沖縄美ら海水族館（国頭郡本部町）は、「ホクロキンチャクフグ（学名：Canthigaster inframacula）」の世界初となる生体展示を開始した。同種は、ハワイ諸島・ベトナム沖・小笠原諸島から数例の報告しかないフグ（キタマクラ属）の一種。キタマクラ属では最も深い水深（60-274ｍ）に生息し、腹部にあるホクロのような黒い斑紋が特徴。同館の2022年1月のROV（小型の無人潜水艇）調査時、沖縄県本部町沖の水深216mで泥底付近を単独遊泳する様子が発見され、スラープガン（吸引装置）を用いて採集に成功していた。同館1階の深海への旅「深海の小さな生き物」にて展示する。同種の生態はほとんど知られておらず、飼育例のない稀種であるとのこと。なお、ROV 調査により、2021年3月には沖縄県恩納村沖の水深410mから日本初記録のヤセムツ科ヤセムツ属の魚類が発見されており、同館は引き続き、沖縄周辺海域での調査や飼育を通して、稀少な深海生物の生態解明に貢献していくという。