森林総研、コナラ当年枝の放射性セシウム季節変動を解明
発表日:2022.01.13
森林総合研究所は、コナラの当年枝(とうねんし)に移行した放射性セシウム(137Cs)の濃度が比較的安定している期間を明らかにした。コナラはきのこ栽培などに広く利用されており、樹林地の若返りを図るために、樹木を伐採し、切り株から伸びた萌芽を育てる「萌芽更新」という管理手法が導入されている。福島県の阿武隈地方ではきのこ原木の生産が盛んに行われていたが、福島第⼀原子力発電所事故に伴い、地域のきのこ原木林は137Csに汚染された。安全なきのこ生産の再開に向けて、きのこ原木の効率的な適否判定・評価技術が求められている。同研究所は、コナラ萌芽更新木の幹を保全する必要があることから、土壌から吸収された137Csが移行しやすい当年枝に着目し、幹の137Cs濃度と当年枝の137Cs濃度の間に⼀定の関係が成り立つことを利用した調査手法の確立を目指している。これまで試料採取の適期は11月~翌年3月(5か月間)と考えられてきたが、それは調査推進上の大きな制約となっていた。今回、同研究所は調査可能な時期の拡大可能性を検証するために、2018年から2020年にかけて福島県田村市都路町のコナラ萌芽林6か所で当年枝を継続的に採取し、137Cs濃度変動を詳しく分析した。その結果、従来の認識よりも長い8月~翌年4月(9か月間)にわたる季節安定性が認められた。気候(気温など)が異なる地域では若干変わる可能性はあるが、調査実施期間が約2倍に拡大できたことで、現場での実用化が加速し、関連事業推進への活用が十分期待できるという。
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