廃棄物発電

 廃棄物発電とは、ごみを焼却する際の熱により高温高圧の蒸気を作り、その蒸気でタービンを回すことにより発電を行う方法である。熱源とするごみの種類・性質によって、いくつかの種類がある。
 我が国における一般廃棄物発電の実績は、平成18年度末時点で自治体が293施設、1,590MW(発電効率10.93%)で、民間は32施設、331MW(同18.04%)である。廃棄物発電が可能な施設は、全焼却施設の2割程度であるが、大規模な焼却施設ほど廃棄物発電を行っている割合が高いため、廃棄物発電に利用されている廃棄物の割合は5割超である。
 また、下図は、産業廃棄物として回収した廃プラスチックを利用した、サーマルリサイクル発電所の事例である。同施設では、燃料となる廃プラスチックを適切に混合することで、常に一定の燃焼状態を作り出し、電力の安定供給に努めている。発電効率は最大で27.1%と、他の廃棄物発電と比較して高い水準にある。出力は74MWで、23,000世帯の消費電力に相当する。

廃プラスチック専焼サーマルリサイクル発電所
出典:(株)サニックス「プラスチック燃料を利用した発電」
http://sanix.jp/evr_resource/generation/index.html

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1.背景

1)我が国における廃棄物発電施設の普及

 我が国で最初の廃棄物発電施設の導入事例は、昭和40年の大阪市西淀工場とされている。この事例では、発電量が少なかったため、同内の電力消費をまかなう目的で使用されていた。
 その後、二度のオイルショックを契機とする石油代替資源を模索する動きの中で、廃棄物発電への期待が高まっていった。廃棄物発電は発電効率の低さが課題だったが、廃棄物発熱量の上昇による焼却熱量の増加や、発電設備(タービン材料や燃焼制御システムなど)の技術革新等によって、発電効率は改善されてきている。また、廃棄物焼却施設の新設・更新時に余熱利用設備を導入する場合や、既存の施設に余熱利用設備を設置する場合に補助金が交付されるなど、各種施策によって導入が促進されている。
 2003年に施行が開始されたRPS制度※1においては、バイオマス(再生可能な生物資源)性廃棄物の焼却による発電量分は、同制度の定める新エネルギーとして認定されている。CO2排出量の削減が各業界に求められる中、廃棄物発電は地球温暖化対策の一つとしてみなされている(バイオマス発電については、「バイオマス発電」の解説を参考にされたい)。
 平成18年度末時点において、全国の一般廃棄物焼却施設約1,300ヶ所のうち、発電を行っている、または行う予定のものは293ヶ所となっている(表1)。導入施設数ベースでは2割程度であるが、大規模な施設ほど廃棄物発電を行っている割合が高いため、ごみ処理能力ベースでみると5割超の廃棄物が廃棄物発電に使用されている。平成10年度に設備更新をした処理能力300t/日以上の大規模処理施設のうち、約93%が発電を導入しているというデータもある。平成17年度末時点での総発電量は約71億kWhであり、1世帯当たりの年間電力消費量を3,600kWhとして計算すると、この発電量は約195万世帯の消費電力に相当する。

※1 
RPS制度(Renewables Portfolio Standard;再生可能エネルギー利用割合基準)
電気事業者に対して、毎年その販売電力量に応じた一定割合以上の新エネルギー等から発電される電気の利用を義務付けた制度。
 資源エネルギー庁「RPS法ホームページ」 http://www.rps.go.jp/RPS/new-contents/top/main.html
※2 
(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構「新エネルギー関連データ 平成17年度 廃棄物発電」
 http://www.nedo.go.jp/nedata/17fy/04/0004txt.html
表1 ごみ焼却施設の発電の状況
  区分
年度発電施設数総発電能力
(MW)
発電効率
(%)
総発電電力量
(GWh)
10201960--
112151,060--
122331,1929.944,846
132361,24610.435,538
142631,36510.066,366
152711,44110.237,100
162811,49110.57,129
172861,51210.77,090
182931,59010.937,190
(民間)3233118.041.123

※(民間)以外は、市町村・事務組合が設置した施設で、当該年度に着工した施設及び休止施設を含み、廃止施設を除く。
※発電効率は以下の式で示される。

発電効率の式

 本調査では標準ごみ質における仕様値、公称値等を調査した。ただし、仕様値等がない場合は実績値等から算出した。

出典:環境省「一般廃棄物処理実態調査結果 平成18年度調査結果」
http://www.env.go.jp/recycle/waste_tech/ippan/h18/index.html

2)廃棄物発電の普及のための課題と対策

 総合資源エネルギー調査会における廃棄物発電の導入目標は、平成22年度で4,170MWとなっている。一方、我が国の一般廃棄物発電は平成18年度時点で、自治体が293施設、1,590MW(発電効率10.93%)で、民間は32施設、331MW(同18.04%)となっており、目標の半分程度という状況である。
 我が国では、平成14年に制定された「新エネルギー等の利用に関する特別措置法」(以下、RPS法)によって、電気事業者に新エネルギー等から発電される電気を一定量以上利用することを義務付けている。1.1)で述べたとおり、廃棄物発電も、熱源としてバイオマスを含んでいることから、同法の対象となっており、既存の廃棄物発電設備の一層の効率化および、廃棄物発電設備が導入されていない焼却処理施設への普及が見込まれている。
 また、環境省では「廃棄物処理施設における温暖化対策事業」を募集しており、高効率な廃棄物発電施設等の整備に対して助成を行うことで、廃棄物発電の普及を促している(後述の3.2)参照)。

2.技術の概要

 ここでは、一般廃棄物(可燃ごみなど)および産業廃棄物(紙、木くず、ゴム、廃プラスチックなど)を熱源とした発電について、発電のしくみと廃棄物発電施設の種類を紹介する。廃棄物を含むバイオマスの各種バイオマスエネルギーへの変換技術については、「バイオマス発電」を参照されたい。

1)廃棄物発電のしくみ

 廃棄物発電は、熱源とするごみの量や質によっていくつかの種類があるが、基本的な構造は廃棄物の焼却時に発生する熱を利用して蒸気を作り出してタービン(熱エネルギーを運動エネルギーに変換する装置)を回し、電力を得るというものである。
 廃棄物発電に使用されるタービンには、背圧タービンと復水タービンの2種類がある。背圧タービンは排気圧を正圧にして使用する方式であり、タービンの構造が比較的簡単で取り扱いも容易であるため、自家発電用設備に導入されることが多い。一方、復水タービンは、排気圧力を真空域まで下げるため熱落差を大きく取ることができ、発電出力の大きな設備に導入される。
 廃棄物発電にはボイラ蒸気が必要である。ボイラ蒸気発生量は、ごみ発熱量や供給量の変動等により変化するが、この変動が大きいと発電効率が低下する。また、廃棄物焼却によって発生する燃焼ガスの中には、腐食性ガス(塩化水素など)やダストが含まれることが多く、ボイラ管の腐食の原因となっている。このような課題に対処するため、コンピュータを活用した自動燃焼制御システムを導入し、ボイラ蒸気の発生量を安定化させたり、温度や圧力を制御したりする取り組みも行なわれている。
 図1は、廃棄物発電のフロー図である。廃熱ボイラにおいて、焼却炉で発生した高温の排ガスから熱を回収して蒸気を作り出している。蒸気はタービンへ供給されて発電に利用されるほか、蒸気式空気予熱器に送られて焼却炉へ供給する空気の加熱に用いられたりする。また近年は、タービンを回した後の中~低温廃熱についても利用技術の開発が進んでおり、冷暖房用の熱源や温水の供給などが実現している。

図1 全量発電の場合のフローシート例
出典:『ごみ焼却施設整備の計画・設計要領(2006改訂版)』(社)全国都市清掃会議 2006

2)廃棄物発電の事例

 ここでは、代表的な廃棄物発電の事例を紹介する。廃棄物発電には、ごみ焼却施設の焼却炉で発生する廃熱を利用して発電するもののほか、近年では火力発電並みの発電効率を見込める施設も稼動している。また、下水処理場で発生する汚泥を乾燥させた「乾燥汚泥」を用いた発電施設や、固形燃料化した廃棄物を用いた発電施設も、廃棄物発電に含まれる。

(1)従来型廃棄物発電
 ごみ焼却施設の焼却炉で発生する廃熱を利用して発電する型式である。焼却炉の種類や搬入される廃棄物の質と量が、発電効率に影響を与える。火力発電のしくみに似ているが、熱源となるごみの中の有害成分によって焼却炉ボイラが腐食(飛灰と塩化水素ガスの複合高温腐食)するのを防ぐため、蒸気温度を250~300℃と低めにして蒸気タービンを回す。そのため、発電効率は5~15%と、火力発電(30~40%)に比べて低い水準に留まる。
 現在の蒸気条件は蒸気過熱管の腐食防止と発電効率の兼ね合いから、350℃×3MPa、400℃×4MPaが多い。発電効率を高めるためには、耐腐食性に優れた材料及び炉構造等の開発が課題である。
 図2は、福岡市臨海工場のごみ処理およびごみ発電のフローである。ストーカ式の焼却炉でごみを焼却し、発生した熱を廃熱ボイラで回収し、水から蒸気を作り出している。発電機で最大25,000kWhの発電を行って工場内で消費し、余剰分は売電している。同工場では、平成18年度に206,308トンのごみを処理しており、最大17%の発電効率で92,423MWhを発電し、うち53,406MWhを売電している※1(平成20年度は、86,229MWhを発電し、47,557MWhを売電している※2)。発電後の蒸気の一部は工場内の冷暖房や温水に利用している。

※1 
環境省「一般廃棄物処理実態調査結果 平成18年度調査結果」
 http://www.env.go.jp/recycle/waste_tech/ippan/h18/index.html
※2 
福岡市「各施設の発電量」
 http://www.city.fukuoka.lg.jp/kankyo/kojoseibi/life/003.html

図2 臨海工場のごみ処理およびごみ発電フロー
出典:福岡市 新エネルギー(福岡市環境局温暖化対策課ウェブサイト)
「廃棄物発電・廃棄物熱利用」
http://kankyo.city.fukuoka.lg.jp/shinene/contents/energy04.html

(2)スーパーゴミ発電(リパワリングシステム)
 火力発電を高効率化する方法として、蒸気タービンとガスタービンとを併用する複合化発電があるが、廃棄物発電でも同様の方法がある。これは「スーパーゴミ発電(リパワリングシステム)」といわれ、図3に示すように、ガスタービン発電機によって発電を行った後の高温排ガスの熱を利用して、ごみ焼却時の蒸気の温度を上げて蒸気タービン 発電機の出力を上げるしくみである。
一般のごみ発電は、ごみ焼却時に発生する蒸気を利用して蒸気タービンによって発電を行うが、(1)で説明した事情により、低い温度の蒸気を使用せざるを得ず、発電効率が低くなっていた。そこで、蒸気タービンで使用される蒸気を他の熱源によって加熱することで、発電効率を高めているのである。
 高浜発電所(高崎市)は、この方式により、ガスタービン発電、蒸気タービン発電それぞれ単独で運転した場合よりも多くの電力を得ることに成功し、発電効率約10~15%だったものが、約35%に向上した。

図3 スーパーごみ発電のしくみ
出典:(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構
「新エネルギー関連データ 17年度版 ガスタービンリパワリング複合型発電方式(スーパーごみ発電)」
http://www.nedo.go.jp/nedata/17fy/04/j/0004j011.html

(3)産業廃棄物発電
 エネルギー多消費型産業であるパルプ・紙製品・セメント・化学製造企業では、使用エネルギーコストと廃棄物処理費用削減のために、早い時期から自社工場用に産業廃棄物発電と蒸気供給を実施している。これらの発電施設では、製造副産物、廃棄物であるパルプ黒液や端材、廃タイヤや廃プラスチック、化学反応時の廃ガスや有機汚泥などを燃料として利用している。また、近年では自動車・タイヤ・製鉄製造業や産業廃棄物処理業も、自社工場給電用の産業廃棄物発電を開始している。
 いくつか具体例を挙げる。茨城県の鹿島共同再資源化センターでは、鹿島工業団地からの多種廃棄物をキルン+ストーカ型プラント(100t/24h×2炉)で処理しているが、2001年からは抽気復水タービン3MWで発電を行い、電力を電力会社へ逆送することが認められた。また、東京スーパーエコタウンでは、2007年より廃プラスチックと医療系廃棄物を処理する流動ガス化炉(275t/24h×2、23MW)が稼働しており、廃熱を利用して23MWの発電を行い、余剰分を売電している。
 図4は、2003年に苫小牧市で竣工した、世界初の廃プラスチック専焼発電所(蒸気発生量180t/h×2、400℃・6.2MPa、74MW)のしくみである。同施設では、性質の異なるプラスチック廃材を適切に混合することで、常に一定の燃焼状態を作り出し、電力の安定供給に努めている。また、ボイラ温度を850℃以上に保つことで、ダイオキシン類の生成を抑えている。発電効率は最大で27.1%と、他の廃棄物発電と比較して高い水準にある。出力74MWは、23,000世帯の消費電力に相当する。

図4 廃プラスチック専焼サーマルリサイクル発電所
出典:(株)サニックス「プラスチック燃料を利用した発電」
http://sanix.jp/evr_resource/generation/index.html

 また、バイオマス発電では、鶏糞を燃料とした発電所が、2005年宮崎県で稼働している。海外ではバガス・木くず・パーム椰子廃材・コーン滓(おり)・もみ殻を燃料としたボイラ発電の実例が多く、排出権取引対象事業として期待される。2006年には、タイ南部に、ゴム木製品端材35t/hを燃料とし、蒸気条件6.1MPa×450℃、出力23MWの発電プラントが竣工した。このプラントでは、発電する23MWのうち20.2MWを売電している(バイオマスの燃料化技術は、「バイオマス発電」の項目を参照のこと)。

(4)RDF・RPFによる発電
 一般廃棄物由来の固形燃料であるRDF(Refuse Derived Fuel)および、産業系廃棄物の古紙及びプラスチックを原料とした固形燃料であるRPF(Refuse Paper & Plastic Fuel)を燃料とした発電施設も、廃棄物発電の一種である。この施設も、焼却施設における廃棄物発電同様、大きな規模で連続的に燃料を供給しつつ運転をすることで、高い発電効率を見込めるため、複数の自治体が共同で発電施設を建設し、発電施設に供給するRDF等を分散して生産する体制が取られる事例が多い(RDFおよびRPFの製造方法については、「廃棄物固形燃料化(RDF、RPF)」の項目を参照のこと)。
 図5は、三重ごみ固形燃料発電所における発電のしくみである。同施設では、三重県内の7つのごみ固形燃料製造施設において可燃ごみから作られたRDFを燃料として、焼却・発電を行っている。発電効率は28%以上で、従来の直接ごみを焼却する発電に比較して高効率である。また、発生する焼却灰はセメントの原材料として再利用を行うなど、施設全体で環境負荷の低減に努めている。
 なお、同発電の仕組みにより運営を行っているRDF焼却発電事業については、事業開始以降、現在まで収支不足の状況が続いている。事業運営面では、一層のコスト削減に取り組む必要があるなど課題を抱えている。

図5 三重ごみ固形燃料発電所の発電のしくみ
出典:三重県企業庁「RDF焼却・発電事業」
http://www.pref.mie.jp/D1KIGYO/rdf/index.htm

(5)汚泥を利用した発電
 毎年200万トン前後(乾燥重量ベース)発生している活性汚泥の有効利用の方法として、近年、汚泥燃料化が注目され、研究開発が進んでいる。その一つが、下水汚泥を乾燥・炭化させることで、火力発電における化石燃料の代替資源として活用するというものである。東京都は、平成19年より東部スラッジプラント汚泥炭化施設を運転しており、年間約10万トン(脱水汚泥ベース)の汚泥資源化を見込んでいる(詳細は、「汚泥処理・資源化」の項目を参照のこと)。

3.技術を取り巻く動向

1)廃棄物発電の経済性評価

 国立環境研究所では、過去に、廃棄物発電設備の設置・運用に伴い消費されるエネルギーと、廃棄物発電によって得られるエネルギーとの比較検討を試みている。その結果、図6に示すように、発電されるエネルギーの方が、ごみ焼却場に投入されるエネルギー(ごみ焼却場を建設し、ごみを収集し、発電するエネルギーの合計)よりも大きくなることが示された。なお、試算においては日本で稼働しているのと同規模のごみ焼却場を想定しており、この焼却場による発電量はおよそ1万世帯分である。
 また、この検討では、廃棄物発電が普及しない最大の原因は、発電コストにあると指摘している。想定したごみ焼却場では、発電した電気がキロワット当たり約10円で売れてようやく発電施設の経費をまかなうことが可能だが、発電出力が安定しないとの理由から、実際の売電価格は5円程度(当時)にとどまっていた。このことから、技術改良により出力を安定することと発電効率を上げることが、廃棄物発電の課題であるとしている。

図6 発電されるエネルギーと、ごみ焼却場建設および運用に必要なエネルギーの比較
出典:国立環境研究所ニュース15巻1号(1996年4月発行)「研究ノート ごみ発電は得か損か」(森 保文)
http://www.nies.go.jp/kanko/news/15/15-1/15-1-09.html

2)廃棄物処理施設における温暖化対策事業(環境省)

 「21世紀環境立国戦略(平成19年6月)」、「京都議定書目標達成計画(平成20年3月全部改定)」のいずれにおいても、廃棄物処理施設におけるエネルギーの徹底的な利用の重要性が指摘されている。こうした背景から、環境省では、「廃棄物処理施設における温暖化対策事業」を実施し、高効率な廃棄物発電施設等の整備に対して助成を行っている。
 この事業の概要は、高効率な廃棄物発電や廃棄物由来のバイオマス発電等、廃棄物処理に係るエネルギー利用施設を整備する事業者に対し、事業実施に必要な経費の一部を国が補助するものである。現在対象となっている技術は、廃棄物発電、バイオマス発電、廃棄物熱供給など9種類の事業で、廃棄物発電については、発電効率などの所定の条件を満たすRDF発電、ガスリパワリング型廃棄物発電などが対象となっている。

引用・参考資料など

(2009年12月現在)