緊急銃猟ガイドライン―実施条件・安全対策・損失補償を明示
発表日:2025.07.08
環境省は、市町村向けの「緊急銃猟制度」運用ガイドラインを公表した。7月8日に改正鳥獣保護管理法(令和7年法律第28号)が施行され、新たに創設された緊急銃猟制度の運用が始まった。緊急銃猟とは、クマやイノシシなどの危険鳥獣が「人の生活圏」に侵入し、生命・身体への危害が差し迫っている場合に限り、銃器を用いて迅速に捕獲を行う制度である。
ガイドラインでは、緊急銃猟の実施に必要な4つの条件(場所・緊急性・方法・安全性)を明確に定義している。例えば、クマが建物内に侵入した場合や、農地・河川敷などで安全確保が可能な状況下での実施が想定されている。この制度の実施主体は市町村であり、銃猟行為は市町村職員以外への委託も可能だが、責任は市町村が負う。使用可能な銃器はライフル銃、スラッグ弾を用いた散弾銃、麻酔銃などに限定され、発砲に際しては通行制限や住民避難などの安全措置が必須とされる。ガイドラインには、事前準備として対応マニュアルの作成、関係者の連絡網整備、装備の確保、訓練の実施、保険加入などが推奨されており、これらは環境省の交付金や特別交付税措置の対象となる。また、緊急銃猟によって建物や車両などに損傷が生じた場合には、損失補償制度が適用される。補償対象には、弾丸の着弾による損壊や、土地への立ち入り・障害物除去による損失が含まれる。
同省は今後、自治体職員向けの説明会や研修会を実施し、制度の円滑な運用を支援するとしている。