臨海副都心で水素活用—グリーン水素による脱炭素型熱供給
発表日:2025.07.18
東京都港湾局を主体とする共同研究グループは、臨海副都心青海地区において、全国初となる地域熱供給への水素混焼ボイラーの稼働を開始した。本取り組みは、令和5年2月に東京都港湾局と産業技術総合研究所が締結した「臨海副都心における水素を活用した脱炭素化の推進に関する基本協定書」に基づき、清水建設、東京臨海熱供給、東京テレポートセンター、ヒラカワなどの民間企業が参画して実施された。
水素混焼ボイラーは、都市ガスと水素を併用することで、燃焼時のCO₂排出を抑制する設備である。加えて、水素吸蔵合金タンクを用いることで、水素を安全かつ効率的に貯蔵・供給する技術も導入された。これらの技術は、地域の冷暖房・給湯用の熱供給プラントに実装され、安全性と安定性を両立した運用が可能となった。
水素は、山梨県米倉山から調達されたグリーン水素を使用しており、都と山梨県が令和4年10月に締結した「グリーン水素の活用促進に関する基本合意書」に基づくものである。さらに、太陽光発電と燃料電池を組み合わせたグリーン電力も建物照明等に活用されており、地域全体での脱炭素化を推進する構成となっている。
本技術は、地域熱供給分野における脱炭素化の先駆的事例として位置づけられ、今後の都市インフラの低炭素化に向けたモデルケースとなる可能性がある。見学希望者には、平日の日中にプラント内の見学機会が提供される。