北大、小笠原諸島周辺で新種のウミグモ類を発見
発表日:2020.08.20
北海道大学の研究グループは、小笠原諸島父島西方の水深141-152 mから新種のウミグモ類を発見した。ウミグモ類は、8本の歩くための肢を持つクモの様な海産生物で、世界で約1300種が報告されている。日本近海では約160種が報告されているが、同海域における報告は3種にとどまっていた。2009年に同大学の研究者(当時大学院生)は海洋研究開発機構の海洋生物調査に参加し、学術研究船による底曳網採集で得られたサンプルからウミグモ類2個体を拾い出した。その後、別の大学院生が中心となって、形態観察などを行った結果、それらの個体はスイクチウミグモ科のPantopipetta属に含まれる未記載種であると判断された。未記載種は同属の新種Pantopipetta lenisとして、卵を保持する肢である担卵肢が10節であることに因んだ和名「トフシスイクチウミグモ」を付して発表された。また、形態観察の過程において、これまで頭部の一部と考えられていた部位の構造が触肢の一部である可能性も示された。採集調査・研究の進展により、さらなる新種発見や、ウミグモ類の多様性解明が期待できるという。
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