地域の水利用可能性が地質資源の生産を制約する!
発表日:2025.03.14
産業技術総合研究所(産総研)・安全科学研究部門のIslam Kamrul主任研究員らは、シドニー工科大学、九州大学、東京大学の研究者と共同で、地域の水利用可能性を考慮し、32種類の「地殻資源(地質資源)」の生産能力を推定する手法を開発した。蓄電池技術の普及に伴い、大量消費・需要増が見込まれる「銅」については、世界の生産量の37%が2010年に利用可能な水資源の容量を超えていることが判明した。また、その他の資源についても現在の採掘・生産が地域の水利用可能性を大幅に超えていることが示唆された。金属などの地殻資源については「埋蔵量」が重視されてきたが、本研究は「水資源」の持続的な利用に主眼を置くものとなっている(掲載誌:Science)。──【編集者の要約(仮訳)】鉱物生産は世界経済にとって重要であり、新技術の導入により多くの鉱物の需要が高まっています。しかし、採掘や加工には大量の水が必要であり、これが一部の地域で鉱物生産を制限する可能性があります。Islamらは、鉱物生産と鉱物ごとの水需要に関する公開データを使用し、地域の水供給能力を水文学モデルと組み合わせてこれらの制約を評価しました。その結果、多くの地域で鉱物生産が水資源を上回っていることが判明しました。これは高い生産量や低い水供給能力が原因です。石炭、鉄、銅、金は特に過剰消費が顕著であり、石炭は高い生産量、金属は加工に多くの水を必要とするためです。将来的には鉱物生産のための水需要が増加すると予測されています。