄物のリサイクルの現状について」
http://www.env.go.jp/council/03haiki/y0317-01b.html

5)品目別の再資源化状況

 各品目の再資源化後の用途及び、今後の利用促進の方向性は以下の通りである。

(1)コンクリート塊
 再資源化の促進として、破砕、選別、混合物除去、粒度調整等を行い、再生クラッシャーラン(路盤材)、再生骨材等に再資源化を行う。また、現場から40kmの範囲内で再生骨材等が入手できる場合は、利用される用途に要求される品質等を考慮し、経済性にかかわらずリサイクル材の利用を促進する。

(2)アスファルト・コンクリート塊
 コンクリートと同様に破砕、選別、混合物除去、粒度調整等を行い、再生加熱アスファルト混合物、再生骨材等に再資源化を行う。リサイクルの促進として、現場から40km2、1.5時間の範囲内で再生加熱アスファルト混合物等が入手できる場合は、利用される用途に要求される品質等を考慮し、経済性にかかわらず利用する。

(3)建設発生木材
 建築物解体等で発生した木材は、チップ化して木材ボードやたい肥等の原材料に再資源化する。また、木質コンクリート型枠への再生木質ボードの適用や、法面緑化材、雑草防止剤等への再生木質マルチング材(土壌表面からの水分蒸発や雑草侵入、土壌浸食の防止等を目的として植物の根元を覆う材料)の適用を目指す。

(4)建設汚泥
 焼成処理や乾燥処理などの技術を用いることで骨材、ブロック、盛土材等に再資源化を行う。しかし、泥土は質的多様性により、利用目的にあった物質の生成が難しい上、コストがかかる。また、泥土の再資源化工法には統一した評価基準がなく、コストや品質等の比較が難しいことなどが、リサイクルを促進する上での課題となっている。

2. 技術の概要

 以下では、建設リサイクル技術として、廃木材及び建設汚泥のリサイクル技術を中心に紹介する。なお、コンクリート塊、アスファルト・コンクリート塊については、「再生材利用土木資材」の解説を参照されたい。

1)建設発生木材のリサイクル

 図5に建設発生木材の再資源化フローを示す。建築発生木材は、主に破砕施設に搬入され、サーマルリサイクル(燃料利用)されるか、パーティクルボード、再生紙などに再資源化(マテリアルリサイクル)される。それ以外は直接焼却場に搬入され焼却されるか、そのまま最終処分されている。以下にリサイクル方法を示す。

図5 建設発生木材の再資源化フロー図

図5 建設発生木材の再資源化フロー図
出典:国土交通省のリサイクルホームページ「発生木材対策」(千葉県における建設発生木材リサイクル促進行動計画 参考資料16)
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/region/recycle/fukusanbutsu/hasseimokuzai/index.htm

(1)パーティクルボード、MDF
 パーティクルボードとは木材の小片を接着剤と混合し熱圧成型した木質ボードの一種で、下地材として使われるほか表面に化粧板を貼られ家具等に加工される。パーティクルボードの材料は、約2~6cmの大きさの破砕チップである。破砕チップは、建設解体材や製材廃材等を破砕処理施設において選別・破砕し、異物を除去することで製造されている。
 MDF(Medium Density Fiberboard:中密度繊維板)とは、木質繊維を接着剤と混合し熱圧成型した木質ボードの一種で、パーティクルボード同様に家具や住宅設備等に用いられている。加工性と耐久性に優れている。MDFの材料は、破砕チップから得られる繊維である。大きさでふるい分けした廃材由来の破砕チップを蒸気で蒸し、ほぐした上で繊維として回収している。

(2)製紙(パルプ)
 パルプの原料となる破砕チップは、パーティクルボードと同様の工程で、破砕処理施設にて作られる。これを製紙業者が買い取り、異物・サイズをチェックした後、樹脂の分解、洗浄、脱水・漂白の工程を経てパルプとなる(製紙工程については、「古紙リサイクル技術」の解説を参照されたい)。

(3)エタノール
 接着剤や金属等を取り除いた破砕チップを加水分解し、糖発酵、蒸留、脱水することで自動車等の燃料用のエタノールとボイラー用燃料のリグニンを精製する。

(4)サーマルリサイクル(燃料利用)
 物質としてのリサイクルが難しい場合でも、廃材はバイオマス資源であり、カーボンニュートラルとみなせるので、地球温暖化対策の一環として民間企業や地方自治体等で、熱源として利用されている。詳細は「バイオマス発電」の解説で記載することとし、ここでは民間企業および地方自治体の取り組み事例の概要を紹介する。
 民間企業では、破砕チップを燃焼させて炉の熱源として利用する事例がある。セメント工場では、CCA(クロム・銅・ヒ素化合物系木材防腐剤。以前は木製の電柱に利用されていた)や塩素を取り除き、約1~5cmに破砕したチップを、ロータリーキルンの燃料として利用している。
 地方自治体では、エネルギーの地産地消の観点から、山間部を中心に廃材を利用した発電の実証事業が実施されている。5~6cmに破砕したチップをガス化炉に投入して発電するバイオマスガス化発電で、発電効率は約30%である。
 また、一般廃棄物処理施設において、他の可燃ごみとともに破砕チップを焼却し、その廃熱を回収することで、タービンによる発電および周辺の温水プール等の施設に熱供給する事例もある。なお、廃棄物発電の詳細は、「廃棄物発電」の解説を参考にされたい。

2)建設汚泥のリサイクル

 建設汚泥の主なリサイクル方法とその用途は以下の通りである。

(1)焼成処理
 建設汚泥を1000℃程度の高温で焼成する。形状は粒状となり、主にドレーン材、骨材、ブロック、緑化基盤園芸用土として利用される。

(2)溶融処理
 焼成処理よりも高温で処理することにより、固形分を溶融する。形状は粒状や塊状となり、砕石代替品、砂代替品、石材代替品として利用される。

(3)脱水処理
 含水比の高い土から水を絞り出し、脱水ケーキを精製する。機械式脱水処理と自然式脱水処理に大別される。主に盛土材や埋戻し材に利用される。

(4)乾燥処理
 土を乾燥させ、強度を高める。自然乾燥法と機械式乾燥法がある。形状は土~粉体となり、主に盛土材に利用される。

(5)安定処理
 土にセメントや石灰等の固化材を添付混合し改良土を作る化学的処理技術である。固化材の添加量で強度の制御ができる。主に盛土材や埋戻し材に利用される。

3)コンクリート、アスファルト・コンクリートのリサイクル

 コンクリート塊は、平成19年度の再資源化率が約98%で、ほぼ全量が再生骨材や路盤材に利用されている。同様にアスファルト・コンクリート塊は、再生骨材、再生アスファルト合材(合材:混合材料の略)に再資源化されている。これらのリサイクル技術については、「再生材利用土木資材」を参照のこと。

4)再生資材を用いた施工例

 再資源化された建設廃棄物を利用した施工例を図6,7に示す。図6では、コンクリート塊(Co)は再資源化されて、道路や排水溝、道路の敷石等に利用され、アスファルト・コンクリート塊(As)は路盤材やアスファルト舗装に利用されている。図7では、コンクリート塊が護岸ブロック等に利用されているほか、廃木材(木)が堆肥や法面緑化材として利用されている。

図6 再資源化された建設廃棄物による施工例(1)

図6 再資源化された建設廃棄物による施工例(1)
出典:国土交通省のリサイクルホームページ「建設副産物の現状」(リサイクル事例)
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/region/recycle/fukusanbutsu/genjo/zirei.htm

図7 再資源化された建設廃棄物による施工例(2)

図7 再資源化された建設廃棄物による施工例(2)
出典:国土交通省のリサイクルホームページ「建設副産物の現状」(リサイクル事例)
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/region/recycle/fukusanbutsu/genjo/zirei.htm

3.技術を取り巻く動向

1)建設リサイクル推進計画2008(国土交通省)

 国土交通省は、平成20年3月に「建設リサイクル推進計画2008」を策定した。この計画は、建設リサイクルの推進に向けた基本的考え方、目標、具体的施策をとりまとめたもので、これまでの「建設リサイクル推進計画2002(平成14年)」および「建設発生土等の有効利用に関する行動計画(平成15年)」を統合したものとなっている。
 計画のポイントは、コンクリート塊等のリサイクルが進んでいることを踏まえ、相対的にリサイクルの進んでいない3品目(建設発生木材、建設汚泥、建設混合廃棄物)を中心にリサイクルの促進を図る(建設発生土については有効利用を促進する)ことと、民間の創造的取り組みを推進し、関係者の意識向上と連携強化を図ることである。また今後、この計画に示した施策の実施状況について、適時適切なフォローアップを行っていくこと等があげられる。主な取り組みの例として、現場分別のマニュアル化、建設発生土の工事間利用のルール化、「200年住宅(参考を参照)」の推進等がある。

○参考…「200年住宅」
 福田内閣の公約の一つで、住宅の長寿命化を促進するための税制度創設のことである。一般には、長寿命住宅の代名詞として認識されており、一世代毎に建て替えを繰り返すのではなく、環境に配慮して数世代が住み続けられる長寿命の住宅への転換を進めようとするものである。「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」(公布:平成20年12月、施行:平成21年6月)にて、認定長期優良住宅に対する税の特例措置が規定されている。

参考 国土交通省「長期優良住宅法関連情報」
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000006.html

 2)建設リサイクル法の施行状況評価

 社会資本整備審議会環境部会建設リサイクル推進施策検討小委員会と中央環境審議会 廃棄物・リサイクル部会建設リサイクル専門委員会(環境省)の合同会合では、建設リサイクル法の施行後5年の評価・検討を進め、平成20年12月に「建設リサイクル制度の施行状況の評価・検討について」をとりまとめた。この中では、廃木材の再資源化率が依然として低いこと、廃石膏ボードのリサイクルをさらに進める必要があることなどが指摘された。
 参考 環境省「社会資本整備審議会 環境部会 建設リサイクル推進施策検討小委員会中央環境審議会 廃棄物・リサイクル部会 建設リサイクル専門委員会第7回合同会合議事次第・資料」
 http://www.env.go.jp/council/03haiki/y0317-08b.html

(1)建設発生木材の課題
 建設発生木材は、建設リサイクル法の施行により再資源化が大きく進んだ(平成12年度:38.2%⇒平成17年度:68.2%)が、依然として2割強が縮減(単純焼却)されている状況である。アスファルト・コンクリート塊(98%以上)と比較すると、再資源化率は低い。
 上記の合同会合によれば、この原因として、分別解体時の品質管理が不徹底で、マテリアルリサイクルの材料として再資源化業者に受け入れてもらえない場合があることがあげられている。また、周辺に再資源化施設がない、施設があっても木材チップの需要が少ない地域では再資源化を受け入れてもらえない等、やむを得ないケースがあることも報告されている。

(2)廃石膏ボードの課題
 廃石膏ボードは、建設混合廃棄物として排出されているものを含め年間百数十万トンが排出されているとの推計があり、さらに今後、解体系廃石膏ボードを中心に排出量の大幅な増加が見込まれている。これは、コンクリート塊、アスファルト・コンクリート塊、建設汚泥、建設発生木材に次ぐ規模であると考えられている。
 石膏ボードは、発電所等の排ガス処理の過程で副次的に生産される副産石膏等を原料に製造されるなど、他産業由来の再生資源を利活用した製品である。しかし、廃石膏ボードそれ自体のリサイクル体制や技術が十分確立されていないことから、ほとんど再資源化されずに最終処分されているという課題がある。

引用・参考資料など

(2009年12月現在)