東大など、「透明電極」形成技術の新コンセプトを提示
発表日:2021.12.28
東京大学、名古屋工業大学、筑波大学および海外2大学からなる研究グループは、次世代太陽電池向け「透明電極」の必須条件を特定し、新たな材料設計の方向性を提示した。太陽電池は半導体デバイスの一種であり、半導体のなかに微量の不純物元素を添加する技術(ドーピング)を用いて伝導性の電子・ホール(キャリア)を生み出し、金属電極などを用いて電流を取り出している。近年、可視光のみならず赤外光でも発電できる太陽電池の開発が進められており、スペクトル感度が広い「透明電極(透明導電膜)」への期待が高まっている。同研究グループは、既存の透明電極材料は結晶内の電子濃度が高く、それが赤外光の反射につながっているという視座から、これまで未解明であった有望な電極材料「微量のタングステンを添加した酸化スズ(SnO2)薄膜」の構造・電気伝導性・電子状態を詳細に調査し、さらに「第一原理計算」という手法を用いて、同材料が近赤外光を含む幅広い入射光に対して透明で、導電性を呈するメカニズムを解析した。その結果、結晶内の酸素の電子軌道がタングステンの電子軌道と混ざり合うことで、低い電子濃度であっても高い電気伝導性が安定的に得られていることが実証された。近赤外線の透過率が高い(反射率が低い)ことはもとより、今回見い出された結晶内の電子のエネルギー準位(バンド構造)を考慮することで、新たな次世代太陽電池セル用「透明電極」の開発につながると述べている。
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