開花イチゴ花の検出精度95%!農研機構、AI活用アプリ普及へ
発表日:2025.05.16
農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)は、AIによる画像処理に必要なアノテーション作業を効率化するプログラムを開発し、利用申請の受付を開始した。アノテーションとは、AIが画像内の対象物を認識できるように、対象物の位置や形状を手動で指定する作業であり、AIモデルの学習に不可欠な工程である。
従来、農作物の花や果実などを対象としたアノテーション作業は、対象物を一つずつ囲む必要があり、膨大な時間と労力を要していた。特に、AIの検出精度を高めるには、10,000か所以上の正確なアノテーションが必要とされていた。今回開発されたプログラムでは、100か所程度の手動アノテーションを行うだけで、AIが学習し、残りの対象物を自動でアノテーションできるようになる。
実証実験では、イチゴの花を対象に、従来16.6時間かかっていた作業が3.3時間に短縮され、作業時間を約1/5に削減できた。さらに、最終的な検出精度は95%に達し、実用レベルの性能を示した。プログラムはGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)を採用しており、画像処理の専門知識がなくても直感的に操作できる設計となっている。このプログラムは、農作物の研究を行う研究機関や、農業系の教育機関、アプリケーション開発企業などに向けて提供される。標準作業手順書(SOP)も同時に公開されており、利用者は登録のうえで閲覧・活用できる。
農業分野におけるAI活用の普及には、学習データの整備が大きな障壁となっていたが、本プログラムの導入により、画像処理を用いた生育調査や栽培管理アプリケーションの開発が加速することが見込まれる。
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