アメリカ地球化学者ら、メキシコ湾原油流出事故の天然ガス分解微生物を同定
発表日:2011.10.03
カリフォルニア大学の地球化学者らは、2010年4月にメキシコ湾で起きた原油流出事故の後、湾内に放出された天然ガスの分解に寄与した微生物を同定した。この事故は深海で発生し、天然ガス(主にメタン、エタン、プロパン)が大量に含まれていたという点で、過去の流出事故とは大きく異なり、この特徴が流出に対する微生物の反応に大きく影響した。これまでの研究で、事故から2ヶ月後には主にエタンとプロパンが分解され、5ヶ月後には、当初1年はかかるとされたメタンも分解がほぼ終わっていたことが示されている。今回の研究では、ガス成分の炭化水素と、分解した微生物との関係を突き止めるため、安定同位体探査法という手法を採用して海水サンプル中の微生物を調べた。その結果、エタンとプロパンを分解したのは、コルウェリアと呼ばれる好冷性バクテリアであることがわかり、天然ガスの存在と深海の低水温が、石油流出に対する微生物を決定したことが明らかになった。こうした知見は、海洋石油流出事故への対応を大きく進展させるという。この結果は、2011年10月初旬の全米科学アカデミー紀要に発表される。
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