北大と山階鳥類研究所、伊豆と尖閣のアホウドリは別種と結論
発表日:2020.11.20
北海道大学と(公財)山階鳥類研究所は、伊豆諸島鳥島と尖閣諸島に由来するアホウドリの形態を比較し、別種であると結論した。アホウドリは、かつて羽毛採取のため大量捕獲が行われ、1949年の調査では絶滅したと考えられていたが、1951年に鳥島で、1971年には尖閣諸島でそれぞれ約10羽が再発見され、現在では国内希少野生動植物種、絶滅危惧Ⅱ類に、また国際的にも危急種に指定され保全の対象となっている 。これまでにアホウドリの繁殖地が一度一つになった経緯等から、鳥島生まれの個体(鳥島タイプ)と尖閣生まれの個体(尖閣タイプ)は暗黙のうちに同一種とみなされてきた。一方、遺跡出土資料の分析などいくつかの理由から2種が含まれる可能性も考えられていたが、尖閣諸島での調査は難しいため、確認できずにいた。今回は、鳥島で生まれたほぼ全ての個体に標識足環がされていることに着目し、鳥島タイプと尖閣タイプを標識足環の有無とDNA解析から識別し、くちばしの長さ・体重など26箇所を計測した。その結果、鳥島タイプのオスは全体的に大きく、尖閣タイプのオスは相対的にくちばしが長い等の形態的な差が見られ、これまでに知られていた遺伝的・生態的な差から隠蔽種であるとした。アホウドリのように保全対象として指定された鳥類の種内において、このような隠蔽種がみつかったのは世界で初めてのことである。今後、それぞれの独自性を保つことを念頭に置いた保全政策の実施が必要という。
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