外来ヒキガエルがエゾサンショウウオの成長・生存を阻害
発表日:2025.02.03
北海道大学を中心とする研究グループは、毒性の強い物質「ブフォトキシン」を分泌する外来ヒキガエル(アズマヒキガエル)がエゾサンショウウオに与える影響を調査した。エゾサンショウウオの幼生(在来種)がアズマヒキガエルの幼生を一匹でも捕食すると、その後の成長や形態変化が抑制されることが明らかになった。──これまでの研究では、有毒な外来種を捕食した在来種が中毒死する事例が報告されてきたが、中毒死を免れた場合の影響についてはほとんど分かっていなかった。本研究では、室内実験と野外実験を通じて、有毒な外来種が在来種の生活史に悪影響を及ぼすことを初めて実証した。アズマヒキガエル幼生を捕食したエゾサンショウウオ幼生は、捕食後16日で成長が約25%低下し、大アゴ化が抑制された。大アゴ化は、エゾサンショウウオ幼生が大きな餌を捕食するために必要な形態変化であるため、結果として捕食行動の適応が阻害される。──本成果は、有毒な外来種が在来生態系に与える新たな脅威を示す重要な知見である。外来種対策や生物多様性保全に新たな視点を提供している。