深海生物の幼生、熱水噴出孔の定着場所まで高速で長距離を移動
発表日:2010.04.13
ウッズホール海洋研究所(WHOI)、ラモント・ドハティー地球観測研究所(LDEO)、米国海洋大気庁の太平洋海洋環境研究所(PMEL)らの共同調査チームの研究により、深海生物の幼生を長距離移動させる「高速ジェット」のような流れが海底に存在するらしいことが示唆された。チームは、東太平洋海膨(緩やかな起伏の海底地形)にある、海底火山噴火後間もない熱水噴出孔を調査し、噴火により生物が死滅した区域に、それまでその区域で観察されたことのない深海生物の幼生を発見。これらの先駆種は主にCtenopelta poriferaとLepetodrilus tevnianus(ともに軟体動物の一種)であった。今回確認されたCtenopeltaは、最も近くに生息する個体群でも、噴火場所から350km離れている。この幼生が確認されたことで、熱水噴出で付近の成体が死滅した場合には、比較的近くの噴出孔から幼生が移動してくるという、これまでの説が覆されることになった。遊泳する幼生がその30日程度の短い寿命の間にどのようにして300km以上遠くまで移動できるのか、今後のさらなる研究が期待されるという。
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