京大など、ゲノムレベルでウミヘビ類の適応進化プロセスを解明
発表日:2019.09.18
京都大学、自然科学研究機構、理化学研究所および琉球大学の研究グループは、ウミヘビ類が陸から海に適応する過程においてゲノム上で起きた変化を解明した。同研究グループは、水中から陸上に進出し、再び海に戻ったとされているクジラやイルカなどの哺乳類には「嗅覚受容体遺伝子」がほとんど存在しないことから、ウミヘビ類も同様の進化を遂げた可能性があることを確認するため、卵生で産卵のために陸を必要とするエラブウミヘビ類と、胎生で生涯を海中で暮らす真ウミヘビ類両方の全ゲノム配列を解読した。その結果、同遺伝子の数はエラブウミヘビ類が100個前後、真ウミヘビ類が60個前後で、陸に棲むヘビの遺伝子数(300~400個)よりも少ないことが判明した。加えて真ウミヘビ類の遺伝子は鼻腔には発現しておらず、実際は機能していないことが示唆された。これらの知見は、羊膜類の持つ嗅覚受容体は水中では機能しないことや、海と陸の両方を必要とする両棲種は海洋環境への適応進化の途中段階であるという仮説と整合している。今般の国際的なゲノムデータベース公開を契機として、さらなる適応進化研究の進展が期待できるという。
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