国環研、福島第一原発近傍で潮間帯生物の種類数と棲息量が減少と発表
発表日:2016.02.04
国立環境研究所は、東日本大震災及び福島第一原子力発電所事故後の岩手県から千葉県に至る潮間帯生物の調査結果を公表した。同研究所では、放射線医学総合研究所と福島県の協力のもと、2011年12月14日に東京電力福島第一原子力発電所(福島原発)の半径20km圏内(警戒区域;当時)の16地点で潮間帯生物に関する予備調査を行い、それ以降も千葉県から岩手県に至る沿岸各地の潮間帯で調査を行ってきた。今回、2011年~2013年までの調査の結果、福島原発に近づくにつれて潮間帯に棲息する無脊椎動物の種類数が統計学的に有意に減少し、特に南側の地点(大熊町と富岡町)で無脊椎動物の種類数とともに棲息量も統計学的に有意に少ないことが明らかとなった。また、大熊町と富岡町における無脊椎動物の棲息量は1995年の同種の調査結果と比較しても少ないことがわかった。大津波を受けた他地点との比較から、福島原発近傍における潮間帯生物の減少が津波のみで引き起こされたとは考えにくく、今後、詳細な原因究明が必要であるという。