欧州環境局など、欧州における景観の分断化が野生生物に及ぼす脅威について報告
発表日:2011.09.05
欧州環境局(EEA)とスイス連邦環境局は、欧州における道路や鉄道、集約的農業、都市開発などによる景観の分断化が、野生生物に深刻な影響をもたらす可能性があるとの報告書を発表した。景観の分断化が進行している地域やその程度を、ほぼ欧州全域にわたり、科学的な方法を用いて示したのは今回が初めてで、地域ごとの様々な要因が明らかになった。景観の分断化は、特に輸送インフラ整備が進む地域やその周辺で悪化しており、動植物の生息地が細分化され、個体群の孤立が進んでいるだけでなく、動物の交通事故死が増え、繁殖の妨げにもなっている。また、侵入種拡散や生態系サービス減少にもつながるという。現在、分断されていない地域の保護や、野生生物の回廊の設置など積極的な政策が実施されており、報告書では、開発業者や設計者に対し、動物が自由に移動可能なトンネル等の設置や、既存の道路の補修・改善による道路新設の回避など、環境に配慮した新たなインフラ整備を求めている。今後は、予防原則に基づいて、累積的な影響を考慮していくことが最も重要だという。
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